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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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33/118

いざ庶民街へ

メイド長が退出したあと、ゼルもリーリャも申し訳なさそうな顔をしている。


「庇って頂いてありがとうございました」


「リーリャには昨夜サービスして貰ったからね」


「し、下着姿だったんですけど、何をしたのでしょうか」


「どの辺から記憶ない?」


「ここにどうやってきたのか・・・」


「リーリャのガーターベルト姿を堪能させてもらいました。それはもうバッチりと。もうお嫁にいけませんよ」


「も、申し訳ありません」


「ふふふっ。大丈夫よ。男の人にするときにはちゃんと恋人同士になってからね」


「勿論です」


いや、君、あの姿で俺を落とそうとしてたよ。


「リーリャ、コックさんと打ち合わせしたいから、時間あるか聞いてきてくれる?」


「かしこまりました」



「姫様、申し訳ありません。私も記憶が・・・」


「全くない?」


「は、はい」


「ゼル、ここに座って目を瞑れ」


説教されると思って小さくなるゼル。俺にあんなキスしたことすら覚えてないらしい。


小さく怯えるゼルにチュッとキスをした。


「えっ?」


「バツとしてお前の初めてをもらっておく」


「は、はいっ」


まぁ、女同士だからいいんだけど、記憶ないうちにファーストキスが終わってるのもなんだからな。ちゃんとした事を記憶に残しておいてやろう。


決してこれはゴリゴリのゼルでも唇は柔らかくて、もう一度したいとかではない。


「さ、水分補給して飯を食べよう」


「怒ってはおられないのですか?」


「どうして?」


「酒を飲んで記憶がないなど護衛として失格です」


「昨日は楽しかったんだろ?」


「は、はい」


「なら良かったじゃないか。それにお前がどれほど俺の事が好きかよく分かったからな」


「はい。大好きですっ」


ゼルはひょっとして、中身がいい歳した男だと言うのを本当は信じているのだろうか?昨日のあれは姫様への好きではなく、男への好きだったよな。


俺は元の身体だったとして、ゼルにあんな風に迫られたらどうしてただろうか?


朝飯を食べながらそんな事をボーッと考えていた。



食べ終わる頃にリーリャが帰って来た。


「いつでも大丈夫です」


「なら、今から行こうか。昼飯前になったら忙しいだろうから」


と、食堂に移動して、ユーバリーと話したカボチャのコロッケ、パイ、スープの話をする。


レムのお料理教室を思い出そうとすると、ゲーム画面が目の前に見え、操作出来る事に気が付いた。これは素晴らしい。


画面を脳内で操作してレシピを見てコックに伝える。


「裏ごしですか」


「そう、目の細かい網で濾していく感じ」


画面を見ながらそれを伝える。


「今から試してみますね」


と、厨房へいくコック。


「リーリャ、朝ご飯食べた?」


「食べそこねてしまいました」


「ならちょうどいいね。試食お願い、私はお腹いっぱいだから」


「はい」


待ってるのが暇なので、他のゲームも出来ないか想像する。お、これ刀剣の奴じゃん。頭の中でカチャカチャ操作して敵を斬る。ぬおっ、CPUの癖に強いじゃないか。


バシュ バシュ バシュっと現実ではありえない技が出る。ゼルがこれを使えたら無敵だな。


「あっ」


「どうされました姫様?」


「負けちゃった」


「何がですか?」


「剣だよ剣。相手が強いんだよ」


「夢でも見ておられますか?」


「イメージトレーニングだよ。頭の中で敵と戦うんだ」


「私もそれをよくやってます」


ゼルはイメトレやってるのか。


「頭の中で戦ってどうなるんですか?」


戦いと無縁のリーリャは知らないみたいだ。


「より強いイメージを持ってると身体がそういう風に動けたりするからね」


「へぇ」


「でも実物を見てないと想像もできないから、まず本当に見る必要があるね」


「実物を見るですか?」


「ん、こういうこと」


と、リーリャのスカートをピロッとめくってガーターベルトと大人パンツ拝見。


「も、もうっ」


「昨日は自分から見せた癖に。騎士達の前でも見せてたんだぞ」


「えっ?」


「自分でスカートめくって、ほらって」


「う、嘘ですっ」


「嘘だよ」


「もうっ、本当にしたかと思ってびっくりしたじゃないですかっ」


本当にするところだったんだぞ?


リーリャをからかって遊んでいるとスープが出てきた。


「これでどうでしょう?」


一口味見する。甘さと塩っけが美味しい。


「うん、これに生クリームをかけたらより美味しいと思う」


と、言うと生クリームを持ってたので、円を描くように入れて貰った。


「バッチリだね」


ゼルとリーリャも試食。


「とっても美味しいです」


「冬場は熱く、夏は冷たくてもいけそうだね」


「そうですね。冷たいスープとは考えていませんでしたがこれなら面白いかもしれません」


と、次はカボチャのコロッケ。おやつだなこれ。ゼルとリーリャは嬉しそうだ。


「パイというものは時間が掛かりそうですので、夕食の時にお持ち致します。しかし、姫様がおられると刺激があって楽しくございます。ケーキも食べて頂けるように頑張ります」


「だったら、俺の分だけ砂糖減らせる?」


「全部のケーキを減らすなら可能ですが、甘いのを好まれる方の方が多いのです」

 

