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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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35/118

ここにいる期間はもう少し

お目当ての唐揚げを食べ終わり、また手を繋いでプラプラする。服屋とか興味がないのでスルー。ジルベスターがいなかったらゼルの下着とか買ったんだけど。まだ男物をはいているからな。ブラもスポブラみたいなやつだし。さらしとフンドシとか似合いそうだ。


リーリャがお菓子屋みたいなカフェみたいな店に目をやる。


「リーリャ、お菓子食べたいの?」


「えへへへへっ」


「お父さん、この店に入れる?」


「うむ、娘に付き合いましょう」


中に入ると男性は少なく、おば様と女の子ばかりだ。


ここはジルベスターの威厳を保ってあげなければ。


「お父さん、ここよ。このお店。ほらっ嫌がってないで早くっ」


と、無理矢理引っ張ってきた風を装う。


「あっはっは、シャルロッテは仕方がないなぁ」


と、娘にメロメロの父親を演じるジルベスター。


席に付いて注文をする。お、コーヒーなんてあるじゃん。


「私、アイスコーヒー」


ジルベスターもアイスコーヒー。ゼルとリーリャは紅茶とクッキーのセットだった。


「姫・・・」


と言いかけたゼルのほっぺをつねる。


「ひへへへっ。ひはいでふ」 

 

「はい、言い直し」


「シャルロッテ様、それ苦いですよ」


「ゼルはコーヒー知ってるの?」


「昔に飲んだ事があります」


と、渋い顔をした。


二人は紅茶にはちみつを入れている。見ただけで甘い。


「先程は助かりました。やはりこのような店に入るのは勇気がいりますな」


「でしょうね」


俺も元の世界で知らずに入って、女性客の視線に耐えれずにすぐに出た記憶があるのだ。


「クッキーより、ケーキの方が美味しいですね」


「ケーキは他に無いみたいだからね」


「ケーキとは?」


「シャルロッテ様がコックに作って貰ってるお菓子です。フワッフワで甘くてとっても美味しいんです」


「ほう、フワッフワのお菓子ですか」


「クインシー様の胸のようにフワッフワですよ」


と言うとジルベスターは赤くなった。


「メイド長のノノロはもっとフワッフワでしたけど」


と言うと二人は笑った。


「確かにノノロ殿はフワッフワですな」


「冬になったらノノロの上で寝たいですわ」


「確かに暖かそうですな。冬もこちらにいらっしゃるんですか?」 


「どうかしら。年明けに飛び級のテストがあるって言われてるから勉強もしないとダメですし。それに今回はゼルの稽古を付けてもらうために来ただけだから」 


「そうなのですか?」


「はい。私は離籍してクインシー様個人が後見人になって下さったのですけど、メロン王国の人間ではございませんので」


「別に気になさる事はないでしょう。クインシー様もとても楽しそうにされていますので、次のお休みの時も呼ばれるではありませんか?勉強もこちらでなされば宜しい。リーリャに教えて貰えば良いのではないですかな?」


「ジルベスター様。シャルロッテ様はすでに私より賢いのですよ。先日本屋で錬金術コースの主席を狙うような参考書をご覧になられてたそうですから」


「誠にですか?」


「そんなたいそうな事ではないですわ。それにあの本は高くて買えませんもの」


「本は高く、特殊であればあるほどそうですからな。王宮の本ではダメですかな?」 


「いえ、貴重な物ですからお借りするわけにもいきませんし。学園都市の図書館であるもので勉強致します。別に主席を狙ってるという訳でもありませんので」


「クインシー様に言えば買ってくださるのでは?」


「もうたくさん頂いてますから、これ以上申し訳ないですよ。私は何もお返しできませんし」


「お返しなぞ求められる方ではないでしょう?」 


「そうかもしれませんが、私が心苦しいのです」 


「いやはやなんとも謙虚なお方でございますな」


「普通ですよ」


「普通ですか」


「はい」


そういうとまた父親のような目で見られた。


遅くならないうちに王宮へ戻る事に。ついでに騎士の宿舎に遊びに行ってもいいかと聞くと、どうぞどうぞと言われたので行ってみる。うん、男臭い場所だ。自分が女になったからかこういうのがよく解る。



