メロン王国っていいところだ
「シャルロッテ!ようこそメロン国へっ」
「ユーバリー姫様。クインシー王妃様のご好意に甘えてしまいました。マスク王陛下、突然の来訪をお詫び申し上げます」
「イチゴ姫、よく来てくれた。この度は愚息のせいでそなたの人生を狂わせてしまった事を深くお詫びする」
「陛下が私のような者に謝罪などされないで下さいませ。ストロベリー家からの離籍が少々早くなっただけでございます」
「いや、そのような事はない。アマ王は酷く心を痛めておられたぞ」
「アマ王陛下とは血の繋がりはあるかもしれませんが、父ではありません。公を取るのであれば私に惑わされ無ければ良かっただけの話にございます。私が離籍することによって、私に惑わされたことも無かった事に出来ますでしょう」
「う、うむ・・・」
もうこの話はどうでもいいので、蒸し返しにくいように言っておく。
「イチゴ姫・・・、いやこのような呼び方は不躾であるな」
「元々あだ名のような物でございますのでお気になさいませんように。この髪色から付いたような物でございますので、いっその事、スイカでもトマトでも宜しいですわ」
「シャルロッテ、スイカってメロンの親戚なのよね?」
「そうですわ」
「じゃ、スイカの方がピッタリね。お母様の籍に入ったのでしょう?」
「後見人になって頂いのです。養子に入った訳ではございませんわ」
「同じじゃないっ。私達これで本当に姉妹ね。ユーバリー姉と呼んでね。あ、長いからバリ姉でもいいわ」
バリ姉って、響き悪いだろ?スイカ姫もたいがいだけど。
「あの、クインシー王妃様」
「もうクインシーでよい。母でもいいぞ」
「この度の後見人の件、詳しく存じあげておらず申し訳ございませんでした。私は身元を保証してくださるだけの事と思っておりました」
「そうであろうな」
え?
「詳しく説明したらこの話を受けなかったであろう?身元保証ですら渋っていたのだから」
「ん?そうであるのか?」
「陛下、シャルロッテは賭けの金貨も受け取ろうとしなかったのです。賭けを受けたのも金貨の価値を知らなかったからのようです。大金だとわかって、税金をこのような下らない事に使うなと叱責されましたわ」
「ほぅっ。で、結局はどうしたのだ?」
「アームス自身が稼いだ金ならば受け取ると。まぁ、アームスが稼げないと分かっていてそう言ったのでしょうけど」
「しかし、こちらから持ち掛けて無理矢理勝負に挑んだ挙げ句に負けたのだ。払わない訳にはいかないだろう?」
「私の個人資産から払いました。あれは税金ではございませんので。シャルロッテはお金を持っておりませんでしたので、無理矢理押し付けましたわ」
「ん?金をもっておらぬと?」
「ストロベリー家はシャルロッテにお小遣いをあげていなかったようです」
「そうであったか。暮らしに不自由は無いとはいえ、自由になる金がなければ金貨の価値などわかるはずもないな」
マスクとクインシーの話からすると普通はお小遣いを貰っていて当然のようだな。ゼルの経費体系もおかしいし、ミリイがあっさりと辞めたのもこういうのが原因だったのかもしれない。シブちんというより正妻達の差し金だったのか?まぁ、今となってはどうでもいいけど。
食事はまぁ、あれだ。メロン料理。ストロベリー家のメロンバージョン。今日は他所のお家なので我慢して食べるしかない。
ふと、クインシーを見るとクックックと笑っていた。
どうだ?不味いだろ?って感じだな。
「ユーバリー、シャルロッテに算数を教えて貰うように頼んであるので、明日から夏休みが終わるまで見てもらいなさい」
「えっ?教えてくれるの?」
「はい、一つ上の学年の算数でしたら大丈夫です」
「やった!夏休みの宿題教えて貰おっ」
ん?
