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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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お父さん

「庶民街といっても栄えてるね」


「ここは中心の繁華街ですからな。金を持ってる商人も多いですので、その服装でも目立ちません」


確かに俺とリーリャはお嬢様ルック。ゼルはヅカだ。


金持ちの父親と娘二人、娘の従者って感じに見えるだろう。


繁華街はあの臭いもしない。さっきの所は畑が近かったのかもしれないな。


屋台がいくつも並んでいて、旨そうな匂いがする。昨日バーベキュー食ったのにね。


「あれは何の屋台?」


「串焼きですな。牛、鶏、豚とか色々です。それぞれの屋台がしのぎを削っておりますのでなかなか旨いですぞ」


「隊長は庶民街によく来るの?」


「はっはっはっ。私はこういうのが好きでしてな。堅苦しい食事よりこっちの方が宜しいのですよ」


だからよく知ってるのか。


王宮隊長はどうやら独身のようで、非番の時はこうやって食べたり飲んだりしにきているらしい。貴族街だと隊長と知っている者も多く、気が休まらないらしい。


「何か買って来ましょう。リーリャ付いて来てくれ」


「はい」


と二人で買いに行ってくれた。


「ゼル、俺は王宮よりこういうところの方がいいや」


「私もです」


「学園卒業してもゼルが独身なら学園のある街に家探す?」


「はい。でも姫様はどこかに嫁がれるのではありませんか?」


「俺が嫁に行ったらゼルは寂しくて泣いちゃうだろ?」


「そうかもしれません」


「俺よりまずお前だ。いい人がいれば遠慮せずに言えよ」


「姫様以外にいい人なんて出来ません」


相変わらずだなゼルは。

しかし、ゼルはいま22歳だっけ?早く嫁に行かせないと手遅れになるな。この世界の適齢期っていくつまでぐらいなんだろうか?25歳とかだとしたらあと3年か。他の護衛を雇うとかも無理だしどうしよっかなぁ・・・

これは自分の身を自分で守れるようにしておいた方がいいかもしれん。ゼルをいつまでも俺に縛り付けておくわけにもいかんからな。給料も払ってないし。


「お待たせいたしました」


と、隊長とリーリャが串肉を買ってきてくれた。牛、豚、鶏の3種類。


「じゃ鶏を頂戴」


「1種類ずつどうぞ」


これ食べたら唐揚げ食えないかも。一本一本が大きいのだ。


まず焼き鳥から。塩レモンだ。旨いわ。ビールが欲しくなる。半分ほど食べてゼルにハイと渡す。牛は塩コショウと何かのスパイス。硬いけど旨い。豚はやや獣臭かったので一口で終わり。


