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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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マシューやらかす

「ほら、後でお礼するから帰って。みんな緊張して飯食えないじゃん」


シャルロッテは男3人に帰るように促す。と、その時にマシューが、


「おい、そこの平民、席を代われ」


と、シドに命令した。


ぷちっ


「何言ってんだこらぁぁっ!後から来てシドに退けろって何様のつもりだってめぇっ。シドはストロベリー国の人間だぞ、メロンの貴族に命令なぞされてたまるかっ。ここは庶民食堂だっ。とっととお前が消え失せろっ」



シーン


あ・・・


ザワザワが一気に静まり返る庶民食堂。ザワザワ食べ放題フェアは売り切れ終了だ。


「おほほほほ、とっととお帰り下さいませマシュー様」


「姫様、手遅れです」


だよね。


もう取集がつかなくなってしまったので、飯も途中、シドとの話も途中だけど部屋に帰らざるを得なくなってしまった。


「おばちゃん、残してごめん」


「それより、大丈夫かい?あれ、メロン王国の王子様と貴族様だろ?」


「大丈夫。私の方が偉いから」


「え?」


「気にしないで」


おばちゃんを安心させるように言ったが、それは身分証だけの話だ。



「シド、ごめん。明日また話そ。その本は持って帰ってね。名前書いてないから盗られんなよ」


「いちご姫、大丈夫なのかよっ」  


「心配すんなって。悪いのはあいつなんだから。それにお前、俺を守ってくれるって言ったろ?代わりに俺は権力からお前を守ってやるよ」


「おい、いちご姫っ。どういう意味だよそれっ」


「また明日なぁ」


と、シドに手を振って食堂を出た。


部屋に向かう途中、


「マシュー」


低くドスの利いた声でマシューの名前を呼ぶシャルロッテ。


ビクっ


「二度とあんな事すんなよ。シドになんかしやがったらぶちのめすからな」


と脅しておく。貴族のボンボンに生まれ育ったマシューはあんな怒鳴られ方を経験したことはない。貴族の振る舞いとして普通の事しただけなのに。


「マシュー」


「何だよアームス殿下」


「良かったなぶっ飛ばされなくて」


「うるさいっ」



部屋に入るとユーバリーが吹き出した。


「ギャーハッハッハ!マシュー怒鳴らてやんの。おっかしー」


テーブルをバンバン叩いて笑うユーバリー。日頃上から目線で話すマシューがシャルロッテにクソミソに怒鳴られたのがツボに入ったらしい。


「ギャーハッハッハ ゴホッゴホッ」


むせるほど笑うなよ。


咳き込むユーバリーに水を入れてやるゼル。


「甘い物食べる?」


「プリンまだあるのっ」


「あるよ」


「食べるっ」


いや、アームス達に聞いたのだよユーバリー。


ゼルが残りのプリンを持ってきてくれる。ひとつ足りないので自分はいらないからゼルに食えと言ったら、姫様どうぞと目の前に置かれた。俺は気を使った訳ではない。本当にいらないのだ。


ゼルを隣に座らせてアーンして食べさせる。これを狙ったわけじゃないよね?


「アームス、本を借りてくれてありがとう。お礼にプリン食べて」


「これ、美味いな。シャルロッテが作ったのか?」


「今日図書館で会った友達とね」


「私も手伝ったのよ」


そう嬉しそうに言うユーバリー。


「嘘付けっ」


アームスに嘘つき呼ばわりされてむくれる。


「本当だよ。プリンが気に入ったなら今度可愛い妹に作ってもらいなよ」


「いらん」


そういったアームスの腹にユーバリーはドスドスとパンチをお見舞いしていた。そういやお転婆ユーバリーはアームス達と喧嘩ばっかりしてると紹介されたっけ。そろそろアームスがゲンコツでもしそうなのでユーバリーを引き寄せて頭をポンポンしておく。どっちが歳上かわからん。


「マシュー」

 

「な、何だよ」


「皆の前で怒鳴って悪かったけど、シドは私の友達だ。シドは庶民だけどストロベリー家で私がいじめられていると言ったら守ってやると言い切ったいいヤツなんだ。普通庶民が王族に向かって守ってやるとか言えるか?あの時ももしお前が私になんかしようとしたら身体を張って守ろうとしたはずだ。だから私はあいつを権力から守る。後からなんかしようとしたら許さんからな」