「夏休みの宿題?」
「そうよ」
「ゼル、そのような物ありました?」
「姫様は成績優秀でしたので出ておりません」
そう言われてホッとした。
「成績優秀なら宿題ないの?いいなぁ」
「シャルロッテよ、そこまで成績が良いなら飛び級をしたらどうだ?」
クインシーは王妃らしい話し方をするようにしているけど、俺に話しかける時は素になるな。
「飛び級?」
「あぁ、授業が退屈だろ?とっとと専門課程に行けば、魔法も錬金術も両方学べるぞ」
そうか。飛び級すれば両方学べる可能性もあるし、早めに卒業することも可能。
「どのようにすれば宜しいでしょうか?」
「年明けに飛び級のテストを受けろ。その結果でどこまで飛び級が出来るか決まる。もし、専門課程まで上がれるなら行きたいコースのテストを受けることになる。詳しくはお前に付けたメイドに聞け。あいつも飛び級で卒業したからな」
「リーリャはやっぱり優秀なんですね」
「お、もう名前を聞いたのか?」
「はい。求婚したら振られました」
「クックック、やはりお前は面白い。気に入ったのなら連れて帰っていいぞ」
「それはありがたいお申し出ですけど、彼女の将来を考えたらここにいるほうが良いでしょうね」
「今の所はそうだろうな。アームス、アンデス。お前らよりリーリャの方がいいみたいだぞ。シャルロッテは人を見る目があるな」
「は、母上・・・」
アンデスはとても渋い顔をしていた。
クインシーは王妃らしく振る舞うのを止めていた。マスクは惚れた弱みかそれを嗜める事が出来ない。まぁ、客と言っても俺だしな。かしこまる必要は無いのだろう。
アームスとアンデスは俺に話し掛けるチャンスを伺っているが、クインシーとユーバリーがガンガン話をしてくるので二人は口を挟めない。
そしてデザートが運ばれて来た。メロンシャーベットだ。丸くくり抜かれたシャーベットに練乳でマスクメロンみたいにしてあり、綺麗にカッティングされたメロンがあしらわれている。俺の想像しているチープなシャーベットと大違いだ。ちゃんと王族の食事に相応しいデザートになっている。
「ほう、新作か。コックのやつ、シャルロッテが来たから気合をいれたのか」
「ふむ、我が国を象徴するようなデザートであるな」
「ユーバリー様、いつもは違いますの?」
「メロンを切っただけよ。これめっちゃ美味しい。この白いソースなんだろう?」
「誰かコックを呼んで参れ」
と、マスク王が指示をしたら、コックがやってきた。
「お呼びでございますか」
「うむ、本日のデザートは見事である。いつこのような物を考えたのだ?」
「お客様からのリクエストでございます。作り方も教えて頂きました」
シャルロッテは飲んでいたレモン炭酸水をブッと吹き出す。
「シャルロッテが教えた?」
「ちっ、違います。こんな素敵なデザートなんて教えてませんっ。果汁を凍らせてシャーベットにして、お風呂で食べたら美味しいよとゼルに話してたのをリーリャが聞いてコックさんに伝えてくれただけです」
「シャルロッテ様。本日は貴重なレシピを教えて下さり、誠にありがとうございます。果汁は凍らせて試した事はございましたが、途中でかき混ぜるとは盲点でございました。それにこの練乳というソースはこのシャーベットなる物との相性もよく、メロン国らしいデザートに仕上げることが出来ました」
「これはコックさんの技量の賜です。私に頭を下げないで下さいませ」
そしてコックが合図するとポテチが運ばれてきた。
「ポテチなるものはこれで宜しかったでしょうか」
と、王や王妃を差し置いてシャルロッテの目の前に出された。
パリパリパリ
久々のポテチ旨っ
「バッチリ!これ包丁でスライスしたの?」
と、思わず素に戻る。
「はい、なかなかコック泣かせのスライス技術が必要となります。しかしながらこのポテチなるもの、酒との相性が非常によろしいと思います。ビールの軽いおつまみに最適かと」
