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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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人生の分岐点

風呂から出て明日の朝食後からゼルは稽古、俺はユーバリーの勉強を見ることになった。


部屋に戻ると氷、レモン、炭酸水と水が用意されていた。


「ではお休みなさいませ。何かご用がございましたらそのベルを鳴らして下さい」


と、リーリャが部屋から出るとゼルがベッドに座椅子のように座って、


「さ、姫様どうぞ」 


とおいでおいでする。クインシーにやって貰っていたおっぱい枕をしてくれるつもりなのだろう。そして俺の頭を撫でたいのだ。


昨夜はあんなに悔しそうにしていたのにもう立ち直ったのか、クインシーに張り合っているのかわからないけど。


トテトテと歩いてポスンとゼルが広げた足の間に座った。そしてゼルに持たれ掛かる。


「いっ、いかがですか?」


「硬い」


レカロシートかお前は?


頭はそれなりにほにょんとはするが、全身が硬いのだ。


「俺は頭とか身体が埋まっていく人をダメにするクインシーみたいなのがいいの」


そう言うとまたシュンとしてしまったので、そのまま上に手を伸ばして耳の後ろをくすぐってやった。


「うっひゃぁぁぁ」


ベキベキベキっ


「死ぬわっ」


「も、申し訳ありません」


後からベアホールドされて肋骨が折れたかと思ったシャルロッテであった。



朝食はルームサービス。サンドイッチなのはいいけど、なぜメロンにマヨネーズなのだ?硬いメロンを使っているから、少しキュウリサンドみたいな感じだけど、メロンの風味が邪魔だ。


一口齧ったのをゼルにアーンする。


「お気に召されませんでしたか?」


「ストロベリー家もそうだったんだけど、フルーツにマヨネーズの組合せがどうも苦手なの」


「他のをご用意致します」


「じゃあ、卵とハムとか甘くないものがいい。メロンが必須ならカスタードクリームか生クリームにして」


「どのようなクリームですか?」


そういや、お菓子はクッキーとかばかりでケーキ類を見たことがないな。


「もしかしてカスタードクリームとか生クリームってないの?」


リーリャもゼルも知らないらしい。生クリームって高い牛乳の上に固まるやつだよなな?


カスタードクリームは卵と牛乳と小麦粉、砂糖だったな。レムのお料理ゲームに出て来て調べたから覚えている。


リーリャに生クリームの説明とカスタードクリームの作り方を教える。


「生クリームは冷やしながらよーくかき混ぜるとふわふわなクリームになるよ」


「これは時間が掛かりそうですね」


「今日の朝食には無理だろうね」


「ではハムと卵のサンドイッチをお願いして参ります」


しばらくして持って来てくれたハム玉子サンドを食べて、ゼルは訓練士へ、俺はユーバリーの部屋に連れて行かれた。



「シャルロッテ!」


「おはようございます、ユーバリー様」


「もうっ、普通に話してよっ。それにバリ姉でいいわ」


「じゃ、お言葉に甘えて普通に話すね」


「うんうん」


と、まずは算数を見ていく。当学年の内容は大体できてるけど、一つ上の勉強をしているのか。


「王族って面倒よね。恥ずかしい成績とか目立つし、リーリャとか飛び級でしょ?比べられるのよね」


「人は人よ。バリ姉は将来どのコースに行くつもり?」


「植物育成コースかなぁ。帝王学は兄ぃ達がいくしね」


「なら、算数と理科はちゃんと学んだ方がいいね。品種改良とかするのに遺伝とか覚えないとダメだし」


「品種改良?」


「美味しい果物や野菜を作るのに研究するんでしょ?」


「美味しいのを増やしていくだけじゃないの?」


「美味しくなる種類を狙って作っていくのが品種改良。自然に任せてたらなかなか凄いのなんて出て来ないでしょ?後は肥料とか、温度管理とか植物の育成って、科学的なものが多いと思うよ」


