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バーベキューその3

「赤くなったクインシー様、可愛いです」


「うるさいっ」


いくつになっても恥じらいがあるのはいいことだ。騎士達もきっと可愛いと思ったことだろう。


「いちご姫様、隊長やクインシー様を倒した技はなんですか?」

 

「ただの返し技。やってみる?」


ポテ


と、騎士達が次々やってきてポテッとこかされていく。


「やらてなんだけど、面白ぇ。あんなに簡単に転ばされるとは」  


と、こかされて喜ぶ騎士達。


「姫様、他の技はありますか?」


「色々あるけど怪我するよ。訓練でもないのにやめときなよ」


「それもそうですね。しかし、姫様は面白いお方ですよね。全く姫様らしくないです。いい意味で」


「はい、女の娘らしくもありません。いい意味で」


「お前ら、いい意味で、を付けたら何でもよく聞こえると思うなよ。怒るからなっ。ぷんぷんっ」


「なんですかそれっ?」


「可愛いだろ?激オコぷんぷん丸だ」


死後だけどここでは最新になるだろう。


皆、酒がいい感じに入って来たようで陽気になってきているからこういうのがよくウケる。


ゼルも若手騎士と楽しく話しているようだし、リーリャも仕事モードが消えて普通の女の娘になってる。圧倒的に男の方が多いからモテモテだ。


ユーバリーは騎士達に話しかけられていない。そりゃ、自国の姫だから気軽に話かけられんよな。ちょっと可哀想になってきたのでユーバリーの所にいく。


「拗ねてんの?」


「拗ねてなんかないわよっ」


と、プクッと膨れるのでそれを、


「エイ」


と、突付いてみる。


「やめてよっ」


「可愛いで顔が台無しよ」

 

「そんなコト思ってないくせに」


「いや、本当に可愛いよ。ちょっとゴロゴロしていい?」


「ゴロゴロってなによ?」


頭をくいっと下げて膝枕をして、耳元から首に掛けてゴロゴロしてみる。


「やだぁ、くすぐったいわよ」


「すぐに慣れるよ」


と、耳や首を撫で続けると、ウンッとか子供らしからぬ声をあげたのでやめておく。これは教育上よくない。


「も、もう、くすぐったいのに慣れたわよ」


「もう大丈夫。撫でるの満足したから。まだ食べたらないから肉かなんか食べてくる」


「じゃ、私も」


と、付いて来たのでおっさんの騎士の所に行く。


「姫様、何を召し上がられますかな?」 


「肉よ、肉。塩胡椒だけで」

 

「私はカボチャを焼いてもらおうな」


「バリ姉。カボチャもメロンの親戚なんだよ」


「そうなの?」


「きゅうりとかもね」


「へぇ」


「だからカボチャとメロンを合体させて育てたり出来るよ」


「なにそれ?」


「病気で枯れやすいやつには病気に強いカボチャを台木にして、その上にメロンの苗を接ぐの。そうすると病気に強くなったりするよ。台木との相性もあるから色々試さないとダメだけど。将来育成コースに行けば学ぶんじゃない?」