確かに。ベストはコーラだが、ビールにもいいんだよね。
「ビールに合わせるなら辛いのもいいよね。カイエンペッパーとかあるならそれを掛けても」
「カイエンペッパー?」
「唐辛子を小麦粉ぐらいに細かく挽いたやつ」
唐辛子をカイエンペッパーというらしいが、俺のイメージは極細かく挽いたやつだ。
「なるほど、そこまで細かく挽けば上手く絡めることができるかもしれません」
コックと話しながらポテチをパリパリと食べ、シャーベットで口をリセットしてまたパリパリと。甘みと塩味を交互に食べると止まらん。
皆の前にもポテチが置かれて食べ始める。
「クックック、これは面白い。これをレシピ登録しろ」
「クインシー様、これをスライスするには技量が必要にございます」
「あ、リーリャには簡単にスライス出来る物も教えておいたから、それがあったら誰でも出来るよ」
「スライスするもの?」
と、リーリャにした説明をする。
「これは職人に頼まねばなりませんな」
「よし、それも登録しろ。そしてメロン国で売り出せ」
と、クインシーの一声で決定。まぁ、義理の母だから好きにしてくれ。俺は常に食えるようになればいい。
食事が終わり、ユーバリーが一緒にお風呂でメロンシャーベットを食べると言ってきた。他国の姫ボディを見ても良いのだろうか?ま、シャルロッテボディと大差ないから興味はない。ユーバリーには猫耳としっぽを付けてなんぼなのだ。
アームスとアンデスとはほとんど口をきかないまま部屋に戻るとすぐにユーバリーがやってきた。
「行くわよっ」
風呂までリーリャが案内してくれる。
「シャーベットもポテチも美味しかった。ありがとうねリーリャ」
「とんでもごさいません」
「まだ食べてないんだよね?」
「はい」
「お風呂で一緒に食べる?」
ユーバリーボディより、リーリャボディゲットチャンスっ!
「ユーバリー様がおられますので無理ですよ」
と、少し砕けて話してくれた。夕食前に一緒にポテト食べて仲良くなったからかもしれない。
しかし、ユーバリーが来なければリーリャボディゲットだったのに残念。
風呂に入ると、そこにリーリャがシャーベットを運んでくれた。
ユーバリーがよそ見している間に、リーリャにアーンさせて口に入れてやった。
(とってもおいひでふ)
うむうむ、可愛くて宜しい。
風呂に浸かってシャーベット。ゼルはうふうふして食べている。ゴリゴリだけど、こういうのを見ると女の子なんだなぁと思う。
「シャルロッテ、こんなのお行儀が悪いって怒られるけど、サイコーねっ」
うん、最高なのは風呂でビールなんだけどね。
外が何やら騒がしいなと思ったらクインシーまでやって来た。手にはビールジョッキ。なんて羨ましいんだ。
が、クインシー。流石に恥じらいは持った方が良いぞ。バスタオルぐらい巻きなさい。胸も大事な所も湯気で隠されてるけど。
「シャルロッテ。他にも何か旨い物はあるのか?」
「後は牛丼かな」
「牛は牛肉だな。丼とはなんだ?」
「米の上に具材が乗ったものです」
「米?どこかで聞いたことがあるな」
お、米はどこかにあるのか。
「でも調味料が無いから無理ですね」
「そうか、それは残念だ」
と、言いながらゴッゴッゴとジョッキを飲み干しやがった。羨ましい。
ジョッキを見ていた俺を甘えてさせてくれとせがんだように見えたのか、ヒョイと手を引っ張り生乳で抱きしめた。これは凄い。ムホホホホホッ
「吸っても良いが、もう乳は出んぞ」
吸っても良いと言われてめっちゃ迷って止めておいた。ゼルもユーバリーもいるのだ。
その代わりおっぱい枕をしてもらった。ムホホホホっ。
そんなシャルロッテの頭を撫でるクインシー。
「お前の髪の毛は絹のような手触りだな。とても撫で心地が良い」
お互い至福な感触を楽しんでいると、ユーバリーは赤い顔をしてゼルのゴリゴリ肩とか腕をガン見していた。