「シャルロッテって、色々知っているのね?」


「ほ、ほらたくさん本を読んでたから」


「あー、そっか」


「バリ姉はいつもは何をしてるの?」


「勉強、ハープの練習、ダンスの練習とかかな。ここにいるとやる事がたくさんあるの」


「大変ね」


「シャルロッテはストロベリー家で何してたの?」


「部屋でジーっとしてた」


「本当に外に出ないの?」


「王宮の中ですら何あるか知らないもの。でもいつものゼルがいてくれるからそこまで嫌じゃなかったけど」


「あの玉遊びはどうして上手かったの?」


「計算したの」


「へぇ。アームス兄ぃを吹き飛ばしたのは?」


「計算したの」


「計算って何でもできるのねぇ」


嘘に決まってるだろが。それに理数系は好きなだけで特別出来る訳でもない

のだ。



午前中で勉強は終わり。ユーバリーは他の習い事をしないといけないようだ。


お昼ご飯を一緒に食べよと言われたのでここで食べる事に。


部屋で待っているとミニコース的な料理だがユーバリーと俺のは少し違う。ちゃんとメロンを抜いてくれているのだ。素晴らしい。


「メロン嫌いなの?」


「料理にフルーツが入ってるのが嫌なのよ」


「母上と同じね。私は甘くて好きよ」


ちゃんと美味しいと思って食べてるんだな。


そしてデザートにメロンサンドin生クリームを持ってきてくれた。


「シャルロッテ様、こちらで宜しいですか?」


「うん、バッチリ。でもデザートならパンより、ケーキとかの方がいいかな。これはおやつって感じ」


「ケーキ?」


スポンジの分量なんて覚えてないや。小麦粉、バターもしくはサラダ油、卵だったけな?これはシフォンケーキだっけ?


分量はわからないけど作り方はゲームで覚えているのでリーリャに伝えようとすると、この後の予定がないなら食堂でコックとお話をしませんか?と言われた。


「ねぇ、シャルロッテ。このメロンサンドイッチめちゃくちゃ美味しいんだけど」


「良かったね。コックさんが相当優秀なんだよ」


伝えただけで、食べたことないものをちゃんと作ってくるって素晴らしいよな。


で、ユーバリーとバイバイして食堂へ。



「シャルロッテ様。あの牛乳の塊は料理に入れたりはしていましたが、サンドイッチのソースになるとは思いませんでした」


「サンドイッチ用というより、お菓子用だね。ケーキとかパフェとかにも使えるし、アイスクリームとかにも使えるよ。みんな甘い物好きだし喜んでくれるんじゃないかな」


「あのカスタードクリームというものお菓子用でございますか?」


「そうそう。生クリームは熱に弱いけど、カスタードクリームならパン生地で包んでクリームパンとかにも出来るから」


元の世界で食べたことがあるものを教えていく。甘いパンはいらないからピザとかホットドッグとか作ってくれないかな?


と、これは作れるかとかジャンク的な物を聞いていく。


「むむむむっ、これはやりがいがございます」


「私のはメロン抜きで、皆さんはメロンを使ったものとかわけて作ってくれると嬉しいな」


「承知致しました。クインシー様もメロン抜きの方が宜しいでしょうな」


「クインシー様がメロン料理嫌いなの知ってるのね」


「もちろんでございます。しかしながら、昨夜のデザートは喜んで召し上がって頂き大変嬉しく思いました」


「コックさんはメロン料理って美味しいと思ってる?」


「国を象徴する果物ですし、最高の贅沢なのです」


なるほど、旨いとは思ってなくてもそうは言えないからこういう答えになるのか。


「なら、その贅沢はデザートにしたら?ユーバリー姫様とかメロン料理が美味しいと思ってる人もいるから全部やめる訳にはいかないだろうけど」


「そうでございますね。好みもございますから、選べた方が良いかもしれません。メロン料理で何かご存知の物はございますか?」


「食べた事はないけど、生ハムメロンって言うのはあるよ」


「生ハム?」


「塩漬にした豚肉を長期熟成して低温の煙で何日にも分けて燻すらしいよ。ハムって中まで火が通ってるでしょ。生ハムは火が通ってないんだよ。凄く薄くスライスしてメロンに乗せて食べるらしいよ」


オニオンスライスの方が合うとは思うけど。


「生の肉ですか。それは少々危のうございますね」


「何年か熟成させると大丈夫みたいよ」


「少し想像が付きませぬが、とりあえず普通のハムで試してみましょう」


と、色々なメロンにハムを乗せて持ってくる。俺はいらないんだけどな。


リーリャには試食の仕事と言って一緒に食べさせる。甘い物好きな人とそうでない人が食べた方がいいしね。


「ふむ、こちらの甘みの少ない物と食べるといけますね」


「私は甘いメロンの方がより甘く感じて美味しいです」


うん、俺はハムだけでいい。


「本日の前菜に両方出してみます」


「そうだね。好みに応じて分けてあげればいいんじゃない?私はハムだけでいいわ」


「かしこまりました。あとケーキとはパンケーキのことでございますか?」


「あれよりもっとフワッとしてるかな。卵の白身と黄身を分けて作るんだよ。卵白はシャカシャカ泡立ててクリームみたいにしたところに卵黄と溶かしバターか油を混ぜて小麦粉をふりかけて混ぜるんだ。それを型に入れてオーブンで焼いたのがスポンジ。焼けた上の硬い所を切り落として、真ん中で上下に切り分けて、中にクリームとメロン。全体にクリームを塗って、上にメロンを乗せたら出来上がり」


「一度やってみます」


と、ここでポテチとレモン炭酸水が登場。おやつの時間だ。


「うん、私はしょっぱい方がいいや」


その後も色々聞かれたので知っていることは教えておいた。




このコックとの料理談義が、シャルロッテの運命を大きく左右するとは気付いていないのであった。

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