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シャルロッテ、キレる。

「どうだった?」


ゼルが汗だくでヘトヘトになって帰って来た。


「本日は騎士と延々と立ち合いでした」


実戦が不足してると言われてたからな。


「ご飯前にお風呂にいこうか」


と、言うとゼルがふらっとしたのでギュッと抱きついて支える。


「い、いけません。汗でベトベトですので姫様が汚れます」


「ゼルは臭くないから大丈夫だ。このまま風呂に行こう」


女の人って汗臭くならないのだろうか?


リーリャに人工汗スポドリの作り方を教えて風呂に持って来てもらうようにお願いしておく。



「自分で洗うからいいよ」


「いえ、私は姫様の髪の毛を洗うのが好きなのです」


と、疲れているだろうに俺の頭を洗うゼル。仕事とか義務でなしに本当に好きでやってくれてるんだな。



「シャルロッテ様。これで宜しいでしょうか?」


リーリャがスポドリを持ってきてくれた。少し甘いけどゼルにはこの方がいいだろう。


「ありがとう」


「塩とハチミツを混ぜて美味しいのでしょうか?」


「飲んでみる?」


今日はユーバリーがいないのをキョロキョロと確認して飲むリーリャ。


「あ、美味しいです」


「普通の水を飲むより、こういうのにしたほうが吸収が早くていいんだよ。汗をかいたら塩分も不足するしね。水だけ飲んでると倒れるよ。他の騎士達にも支給してあげた方がいいかもね。甘さはもうちょっと少なくて大丈夫だよ」


「わかりました。進言させて頂きます」


ゼルはゴッゴッゴと飲んでおかわりしていた。


風呂から上がってからもゼルには追加で飲ませておく。


「ゼル、一日中訓練しているなら、訓練中も飲め。倒れるぞ」


「かしこまりましました」


夕食は部屋で食べたいとリクエスト。他の人がいると疲れるしな。



俺のはメロン抜きにしてくれてあった。そしてデザートはメロンケーキ。


これで正しいか確かめて欲しいと言われて食べてみる。スポンジが粗い感じがすると伝えるがどうやったらきめ細やかになるかは知らないので研究してもらうしかない。


「姫様、フワフワで甘くて美味しいですっ」


ゼルはめっちゃ嬉しそうだ。


「リーリャ、これは試食した?」


「まだです」


「じゃ、アーンして」


と口を開けさせて食べさせた。


「んフッ。美味しいですっ」


「じゃ、残りあげる」


「召し上がられないんですか?」


「ポテトとかポテチの方がいいかな。私には甘すぎるのよ」


甘いケーキは一口で十分なのだ。甘み=贅沢な発想だからめちゃくちゃ甘いのだ。甘さ控えめなら食べてもいいけど。


ゼルとリーリャはこれくらい甘くて美味しいらしいけどね。



ゼルが疲れてるみたいなので早めに寝ることに。ベッドに入るとすぐに寝るゼル。眉間にシワを寄せて必死な顔つきをしている。夢の中でも訓練しているのかもしれない。


起きない程度にチョイチョイとくすぐってみるとうへへへとか言いながら笑顔になったので俺も寝よう。



翌日もゼルは訓練に俺はユーバリーの勉強をみる。昼飯はホットドッグだ。素晴らしい。


「甘くないねこれ」


「ケチャップが甘いじゃない」


「えーっ」


これぐらいの甘みでいいのだ。マスタードも欲しいけどなさそうだしな。



昼から暇なのでゼルの訓練を見たいと言ってリーリャに連れてってもらった。


「敵は一人だ!かかれっ!」


「うぉぉぉおっ」


なんだよこれ?


ゼルに襲いかかるのは騎士ではなさそうだ。


「あれは兵士?」


「そのようですね。あんな人数を一人で・・・」


10人の兵士がゼルに襲いかかる。


剣だけでなく槍もいるし、砂を投げて目潰しとか仕掛けてやがる。


ガツッ


ゼルがもろに食らった。木剣とはいえ血が吹いたのがここからでも見えた。


シャルロッテはたまらず訓練場に飛び込んでいく。


「シャルロッテ様っ!」


慌てるリーリャ。シャルロッテはBダッシュする。


「この野郎っ!寄ってたかって何しやがるんだ」


シャルロッテは砂を投げたやつにパンチパンチパンチで浮いた所をサマーソルトキック。


バシュっ


相手が倒れたとろにジャンプしてニーを叩き込んだ。


「大丈夫かゼルっ」


「ひ、姫様何をっ」


シャルロッテは袖をビッとちぎってゼルの頭に当てる。


「おい、訓練の邪魔だっ」


と、兵士がシャルロッテに手を伸ばした


「エイっ」


その腕をとってその場に倒して両足を掴み

←↙↓↘→P+G


「ふうぅん」


ブンブンブン


「とりゃあっ」


ジャイアントスイングをかまして残りの兵士にぶつけた。


「うぉぉお Do you hear me? 」


いかん、勝ちセリフを言っている場合ではない。


「ゼル、大丈夫か?女の子なのにこんな怪我をさせやがって」


「シャルロッテっ。何勝手に乱入してるんだお前はっ」


「ゼルを傷物にしたからだろがっ」


クインシーがめっちゃ怒ってこちらにやってきたがキレているシャルロッテは怒鳴り返した。


「訓練に怪我は付き物だっ」


「うるさいっ!」


「早く離れろっ」


クインシーに近付かれた勝ち目がない。


↓↘→P


「波動拳っ」


「うおっ」


と、避けた所にダッシュしてサマーソルトキック


バシュ


ゲッ、避けられた。


サマーソルトが空振った後に足を掴まれた。


「ったく、貴様は。怪我は治癒士が治すから傷は残らん」


え?