ホールケーキの一部を減らすなんて無理だわな。


「ならさ、ケーキ自体は甘さを抑えて、お皿にメロンソースとかあしらったら?甘いのが好きな人はそのソースをタップリ付けるとか」


「なるほど、甘いソースを別にするのですな」


料理もそうしたら?と言っておいた。クインシーとかその方がいいだろうからな。


リーリャとゼルはカボチャコロッケをとても気に入ったようだった。揚げてきた奴全部食ったからな。


お昼ご飯は外で食べるからいらないと伝えて外出することに。


「リーリャ、普通の服は持ってる?」


「ありますよ」


「じゃ、着替えて。街でデートしよう」


「はいっ」


と、メイド服じゃない服を着るとちゃんといいところのお嬢様にみえる。


馬車で行くと王宮関係者とバレるので徒歩で行くことに。騎士達から手を振られるシャルロッテ。


王宮の門から出ようとすると、若手騎士に止められた。


「いちご姫様、どちらに行かれるのですか?」


「ん、街を散策するの」


「いけません。護衛も無しに何かあったらどうするんですかっ」


「護衛ならゼルがいるじゃん」


「それはそうですが・・・」


「メロン国ってそんなに危ないの?」


「そのような事はありませんが、女性だけでは」


「ゼルは強いから大丈夫。それとも君が付いてくる?」


「行きたいのは山々ですが、ここから離れられませんし」


それはそうだろう。知ってて言ったのだ。


「大丈夫。暗くなるまでには帰ってくるから。それに私は王族じゃないし誰も私のことは知らないでしょ?」


「で、では十分にお気を付け下さいませ。ゼル殿も」


「心得ている」


と、めちゃくちゃ心配そうに見送られた。


「皆過保護だよね?」


「シャルロッテ様は可愛くて保護欲をそそりますからね」


「狙われるならリーリャが狙われるよ。可愛いからナンパされるんじゃない?」


「声を掛けられますかね?」


「スカートめくったら一発だよ」


「そんなことしませんっ」


と、途中まで歩くと馬が走って来た。


ヒヒーン、どうどう


と、やってきたのは王宮騎士隊長だ。 


「あれ?隊長。どうしたの?」


「部下から、いちご姫様が外出されたと伺いましてな。お前は持ち場に戻れ」


「ハッ」


隊長は騎士の馬に乗せてもらって追いついてきたのだ。


「付いてくる気?」


「本日は非番でしてな。お供させて頂きます」


「そんな、悪いよ。それに今日は女同士のデートなんだから」


「では、娘のデートに付いてくる父親ってところですな。あっはっはっは」


これは断るの無理だな。


「隊長がいるなら庶民街へ行ってもいいかな?」


「庶民街ですか。むむむ」


「危ないの?」


「いえ、そうでもないのですが、あまり綺麗ではありませんぞ」


「別にいいよ。お昼ご飯食べたいだけだから」


「庶民町でご飯?」


「唐揚げとか食べたいんだよね」


「あー、なるほど。貴族街にはあのような食べ物ありませんからな」


「もう、口が贅沢な物でお腹いっぱいだから庶民的な物が食べたいんだよね」


「わかりました。では、まず貴族街へ参りましょう」


と、貴族街の服屋に連れて行かれて帽子を買ってもらってしまった。


「リーリャ、いちご姫様の髪が見えないようにしてくれ」


と、髪をまとめて団子にされる。いでででででっ。


「この髪目立つ?」


「はい。いちご姫様のような美しい髪を持つ人間は貴族にもおりません。お忍びをご希望のようですので隠した方が宜しいのです」


と、言われたので素直に言うことを聞いた。


歩くと遠いらしいので、乗り合いではなく貸し切りの馬車に乗る。


「ユーバリー姫様はご一緒ではないのですか?」


「バリ姉を誘ったら大事になるでしょ?」


「それはそうでございますね」


「学園に戻ってから一緒に遊ぶよ。自国の姫様が庶民街になんていけないだろうからね」


「そうですな」


「王族って不便だよね」


「仕方がありません。ま、王族の方が庶民街にいこうとも思っておられませんでしょうけど」


「そうかもしれないね」

 

しばらく馬車を走らせると貴族街から庶民街へ行くのにも門があり、門番に隊長が何やら指示をして、しばらく待たされる。


「では、こちらに乗り換えますので」


と、違う馬車を手配してくれた。


「あれは貴族が乗る馬車でしてな。庶民街では目立ちますので乗り換えました」


なるほど。何が違うかわからんけど、印かなんかあるのかな?



庶民街は雑多だけど活気がある。皆が着ている服は一気に地味になるね。あと街中の臭いは宜しくないな。汲み取り式なのだろうか?


「結構臭うね」


「トイレ事情は貴族街とは違いますかな。肥を肥料にも使いますので」


「人のやつを肥料にするの?」


「はい。しばらくおいてから使います」


「牛、馬、鶏の糞の方がいいのにね」


「そうなのですか?」


「一年ぐらい掛けて発酵させたら高温になって病原菌や寄生虫も死ぬし、人糞より安全だと思うよ。完全発酵したらここまで臭くないし」


と、ゲームの解説にあった。


「姫様は博識でらっしゃいますな。それも生産者に伝えておきましょう」


そんな話をしながら庶民街の繁華街へと向かったのであった。




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