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シドに会えてちょっと嬉しいのには気付かない

「甘いもの食べたい?」


「食べるっ」


ということなので食材のたまごを多めに買って帰る。


レムのお料理教室にあった簡単おやつ、プリンを作るのだ。


「コトカ達はなんか作れるの?」


「全く作れない」


レシピを見ながらみんなで作っていく。

 

たまご、牛乳、砂糖。材料は以上だ。器はカップ。


混ぜて蒸すだけ。


「これだけ?」


「これだけ。あとはカラメル作りね」


と、これも砂糖と水のみ。


ごく弱火でゆっくり蒸して完成。粗熱取って冷蔵庫に。


またゼルにポテトを揚げて貰って、炭酸水レモンに砂糖を入れて出してあげる。


「プリンってどんな味?」


「プリンはプリンよ。バリ姉はメロンの味説明出来る?」


「甘い」


「プリンも甘いよ」


「うーん、うーん」


「そう。味って細かく説明出来ないの」


「本当ね」


「もうちょっとしたら出来るから」


「シャルロッテは晩御飯どうするの?」


「庶民食堂に食べに行くつもり。バリ姉は来ないでね」


「どうしてよっ」


「みんな緊張するじゃない」


「シャルロッテは行ってるじゃない」


「甘いご飯もないし、私にはみんな慣れてるから大丈夫なの。コトカ達も来たことないからね」


「えー。だったらシャルロッテも貴族食堂に行こうよ」


「だって、貴族食堂にはラーメンないもん」


「またラーメン食べるの?」


「そ、私はラーメンとポテトがあればいいの」


そういうと呆れられた。別にいいじゃん。


「私達は貴族食堂に行くね」


「どうぞどうぞ」


だが、ユーバリーは付いて来る気満々だった。ユーバリーは友達がいないのだろうか?



プリンが冷えたので皆で食べる。


「わ、トロトロで美味しい」


「本当だ。あんなに簡単なのに」


「コトカもアキも好きな人が出来たら作ってあげたら?」


「や、やってみる」


と、二人はやる気満々になった。出来れば嫁ぐ人が好きな人になるといいね。


また誰がかっこいいとかの話になったので話題に入れない。プリンもプッチンの方がいいなとか思って半分くらい食べたあと、ゼルにアーンしておいた。ゼルも甘い物好きだからな。リーリャが居たらプリン喜んだろうな。


「マシュー様もカッコ良かったですよね」

 

と、コトカがユーバリーに言っている。


「マシューはちょっと嫌味なのよねぇ。頭が良いから私の事も上から目線で見たりするし」


「飛び級はしてないんだよね」


「そう。早く卒業すると仕事しなきゃなんないでしょ。だから飛び級しないのよ。とっとと卒業したらいいのに」


「長男?」


「次男よ。上はもう卒業してる。跡も継がないから気楽なもんよ」


ふーん。楽な生活で責任無しか。野心が無ければ嫁ぎ先としては有望だろうな。

 

プリンも食べ終わったのでコトカ達は帰った。


「バリ姉は友達いないの?」


「知り合いはたくさんいるけど、友達ってのはいないかな。みんな気を使うし、にぃ様達の話ばっかりしてくるし面倒臭いの。その点シャルロッテは気も使わないし、にぃ様達の話もしないからね」