「そうなのですか?」


片足を掴まれて宙ぶらりんになりながらクインシーにそう返事をする。


シャルロッテはスカートなのでパンツ丸出しだ。


兵士達はリーリャに向こうを向きなさいっと言われて慌てて後ろを向いていた。


クインシーはヒョイと抱き上げてシャルロッテを下に降ろす。


「姫様っ」


「ゼル、大丈夫か?」


「おい、早くこいつを治せ」


と、治癒士が呼ばれ、呪文を唱えるとゼルの傷口が塞がり傷跡も無くなくなった。


シャルロッテはそこを撫で撫でして傷がないか確かめる。


「良かった」


「姫様、何をしに来られたのですか。危ないではありませんかっ」


「昼から暇だったからちょっと見に来たらゼルが頭から血を吹いたから、こっちも頭に血が登っちゃって」


「休憩だ。各自食事を取れ」


「ハッ」



どうやら、今のは午前中の締めくくりの訓練だったようだ。



「ったく、護衛が訓練している所に主人が乱入して来るやつがあるかっ」


「ご、ごめんなさい」


「姫様、不甲斐ない護衛で申し訳ありません」


「あんな汚い手を使われたら攻撃も食らうよ」


「そういう訓練だ。実戦に即した訓練をしておるのだ。賊が綺麗な手で襲って来るとでも思ってるのかっ」


と、クインシーにこっぴどく叱られた。


そして食事が終わる頃にクインシーに兵士達が呼び出された。ゴツい兵士達は直立不動だ。


「貴様ら、コイツの体格を見てみろ。訓練相手ではないと油断したとはいえ、攻撃を食らった挙げ句投げ飛ばされるとは何事かっ」


「申し訳ありませんっ」


「腕立て千回っ」


と、全員がその場で腕立て伏せ。投げ飛ばされた兵士の上にクインシーは座る。


「潰れたら我が直々に稽古を付ける」


そう言われた兵士は真っ青になって腕立て伏せをやっていた。クインシーは兵士からかなり恐れられているようだ。



「で、あの技はなんだ?」


「どれのことですか?」


「一つはこいつを投げ飛ばした技だ」


「ジャイアントスイングです」


「私に飛ばして来た火の玉は魔法か?」


「波動拳です。魔法ではありません」


「私に食らわせようとした技は?」


「サマーソルトキックです」


「それらはいつ覚えた?」


「目覚めた時に使えるようになってました」


「ふんっ。今日、飯の後にそちらの風呂へ行く」

 

「わかりました」


「訓練を見るならここで大人しく見ておけ。アイツが怪我をしても治癒士が治すから飛び出すな。その行為はアイツを侮辱していることと同じと思え」


「姫様、私は大丈夫でございますから」


そう言うゼルをチョイチョイと手招きをしてしゃがませるシャルロッテ。


そしてゼルの顔を抱き締めて頭をヨシヨシした。


「ごめんな、ゼル。俺の為に痛い思いをさせて」


「姫様」


ゼルもシャルロッテをギュッとした。


「必ずや、姫様に心配されないように強くなります」


「うん」



「よし、訓練を再開する」


と、兵士達とゼルは訓練を再開した。


「リーリャ、悪いけど、皆にスポドリを用意して貰えるかな」


「はい。かしこまりましました」


「スポドリとはなんだ?」


「水分補給の為の飲み物です」


「水は飲んでいただろうが」


「水だけでは倒れます。それを根性が無いと叱責してるのではありませんか?」


「当たり前だ。暑いとかで倒れるやつは根性が足らんのだ」


「根性でどうにかなるものではございません。体調管理は監督しているクインシー様のお仕事。下手したら死にますよ。戦場で敵にやられて死ぬのは兵士の誉であるかもしれませんが、監督の体調管理不足で死ぬのは監督の愚かさです」


「貴様っ・・・」


「人間の身体は熱を逃がそうと汗をかきます。その時に水分だけでなく、ミネラル、主に塩分を失います。水だけを補給しても失われたミネラルは戻りません。酷い場合は命まで失ったり、後遺症が出たりします。甘やかせと申しているのではありません。身体に影響がでないように監督をしてくださいと申しているのです」


「チッ、どうしろと言うのだ?」


「リーリャに水分補給用の飲み物をお願いしましたので、それをこまめに飲ませてあげて下さい。甘いメロンなどを休憩の時に食べさせるのも宜しいかと」


「兵士達にメロンを?」


「国防を任されている兵士にそれぐらいされても宜しいのでは?果物を欲しているのは王族や貴族より身体を使う兵士達ですよ。特に夏場はね」


そして次の休憩の時にスポドリを飲ませた。いつもなら最後へばって動けなくなる兵士たちも今日は倒れ込むことなく訓練を終えたのであった。


今日の隊の隊長らしき人が訓練が終わった後に挨拶に来た。


「シャルロッテ様。本日はご無礼を申し訳ございませんでした」


「こちらこそ、部外者が勝手な事を致しまして申し訳ございません。ゼルの血を見て少々キレてしまいました」


「しかし、このような小さく華奢なお身体であられますのに、見事な体術の使い手であられるとは恐れ入りました」


「たまたまですよ、たまたま」


様々なゲーム、キャラをコマンドだけで同時に使えるのはチートだよな。Bダッシュとか懐かし過ぎて自分でも笑えてしまったのであった。


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