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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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ヤバンの文明

「フワッフワ?」


「ご、ごめんなさい。母を亡くしたものでその胸の感触が・・・」


「そういう意味であったか。妾の胸は母のようか?」


「申し訳ございません。母を亡くした時に倒れて記憶が無いのです。でもこんな感じだったのかなぁと」


「そちはいくつじゃ?」


「11歳です」


「そうか、妾には子がおらんでよくわからんがその歳でも甘えたいものなのじゃな」


フワフワが好きなだけですとは言えないシャルロッテ。


足の痺れも収まったので違う部屋に移動しようとしたらゼルも派手に転んでいた。



移動した部屋は洋室でテーブルと椅子があったのでゼルがあからさまにホッとした顔をした。


ポーションの本題に入る前にメロンやガーデンとはどのような所か聞かれたので色々と説明をした。


「なるほどのぅ。発展の仕方が随分と異なるのじゃな」


「魔法が関係しているのかもしれませんね。私は目に見える魔法は使えませんがポーションを作るのには魔力が必要なのです。ヤバンには魔力がないようなので私もあとどれぐらい作れるかわかりません」


「自らの魔力とやらを使っているということか?」


「そうです。国に戻れば自然と回復するのですが、ヤバンではそれが無いようなので私の魔力が尽きたらもう作れません」


「あとどれぐらいもつのじゃ?」


「私の魔力はかなり多いみたいなのですがわかりません。魔力がなくなりそうになったらフラフラするらしいのでそれが来たら終わりですね」


「そうか・・・。このポーションとやらは国に戻っても作るのかえ?」


「そのつもりです。半年に一度交易の船が出ておりますので、それに乗せてルリさんのところで販売してもらう予定です」 


「ルリよ、これはどれぐらい仕入れるつもりじゃ?」


「まだ予定は決めておりませぬ」


「出来れば大量に欲しいのう。若返るやつは一ヶ月しか持たぬのであろ?」


「そのようです」


「となれば一人予備を入れて7本じゃな。取り敢えず100人分を半年毎に卸してたもれ。これはいくらの物じゃ?」


「一本銀貨10枚にございます」


「今いくつ持っておる?」


「100本位はあると思います」


と、他にも日焼け止めポーション達を全部買い上げてもらった。支払われたのは金貨60枚近く。もう大金持ちだ。クインシーに金貨100枚返せる算段も余裕でついてしまった。それに献上した物に対しては褒美をくれるとの事。俺は王族なので褒美はルリに与えられる事になった。


「ヤバンとメロン王国の友好もはかりたいものじゃの」


「帰国致しましたら王妃に伝えておきます」


「王妃とはどのような関係じゃ?」


「義理の母といったところです。籍には入っておりませんが、王妃の実家の家名を頂きました」


そして元は妾腹ではあるがストロベリー王国の王女であったこと、離籍してクインシーが後見人になってくれた事も説明しておいた。


「複雑な事まで聞いて悪かったの」


「皆が知っていることなので隠す事でもございません」


「春に帰国するのじゃな?」


「はい。3月の船で帰ります」


「ならば帰国前に一度妾の屋敷に招待するからぜひ遊びに来ておくれ」


「ありがとうございます。テンショウ様もこちらには来られる事があればご招待させて頂きますね」


そう言うと笑ったテンショウはおばさんだけど可愛らしかった。



そして薬屋に帰ってからルリにテンショウはどんな人物か聞かされる。


「え?そんなに偉いさんなの?」


「実質、政治を動かしているのはテンショウ様だと言われておる。しかし、お前も王族だとは驚いたぞ」


「まぁ、王族といっても形だけだし、半分庶民だから気を使わないで」


ルリには今はまで通り接してもらうことをお願いし、後は病気を治すポーション試したいと伝えたがそれは止めておけと言われた。



部屋に戻ってゼルに魔力の事を聞いてみる。


「もしここで魔力が切れたらどうなるの?」


「魔力が補充されないと寝たきりになるかもしれません。ポーション作りにどれだけの魔力を使われているかわかりませんが、他のポーション士達を見ているとかなり使っていると思うのです」