「いちご姫様は少食ですな」


「後で唐揚げ食べないとダメだからね。でもゼルもリーリャもよく食べるよね。あれだけカボチャコロッケ食べたのに」


「カボチャコロッケとは?」


「昨日、ユーバリー様がカボチャ食べてて、こんな料理出来るよって言ったのを作って貰ったの」 


「ジルベスター様、カボチャコロッケ美味しかったですよ」


隊長はジルベスターっていうのか。リーリャが様を付けて呼ぶから爵位も上なんだろうな。


「ほう。カボチャをコロッケにですか」


「はい。カリカリサクサクで甘いです。スープも美味しかったです」


「リーリャはいつもいちご姫様と一緒に食事をしているのか?」


「いつもではありませんが、新しいものは試食させて頂いてます」


「新しいものか」


「私は甘い物をあまり食べないので、甘い物が好きな人に試食して貰った方がいいですからね」


「そうですか。確かに甘い物を好む者が多いですからな」


「隊長はあまりお好きではないのですか?」


「私は酒飲みでしてな。どちらかというとこういう串肉でいっぱいやりたいほうなのです」


うん、気が合いそうだ。


「では、私が成人いたしましたらお付き合い致します。娘と飲むのも宜しくてよ」


「それは楽しみですな。あっはっはっは」


なんか仲のいい親戚のおっちゃんみたいだな。気さくながらもちゃんと配慮もしてくれてるし。部下には厳しそうだったけど。


「ちなみに護衛隊長さんは何というお名前かしら?」


「ゾイドです。私と遠い親戚なのですよ。歳も同じです」 


「飲みに行ったりされないのかしら?」 


「ゾイドはなかなか自由がありませんからな。管理する人数はこちらの方が多いのですが、あちらの方が気を使いますので大変でしょう」


「宿舎とかのご飯は王宮と別のコックですか?」


「そうです。王宮のコックは特別なのですよ。とても腕も宜しいですしな」


「コック同士は交流あります?」


「どうでしょうな。作る料理も違いますからないかもしれませんね」


「隊長は辛いものとかもお好きですか?」 


「ビールのお供に宜しいですな」


うん、これは王宮のコックにポテチを伝播してもらおう。



昼飯を食べねばならんのでプラプラ歩いて街の散策。


お、武器屋だ。


「ここに入っても宜しい?」


「武器屋ですか?このような物に興味がお有りですか」


「かっこいいじゃないですか」


「ふふふ、クインシー様のようですな。クインシー様もこういうのがお好きなのですよ」


うん。クインシーとは気が合うと思う。


中に入るとぎょっとされる。そりゃそうだろうな。アニメやゲームで見る冒険者みたいなやつもいるし、ファンタジー感満載だ。ゼルも興味深そうだ。


シャルロッテボディではショートソードすら無理だろうからナイフを見てみる。


お、バタフライナイフなんてあるじゃん。


「おっちゃん、これ見せて」


「お嬢ちゃんが使うのか?」


「そ、護身用にこういうのが欲しいの」


「ひ、姫様」


「姫?」


「ゼル、そのあだ名は外でやめてよねっ。恥ずかしいじゃない」


「も、申し訳ございません」


「はっはっはっは。シャルロッテよ。いつもそのような遊びをしているからだぞ」


「もう、お父さんまでっ」


ジルベスター、ナイスだ。


いくつかカウンターにバタフライナイフを出してくれた。この艶消しブラックのかっこいいな。


それを手に取って、シャカシャカっと回してみる。久々にやったけど忘れてないもんだな。


「ほう、ただのお嬢ちゃんかと思ったが鮮やかな手付きだな。どうやったんだ?」


と、店のイカツイおっちゃんに聞かれたので回し方を教えてみる。


「難しいじゃねぇか」


「慣れたら目を瞑ってても出来るよ。別に実戦に役立つわけじゃないけどね」


中学生時代におもちゃのバタフライナイフを通販で買って練習したのだ。


「姫様、そのような事をされると危険です。手を切ったらどうするんですか」


こいつはまた・・・


「ゼル、ちょっとしゃがんで」


「こうですか?」


ゼルのほっぺたを両手で掴んで説教する。


「外で姫様と呼ぶなと言っただろうがっ」


むぎゅぅぅぅっ


「ふ、ふ、ふ、ふいまふぇん」


「おっちゃん、これいくら?」


「そいつは銀貨10枚だ。このナイフの中じゃ一番いいやつだな。迷わずそいつを選ぶとは嬢ちゃんいい目してんな」


刃物なんて全くわからん。単につや消しブラックがカッコよかっただけだ。

銀貨10枚って事は10万くらいか。結構高いな。


一番安いので銀貨1枚からだそうだ。


「うーん、うーん」


クインシーから貰った金貨があるけど、いつかは返すつもりだし、ナイフに銀貨10枚かぁと悩んでいると隊長が払おうとする。


「だ、ダメですお父さんっ」


「いや、大切な娘が欲しいというのなら構わん」


あ、払っちゃった。


「旦那、お転婆な娘がいたら金がいくらあっても足らんな」


「全くだ。娘は金が掛かる」


どわっはっはと店主と笑い合うジルベスター。


店を出て、


「申し訳ありません。自分で払いますので。ゼル、お金出して」


「いや、プレゼント致します。父と呼んで下さったお礼です。こんな愛らしい娘を連れて歩けるなんて夢のようですからな。これもデートに付いて来た父親の役目です」


「非番なのに付いて来て下さった上に帽子や串肉まで出して頂いているのに」


「では、今日は父と呼んで頂けますかな」


「そんな事で宜しいのですか?」


「はい。いつかは妻を娶り、娘とこうして出かけるのが夢でございました。それが叶うのですから」


中身おっさんでごめん。


「わかりました。ありがとうございます。お父さん」


そう言うとジルベスターはとても嬉しそうに微笑んでくれたので、手を繋いでみた。


おっさん同士で手を繋ぐのはどうかと思ったが、不思議と嫌ではない。ジルベスターの手はゼルと同じく、ゴツゴツして硬い手だけど、それが父親の手かと思うと安心感がある。


そのまま手を繋いでレストランへ。


お目当ての唐揚げを頼んだ。


「お父さん、飲んでもいいわよ」


「ん、なら一杯もらおうか。ゼルとリーリャもビールでいいか」


「いえ、私は・・・」


「はい、頂きますっ」


と、リーリャは遠慮なく頼んだのでゼルも頼まざるを得なくなった。


俺もとは言えなかったので、レモン炭酸水を頼んだ



うん、ここの唐揚げ旨い。


「しかし、あのナイフさばきはどこで覚えられたのですかな?」


「なんとなく出来ました」


「なんとなくで出来るものではありませんよ。もう一度ナイフを見せて貰えますかな」


と、言われたので渡す。


「やはりこれはかなり良いものですな。銀貨10枚はかなり安い」


「庶民街だからじゃないですか?」


「いえ、刃物の値段は貴族街も庶民街も変わらんのですよ。貴族街で高くなるのは宝飾が付いたり刃以外の部分です。あそこの職人はかなり腕が立つようですな。これは掘り出し物かもしれません」


へぇ。


「シャルロッテ様は刃物の目利きも出来るのですな」


「いえ、この持つところの色がかっこいいなと思っただけです」


「確かにこの鈍い色は珍しいですな。極限まで存在感を消すような感じがします。護身用としてお持ちになるのに最適です」


「あの白い方が可愛かったですよ」


「あれはおもちゃと変わらんよ。銀貨1枚でも高い。恐らくこれを作った職人とは別の者だな」


チラッと見ただけでわかるもんなんだ。ジルベスターがこれを買ってくれなければ一番安いあれを買っていたかも。


ジルベスターとリーリャは唐揚げ食べてゴッゴッゴッゴとビールを飲んでたけど、ゼルはちびちびと飲んでいた。




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