「た、隊長っ」


ジルベスターと手を繋ぐ俺を診て驚く騎士達。


「はっはっはっ。羨ましいか。今日の私はいちご姫様の父親なのだ」


「ず、ズルいです」 


「うるさいっ」


昨日のバーベキューに居た若手騎士だ。俺と手を繋ぎ、ゼルとリーリャも一緒だからズルいと言いたくなるのも解る。


ジルベスターが軽く案内してくれ、会う騎士、会う騎士にズルいと言われていた。しかしジルベスターは慕われてんな。厳しいだけでなく面倒見がいいのだろう。


「ここには遊びに来てもいいですの?」


「こんなむさ苦しい所で良ければいつでもどうぞお越し下さい」


なら、ポテチ作って貰って持ってくるか。次からは作って貰えばいいしな。


娯楽施設もあり、そこには棒型手裏剣みたいな物を的に当てるダーツみたいなのがあった。


「これやりたいです」 


ダラッと酒を飲みながらやってた若手騎士が驚いて立ち上がる。


「驚かせてごめんね。ちょっとやらせて」


「どうぞどうぞっ」


すぐに代わってくれた。


そして嬉しそうに投げ方を教えてくれる。


ふむふむ。意外と重いなこれ。


「手本見せて」


「ハイッ」


と、やってみせてくれる。上手いじゃん。


「これは遊びですが、いざという時に実戦でも使えるように訓練も兼ねてるのでありますっ」


暗器みたいのものなのかな?


教えて貰った通りにやっても届かない。やっと届いても刺さらない。難しいなこれ。


こんなのを投げるゲームはないからコマンドもないしな。弓ならゲームであるのに。


「ゼル、やってみて」


「初めてやりますから上手くいかないかもしれませんよ」 


と、投げると的を破壊した。


「も、申し訳ございませんっ」


「はっはっはっ。凄まじい威力ですな。軍人になったら活躍できますぞ」


ゼルの投げた棒型手裏剣が相手の頭をスイカのように弾け飛ばすのを想像してしまった。


もう一つの的で今日買ったバタフライナイフを投げていいか聞いてみる。


「投げナイフですか。そういうのが身に付いていると宜しいですな」


と、許可が出たので、カシャカシャカシャっと回してから投げる。これも練習したのだ。


スパンっと的に命中した。棒型手裏剣は出来なかったけど、これならいけそうだ。


刺さったナイフを騎士が取ってきてくれる。


「姫様、今の技はなんですか?」


「なんて言うんだろうね?バタフライナイフ回し?」


「もう一度見せて下さい」


というのでカシャカシャと出してカシャカシャとしまう。


「おー、カッコいいですね」


と言うのでやり方を教えてあげた。やはり男はこういうのが好きだよね。


今度バタフライナイフを買ってきてやるらしい。



ジルベスターに丁寧にお礼を言って部屋に戻る事にした。



「また機会がございましたら、是非父親をさせて下さい」


「ありがとうございます、お父さん」


と答えるととても嬉しそうにしてくれた。ここにいる期間は残り少ないのでもう出掛ける事はないだろうけど。


宿舎を出るときに騎士達が盛大に見送ってくれた。



玄関から入るとユーバリーが走って来る。


「何で誘ってくれないのよっ」


「え?バリ姉が来たら大事になるじゃない。唐揚げ食べに庶民街へ行っただけよ」


「え?庶民街に」 


「そう」


「何しに?」


「だから唐揚げ食べに」


「美味しいのそれ?」


「私は好きよ」


「ズルいっ」


「今日、カボチャコロッケ作ってもらったら?レシピ教えたからコックさんに言えば作ってくれると思うよ」


「唐揚げより美味しい?」


「私は唐揚げの方が好きだけど、バリ姉とかはカボチャコロッケの方がいいかもね」


「じゃあ、今夜の晩御飯一緒に食べよ。いつも部屋でしか食べないんだから」


気を使うから嫌とはいえなさそうなのでそうすることになってしまった。








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