「そんなことするつもりはない。ちょっとお前と話をしようとして席を代わってもらおうとしただけじゃないか」


「お前、わかってないな。退けろと命令しただろうが。普通はな、悪いけど席を代わってくれるか、とお願いをするんだよ。貴族だからって偉そうにすんな」


「なぜ、平民に頭を下げねばならん」


「お前は何様つもりだ?貴族として何かを成したのか?単に貴族の家に生まれただけだろうが?違うか?」


・・・

・・・・

・・・・・


「それにな、偉い人ほど偉そうにしないんだ。自分が偉いと勘違いしてるやつが偉そうにするんだよ。自分が勘違い野郎だと気付きやがれ」


「シャルロッテ。それぐらいにしてやってくれ。マシューはお前に慣れてない」


「じゃ、アームスがしっかり躾ろよ」


「あと、マシュー」


返事をしないマシュー。


「科学の先生を紹介してくれ」


「なぜだ?」


「この本の内容が正しいか確認したい」


「どういうことだ」


「この内容はおかしいかもしれない。もし間違って書かれているなら覚えても無駄だからな」


「どうしてそんな事がわかるんだ」


「あーもうっ。ゴチャゴチャうるさいな。もういい。アームス、お前も誰か先生知ってるだろ?」


「ああ、先生に予定を聞いておく」


「なら頼んだ」


「いちご姫、ちなみにどこがおかしいんだ?」


とアンデスが聞いて来るので、いくつか指摘した。これは実験して確かめないとわからない。俺も自分で実験した訳ではないからな。元の世界の知識が正しいとも言い切れないし、世界が違うから法則が違うのかもしれない。元素も発見されてるの少ないみたいだしな。


「さっぱりわかりませんね」


「うん、これは知識より実験して確かめないとダメかも。実験とか自分で出来ないしね」


「アームス、どの先生を紹介するのだ?」


とマシューが確認する。


「いや、それなら俺が紹介する。錬金術の先生の方がわかるだろうからな」


「分かった。ならマシューに頼む」


「予定が聞けたら伝えにくる」


と、行って帰って行った。



「シャルロッテ強いねぇ」


「いや、あのまま行ったらダメな貴族になりそうだしね。頭はいいんだから国の為にこき使わないと」


「シャルロッテがこき使うの?」


「まさか。私は卒業したらここのどこかに住むよ」


「え?メロンに住まないの?」


「住まないよ。どうして?」


「卒業したら別々になるじゃん」


「当たり前じゃん。バリ姉はメロンのお姫様なんだから」


「私を一人にする気?」


「嫁ぐか旦那もらうんだろ?」


「そうかも知んないけどっ」


「まだ先の話だよ」


「今日ここに泊まる」


「ダメ」


「どうしてよ?」


「護衛までこっちに来んだろ?」


「扉の外に立たせておくから大丈夫よ」


「気を使うから嫌なんだよっ。ほい帰った帰った」


とユーバリーを外に押し出した。


「もうっ、意地悪っ」


「また明日」


バタン。



「姫様、宜しかったのですか?」


「まだ学校始まった初日なんだよ。もうお腹いっぱいだよ」


「そうですね。色々ありましたね」


と、後片付けをして風呂の準備をしていると。


コンコンっ


「はい、とゼルが扉を開けるとユーバリーが居た。」


「てへ、来ちゃった」


護衛の人は見たことがある。ゾイドの部下で貴族街散策に行った時にいた人だ。


護衛の人が申し訳無さそうに頭を下げる。迷惑だと理解しているのだろう。


はぁ、仕方がない。


「どうぞ。護衛騎士の方も中へ」


「いえ、ここで見張りを」


「いいから入って」


と、中に入れる。


「ご飯は?」


「大丈夫であります」


食べてないなこれ。


「ラーメン作るからお風呂入ってる間に食べてて。1時間くらい出て来ないからゆっくりしてていいよ」


「申し訳ありません」



狭いけど、3人一緒に風呂に入った。ユーバリーはだんだん面倒臭い娘になってきた。いまは笑って大きな口を開けてる。

 

「エイっ」


手で水鉄砲を作ってぴゅっとお湯をかける。


「ケホっ ケホっ。なにすんのよ」


「水鉄砲攻撃」


ピッ ピッ ピッ


「ぶっ や、やめてよっ」


ピッ ピッ ピッ


「もうっ」


真似をして水鉄砲をしようとするが飛ばないユーバリーの水鉄砲。


「キーーっ」


バシャバシャバシャ


「バカっやめろつ。それは反則だぞっ」


その後、キャッキャッはしゃいで遊ぶユーバリーであった。


風呂から出ると立ち上がる護衛騎士。


「いいよ、気を使わなくて。そっちの部屋で良かったら使って。こっちは3人で寝るから。飲み物とか必要なら冷蔵庫から勝手に飲んでね。お風呂は?」


「ユーバリー様が授業の間に入ります」


「分かった。じゃ寝てていいよ。ゼルもいるし。宿舎って安全でしょ?」


「しかし・・・」


「ずっと起きてられると気を使って寝れないから。じゃおやすみ」


「おやすみなさいませっ」


といっても寝ないだろうけど、部屋でゆっくりしててくれ。


はしゃぎ疲れたユーバリーもすぐに寝たので、自分もすぐに寝ることにした。王宮のベッドと違って3人で寝ると狭いや。リーリャみたいなフニフニだといいけど、ユーバリーもあんまり柔らかくないしな。


シャルロッテは猛反発クッションと高反発クッションに挟まれてウンウンとうなされながら寝たのであった。



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