「いちご姫様。今の話は本当でございますか?」


「うん。ここではやってない?」


「初耳です」


「なら、生産しているところで試して見るといいかもね」


「はい、知り合いに生産者がおりますので伝えます。どのようにやれば宜しいか?」


と、接木のやり方を教える。あのニッチなゲームが役にたったな。



「しかし、いちご姫様のその服装は男の子みたいなのに可愛らしいですな」


「今日のコンセプトはお転婆娘だからね。バーベキューっていうからもっと雑多な物を想像してたの。河原でやるような」


「遠征だとそれに近いかもしれませんな」


「遠征って大変そうね。ご飯とか何を食べるの?」


「何日も掛かる時は干し肉とパンとかですね。水を出せる魔法使いがおりますので水を大量に持っていかなくて良いだけマシです。我々は遠征はほとんどないのですけどね」


「軍は遠征が多い?」


「軍は訓練で遠征しますからな。我々より過酷ですよ。獲物がいる季節なら狩りで肉を確保も出来ますが冬場は可哀想ですね」


これはインスタントラーメンが必要だな。


「クインシー様に携帯食の作り方伝えておくよ。クインシー様も気に入られてたし」


「ほぅ、良いものがあるのですか?」


「お湯掛けて食べるやつなんだけどね。学園の食堂のおばちゃんが作りあげてくれたんだ。私は3食それでもいいぐらい」


「それは楽しみですな」


「ねぇ、それは私も食べられるの?」


「甘くないよ」


「いいのっ」


「学園の宿舎の部屋にきたらいつでも食べられるよ。あと、好きなことをさせてもらわないとダメだし」


「あっ!」


「忘れてたとは言わさないよぉ〜」


「わ、わかってるわよっ」 


「ユーバリー姫様も歳の近いお友達が出来て宜しかったですね」


「友達じゃないわ。姉妹よっ」


「姉妹ですか?」


「そうよ」


「そうでしたか。それはおめでとうございます。そういえばいちご姫様はクインシー様に甘えておられましたな。仲が宜しくて何よりです」


「はい、クインシー様はフワフワっなのです。顔を埋ると窒息するぐらいに」


そう言うとおっさん連中は赤くなった。この世代は憧れ対象なんだな。


「クインシー様は物怖じせずに接するいちご姫様が可愛いようですな。本日のクインシー様はとてもお優しい顔をされております」


「騎士の訓練は見に来るの?」


「時々でございます。が、だいたいたるんだ時にふらっと来られるので、恐ろしいのですよ」


「兵士達も踏まれながら腹筋とかしてたもんね」


「それは序の口ですよ。一番怖いのは1対1を延々とやらされる時です。気絶するまで続きますので」


恐ろしい・・・


「クインシー様は騎士団のトップ?」


「いえ、クインシー様は軍のトップであります。騎士団は団長がトップです。本日はお越しになられてませんが」


「今日来ているあの騎士隊長は?」


「護衛騎士のトップです。後は王宮を守る隊、街を守る隊などに分かれます。護衛騎士隊が格的には一番上になりますかね」


護衛>王宮>街 格的にはこんな感じになるが明確に決まっているわけではないらしい。


「気の休まらない仕事だね」


「騎士は名誉ある仕事ですから苦になりませんよ」


うん。酒飲んでも崩れないからかなり自制心を鍛えてられているのだろう。


ふとユーバリーが食べてたカボチャが食べたくなって一口貰った。


「ん、このカボチャ甘いね」


「美味しいでしょ」


「芋栗南京は女の食べ物と言われるぐらいだからね。甘いの好きな人にはいいね。これ、スープとかコロッケとかパイにしてもらったら好きなんじゃない?」


「カボチャをスープに?あとコロッケってじゃがいもよね。パイって何?」


この世界はお菓子系がほんとに種類ないな。フルーツそのものが重宝されてるからか?


「ここにいる間にコックさんに伝えておくよ」


「カボチャのコロッケか。どんな味なんだろ?」


「カボチャの味だよ」


「わかってるわよっ」


それ以外言いようがないからな。


「いちご姫様はご自身で料理を?」


「うーん、ほとんどやらないかな。ラーメンがあればいいし、他はゼルが作ってくれるからね」


「ゼル殿が身の回りの世話を?」


「そう。何でもしてくれる。ここにお世話になってる間はリーリャがしてくれるけど。リーリャはいい娘だよね」


「確かに彼女は優秀ですな」


「騎士達は結婚相手とかどうしてるの?」


「見合いか家の都合が多いでしょうな」


「家の都合ねぇ。それで幸せならいいけどね」


「庶民と比べて裕福な暮らしをしている分自由はないのですよ」


「そうだね。私は庶民の方がいいや」


「何をおっしゃいますか。姫様なのですぞ」


「元姫様ね。いちご姫って呼んでくれる人多いけど、あだ名みたいなもんだから」


「いやいや、姫様は姫様ですぞ」


「じゃ、姫様らしくしておこうかしら」


「どちらの姫様もお似合いですな」


この騎士さん、口上手いな。



あ、また、ユーバリーを放置して話こんでしまった。



相手をしてくれたお礼を言ってクインシーの所に戻った。



「お前はあれが誰か知ってるのか?」


「いえ」


「あれは王宮隊の隊長だ」


「へぇ。通りで色々詳しいと思った。話も上手だしね」


「お前は何かセンサーでも付いているのか?的確に重要な人物に寄って行くからな」


「たまたまです。バリ姉がいたから若手騎士より落ち着いた年齢の所に行っただけです。あ、そういえばラーメンの件なんだけど」


「あぁ。あれな」


「ここで作りますか?買うより作った方が安いし、軍の冬の遠征とかに良さそうって隊長と話してたんです」


「あれは売り物にするんだろ?」


「クインシー様が統率する軍隊から利益を取ろうと思いませんよ。ここで作って予算が抑えられたら、その分他の食べ物とか充実してあげて下さい」


「お前は要所を押さえるのが本当に上手いな。私の代わりに軍を率いるか?」


「まっぴらごめんにございます」


あながち冗談でもなさそうな雰囲気なので、ゼルの元へと走っていったシャルロッテであった。




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