ここでも大量に作ってるけど魔力が減ってる実感ないんだよな。でも魔力切れで動けなくなったらまずいな。


そう思ったシャルロッテは自分用に魔力水を作っておいた。これを飲む時が来たらここでのポーション作りは終了だな。



そして欲日からもせっせと日焼け止め達を作っていった。


そのまま何事もなく正月を迎えて今は雑煮を食っている。ゼルはやはりモチが苦手なようだから変わりに食ってやる。


(おい、供えろ)


「シーちゃん、鯛の塩焼き供えたじゃん」


(雑煮は別だ)


そういうので雑煮と共におせちも一式供える。酒は一升瓶そのまま供えておいた。


(栗きんとんもっと頂戴)


「こんなの食べてんの?」


キツネってこんなもの食うのか。


(これは好き)


と言われてもこれだけしかないしな。


「もう無いから他の物でいい?栗でなんか作るよ」


買い物に行こうにも正月で店が閉まっているからあるもので作らないとだめだ。安くで売ってた栗でなんか作るしかない。


栗のレシピを詮索すると、マロングラッセ、モンブラン、甘露煮とか出てくる。どれも時間かかりそうだな。


「作るの時間掛かるよ」


それでも良いとのことなのでモンブランを作ることに。栗を煮て潰して砂糖と生クリームを混ぜるだけだ。ゼルに生クリームを作って貰ってる間に湯だった栗の皮剥き。バタフライナイフは優秀だ。鬼皮なんてなんのそのだね。


で、栗を潰して生クリームと砂糖を混ぜたところで絞るやつが無いことに気付いた。


仕方がないのでパンケーキみたいな物をゼルに焼いて貰ってマロンクリームを挟む。どら焼きみたいだな。


「はい、出来たよ」


お稲荷様は初めて食べるマロンクリームどら焼きをめちゃくちゃ気に入ってしまった。そしてシーちゃんも・・・


(これも毎日供え・・・)


「無理だよ、これ時間掛かるし。それにシーちゃんはシフォンの事を甘い物ばっか食ってる奴って馬鹿にしてたじゃん」


(こんな旨い甘い物なら食うだろ)


「なら甘い物も供えるように伝えておくから」


(これと同じぐらい旨いんだろうな?まんじゅうとかはいらんぞ)


お稲荷様は栗きんとんも好きだから和のお菓子でも大丈夫だろうけど、シーちゃんは洋菓子希望か。誰に伝えといたらいいんだよこれ?


「これ作るの手間なんだよ。機械があればもう少し簡単に作れるんだけど、ヤバンにはなさそうだからね」


(あいつの国にはあるのか?)


「専用に作ってもらったからね。ヤバンには機械作ってくれるような知り合いもいないし。というかさ、この国の人におねだりしてよ。私はここにいるのもあと少しなんだからね」


(こうやって話せる奴がおらんのだ)


「そんなの知らないよ。私は神の代理でも使徒でもないんだから」


(そんな冷たいこと言うなよ)


「シフォンと繋がりまったくないわけじゃないんでしょ?」


(そりゃあまぁな。しかし他の奴の管轄の所に行くのはなぁ・・・)


「じゃ、諦めて。一応他の人に甘い物供えてとは言っておくけど、こんなお菓子作れる人がいるかどうかわかんないから期待しないでね」


(意地悪っ フンだっ)


あ、拗ねた。しかし、拗ねると女の子口調になるんだな。


お下がりのおせちを食べてこっそり日本酒を飲んでやった。めっちゃ日本酒日本酒してるわこれ。好きな人にはたまらんだろうけど、俺には無理だな。吟醸酒とかならいいんだけど。


でもこの日本酒クインシーとか好きかもしれんな。日本酒と焼酎も仕入れて帰るか。



そして半月程立ったときにテンショウ様から招待状が届いた。ゼルと二人分の招待状だ。同封されてるのは切符みたいだな。電車があるのか?


「ルリさん、これ、なんの切符?」


「汽車じゃよ。しかもそれは特別席の切符じゃな」


へぇ、汽車があるのか。まぁ、蒸気船があったくらいだから汽車があっても不思議じゃないか。ヤバンは部分部分でフルーツより文明が進んでるな。もし戦争とかになったらフルーツ連合は勝てるのだろうか?この分だと大砲とか銃とか持ってそうだしな。帰ったらクインシーに報告だな。



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