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プロローグ

「ハッピバースデートゥーミー♪」


はぁ、虚しい。やらずに30歳になると魔法使いや賢者になれるらしいけどな本当かな?


野苺宙二ヤマイチュウジ

一人っ子の長男なのになぜか宙二と次男のような名前をつけられた男だ。あだ名は永遠の厨二病。


独身、親の残した田舎の一軒家で一人暮らしの30歳。もちろん嫁なし彼女なし。


主食は袋麺とジャンクフード。すぐ美味しくてすごく美味しいやつか、イチバンの塩か味噌の3食ローテーションだ。それとビールとタバコ。仕方がなくこういう食生活をしているわけではなく、これが好きなのだ。


プシッ


「おぉ、いいねぇ、いいねぇ」


最近の缶ビールは蓋が全部開いてジョッキみたいになるやつもあるのだ。


晩飯に味噌味の袋麺に卵を一つ。それにビールを飲んで、食後のタバコをプカっと至福の時だ。


仕事はゲームのバグを見つけるというもので、昔からそういうのを見つけるのが好きだった。それが仕事になると知って個人で請け負う仕事をしていたのであった。


初めは好きな格闘ゲームのバグ探しだったのが、最近ではスマホゲームばかりだ。しかもシュミレーション系が多く、無名なゲームメーカーが出すニッチなやつばかり。大掛かりなゲームは個人で調べるには無理なのだ。


「はぁ、野菜や果物を育てるゲームってなんだよ?それにこっちのゲームはレムのお料理教室?なぜ料理の手順とか調べにゃならんのだ」


ゲームのバグというか、知識に矛盾していないかとか調べるのはバグ探しの仕事じゃねーっ。学生の時より様々なジャンルを勉強するとかなんだってのっ!


はぁ、個人事業は断ると次の仕事がこなくなるから辛いものだ。と、本やパソコンでカシャカシャと調べていく。


次は恋愛シュミレーションゲームか。またこいつ追放されんだろな。


この手のゲームは中身はほとんど同じだ。悪役令嬢がヒロインをいじめて、俺様系イケメン、知的イケメン、少年みたいなイケメン、プラス血の繋がってない兄か弟が助けて皆から求婚されるのだ。


この手のゲームは矛盾点だらけでどこを指摘していいかすらわからん。セリフの誤字も見なきゃならんから、くっさいセリフも読まないとな。



「ぶっ、はっはっはっはっ」


なんだよこのバグは。


誰も選ばないを選択したら、全員首だけになって動き出すとか、元々の仕様なのかバグなのか理解に苦しむ。仕様だとしたらなかなかこのプログラマーやるよな。ギャグゲームとしては最高だ。


そしてこれもだ。


知的イケメンを選んだら、俺様イケメンが去り際に振り向いて、俺様を選ばなかった事を後悔させてやるっ!のセリフの時に、首だけ後ろ向くとか怖すぎて笑うわ。


はぁ、笑った笑った。


一応、仕様かもしれんけど、報告書に書いて今日は終わり。


誕生日だというのに誰にもお祝いもされずにヒロインになってゲームを調べる虚しさよ。


さ、格闘ゲームか美少女ゲームのどちらをするかな?


仕事でゲームをして、それが終わったら趣味のゲームをする。


格闘ゲームでCPU相手に無双して俺最強!と気分を盛り上げ、現実で嫁さんが来てくれる訳もないので、二次元嫁を探しにいく。



「ムホホホホッ」


やっぱり、青髪・ロリ顔・魔法使いのコンボは正義だな。もしくは優しいメイドさん、猫系ケモミミ、ヒンヌーエルフ、サキュバス娘、キリッとした女騎士、縦巻ロール令嬢。どれを嫁にしようかなぁ。


そんな事を思いながらハッピバースデートゥーミーを歌い、飲んではタバコをふかして、上機嫌になって、残りのビールを一気に飲んだ。


グッ


ゴハッ


しまった。


ジョッキのようになるビール缶を灰皿変わりに使っていたのを間違えて一気に飲んでしまった。


ゲホッ ゲホッ


ぐ、なんだよこれ、吐き気とめまいが・・・


タバコそのものを誤飲しても即死亡につながるのは稀だが、ニコチンが溶け出した水分を多量摂取すると命に関わる。


※タバコを吸う方は気をつけましょう。


嘘だろ・・・、こんなみっともない死に方をすんのかよ俺・・・







う、う、う~~ん。

うげぇ、まだ気持ち悪い。


オロロロロロロっ


ふぅ、吐いたらなんだかスッキリした気がする。まだフラフラして気持ち悪いけど。



「シャルロッテ姫様の意識が回復したぞっ」


ん?なんだよここ、救急車で搬送された病院か?それにしてはいやに天井が高いけど?


「姫様っ、姫様っ。私がわかりますかっ」


姫?誰のことだ?


宙二はだんだんと意識がはっきりしてきた。



げっ?何だこれは?


自分の手が小さい。


宙二は握られた手を見た。握っているのは誰だこいつ?


「お前だれだ?」


「おぉ、お気付きになられましたかっ」


手を握っているのは紺髪で鎧を着た人。なかなかのイケメンだ。


「ここどこ?」


「シャルロッテ姫の寝室にございます」


姫?俺が?えっ?なんですと?


「あの、意味がわからんのだが・・・」


ふと、オマタがスースーする事に気付いて手をやってみる。


「あーーーーーーっ」


「ど、どうされました?」


「な、ないっ」


「な、何が・・・。あっ、母親様をお探しに・・・」


「申し訳ございませんっ姫様っ」


紺髪の人に抱き締められる。


「いだだだだっ」


やめろ、鎧のトゲトゲが刺さってるっ。



どうやら野苺宙二はお姫様として生まれ変わったというか、異世界に転生したらしい。


oh!なんてこったい。一度も活躍しないまま失ってしまうとは・・・。



ここはストロベリー王国。

自分はシャルロッテ・ストロベリー。一応王位継承権はあるものの、妾腹の姫らしい。



事態がうまく飲み込めないが、毒を盛られて死にかけてたところ助かったらしい。



「えっと、お母さんも毒を盛られたってこと?」


「はい、残念ながら・・・」



と、眠った様に亡くなっている母親の所に連れて行かれた。


うわっ、めっちゃかわいいお母さんじゃん。


一児の母親とは思えない程若くてかわいいお母さん。なんてもったいない。こんな人を殺してしまうなんて。殺すなら俺の嫁に・・・。


そう思うと泣けてきてしまった。


「姫様、お守り出来なくて申し訳ございませんでした」


紺髪鎧はゼルというらしい。俺の護衛だそうだ。


毒で死にかけたのと母親が亡くなったショックで記憶が無い風を装ってみてゼルから色々な事を聞いて行くことにした。




野苺中二、姫に転生したおっさんの物語が今始まる。



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