「護衛とかどうしてんの?」


「部屋で待機させてるわよ。付いてこられたら鬱陶しいじゃない。外出する時には付いて来るけど」


「今日居なかったじゃん」


「外出するって言ってないもん」


あんた、何してくれてんだ?なんかあったら俺のせいになるだろが。


「護衛は誰が付いてんの?」


「んー、バラバラ。週交代で誰か来る」


「喋ったりしないの?」


「しない。指示はするけど。シャルロッテだけよ、護衛と一緒にご飯食べてお風呂入って寝たりするの」


「女同士だしね。メイドさんも交代するの?」


「そう」


「リーリャは来る?」


「来ない。リーリャはお客様担当だから」


「そうなんだ」


「リーリャに来てほしいの?」


「うん。今度会う時に嫁に行っていなくなってたら寂しいなと思って」


「冬休みにも来るんでしょ?」


「わかんない。飛び級の試験もあるし、毎回毎回お世話になるのもどうかと思うし」


「そんなの気にしないでいいじゃん。試験も数学は問題ないんでしょ?」


「科学がちょっとね」


「難しいの?」


「ううん。あの本が正しいかどうかわかんないの。正しいなら覚えたらいいんだけど、正しくなければ覚えても無駄でしょ?」


「なら、先生に聞けば?」


「科学の先生なんて知らないわよ」


「マシューに聞けばいいじゃん」  


「マシューはまだ錬金術コースに行って無いよね?」  


「確定して先に学んでんの。飛び級しないくせに」


へぇ。 


「分かった。本を一通り読んでからお願いするかも」


「その時に私に言ってくれたらマシューの所に連れてってあげる」


「うん、ありがとう」


そして、シドに渡す為の本を持って庶民食堂へ。



「へぇ、庶民食堂って殺風景ね」 


「食堂って感じがするでしょ。なんにする?」


「何が美味しいの?」


「ラーメン」


「昼に食べたから違うのっ」 


「じゃ、ハンバーグにしといたら?」


ゼルが注文してくれるらしいけど、おばちゃんに話もあるので一緒にいく。ユーバリーはまた私もちゃんで付いて来た。


「おばちゃん、ラーメンに卵とハンバーグセット。ゼルは?」


「私もハンバーグセットをお願いします」


「ハンバーグセットのひとつは大盛りで」


「はいよ。あら?見ない生徒さんだね?」


「ユーバリーよ。シャルロッテとは姉妹なの」


「あら、そうなの。いちご姫様と違った可愛い娘さんだね」


「おばちゃん、もういちご持って来れなくなっちゃったごめんね」


「あら、そうなのかい。いやいや、気にしないでおくれ。あんな高い物を貰ってた方がおかしいんだから」


「シャルロッテ、ここにいちご持って来てたの?」


「そうよ。私はほとんど食べないから」


「ふーん」 


「おばちゃん、インスタントラーメンを外に売り出したら生産って請け負える?」


「数はどれぐらいだい?」


「売ってみないとわかんないけど」


「インスタントの麺だけならなんとかなるかもね。数が増えるなら作る人増やせばいいだけさね」


「じゃ、とりあえず100作って。売れ残っても自分で買うから」


「あいよ」


やった。もし売れなければメロン軍に寄付したらいいしな。


麺1個、銅貨1枚で作ってくれるから銅貨3枚で売るか。


料理を持って席に戻るといちご姫っ!と声を掛けられた。


「あっ、シド。久しぶりっ」


「おう・・・。えっとこちらの方はどちらさん?」 


「ユーバリー。バリ姉、こちらはシド」


「初めてま・・・して?って、メロン王国の姫様っ」


あ、シドはバイトに来ててユーバリーを見たことあるんだった。


「ばっか、大きい声出すなよっ」


「ご、ごめん。いえ、失礼致しました」


「いいからここに座れっ」


慌ててシドを隣に座らせる。


「いちご姫、なんでここにメロン姫様が居るんだよ」


「付いて来たのよ」


「ちょっと、そんな言い方しないでよ」


時すでにお寿司。ザワザワがレーンに乗って回って行ってしまった。皆がザワザワの乗った皿を取っている。


「ほら、お前のせいで騒ぎになったじゃん」


「だって、メロン姫様がここにいるなんて思わないだろうが」 


「うるさいわねっ。居るから居るのよっ。それよりはいコレ」


「本?」


「休み明けに楽しみにしとけって言ってだろ?読みやすい本を選んで来てやったから」


「貸してくれんのか?」 


「いや、それはあげる。他のが読みたくなったらあそこの本を読めばいいから。あれは持ち出し禁止だから部屋で読むのに自分のあった方がいいからな」


「こ、こ、こんな高いの貰えないって」


「これは礼でもあるんだよ」


「礼?なんの?」


「嬉しかったお礼。だから気にすんな」


「俺、なんかしたか?」


「うん。ちょっとね」


そして男心を弄んだ詫びも兼ねている。



「あーーーっ」


びくっ


いきなりユーバリーが大声を上げた。


「な、何?」


「思い出した。友好会の時にいた奴だ」


「よく覚えてたね」


「使用人と随分と仲よさげだなと思って見てたから」

 

「シドはあの日たまたまバイトに来てたの。使用人ではありません。それにもう私はストロベリーじゃないし」


「え?」


「ストロベリー家を離籍したの。だからもういちご姫じゃないのよ」


「どうしてだ?まさかいじめられて追い出されたのかっ」


わ、めっちゃ心配してくれてる。


「違う違う。自分から出てきたの。今はシャルロッテ・マーセナリーよ」


「貴族は貴族なんだな?」 


「うーん、そうなるかな」


「シャルロッテは私のかぁ様が後見人になったの。だから私の妹なの」


「メロン家の娘になったのか?」


違うと言いかけた時に


「シャルロッテ、ここにいたのか。部屋に行ったらいないから探したぞ」


と、アームス、アンデス、マシューがやって来た。ここに来んなよ。みんな引いてんじゃねーか。


「こんなとこまで来んなよ。みんな驚いてんだろうが」


「す、すまん。本を届けに」


「あ、ごめん。ありがとうね」


「いや、構わん」


「なんで3人?」


「こいつら自分が届けるって言いやがってな」



アームスとアンデスは有名人だ。食堂はザワザワの皿が食べ放題になっていた。



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