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美少女のお宅

 オレの名前は、良夜りょうや

 高校一年生になってやっと新生活が慣れて

 きた今日この頃。

 

「良夜ー。ちょっと話があるから降りてきな

 さい。」

 んもー、せっかくのんびりしてたのになー。

「なにー?」

「急なんだけどお父さん来月から海外に転勤

 になるそうなの。」

「えっ、父さんが海外に⁉︎」

「うむ。」

「それでね、最低でも三年向こうにいるよう

 になるから、お母さんも一緒に行こうと思

 ってね。良夜どうする?一緒に行く?それ

 ともこっちに残る?」

「え…って事は、オレ一人暮らしできるって

 事⁉︎」

「それはいかん。」

「そうね。もしこっちに残るならお母さんの

 お友達の家族のところでお世話になる感じ

 ね。」

「お母さんの友達か…。」

「そう。でも大丈夫よ。良夜と同級生の男の

 子いるから。確か同じ高校よ。理央君って

 言ったかしら。」

 同い年で同じ高校か。理央君なんて同級生

 いたかな…?

 ま、同じ学年でもクラスたくさんあるから

 な。

「オレは…どっちかって言ったらこっちに残

 りたいかな。」

「そう…。さみしいけどもう自分で選択する

 としになったんだから、仕方ないわね。な

 ら、お友達にお願いしておくわ。そのかわ

 りきちんとお手伝いしたりしなさいよ」

「うん。わかった。」

 

 こうしてオレは両親と離れて暮らすことに

 なった。

 あと一か月。

 理央君ってどんな人だろう。

 友達に聞いてみた。

「なー、一年に理央って名前のやついたっけ

 ?」

「理央?理央っつったらあのスーパークール

 美少女瀬野理央の事だろ」

「あー、あの学年一のクール美少女…って、

 違うよ‼︎男で理央!」

「男?知らねーなー。」

「だよなー…」

 

 結局一か月の間に理央君探せなかったな…。

 そして引っ越しの日

 母さんとお世話になる人の家に向かった。

 あー、なんか緊張するー…。

 同級生でも、こわい系の人だったらどうす

 んだよ。

 やっぱり海外について行くべきだったか?

 でも、今更遅いよな…。

 

 ピンポーン

「はーぁい。」

 う…

 玄関から出てきたのはまさか…

 まさかのあの学年一のクール美少女…。

 なんかオレの後ろをしきりに確認している

 ぞ。

 なんだ?なんか見えんのか⁉︎

「あ…」

 美少女が固まっていると後ろからお母さん

 がやってきた。

「あー、花乃〜。久しぶり〜」

「本当久しぶりなのにいきなり息子をよろし

 くなんてごめんね〜」

「えっ、息子⁉︎お母さん女の子来るって言っ

 てたじゃん⁉︎」

 美少女が驚いた様子で母親に話しかけてい

 た。

「あぁ、本当。確かに男の子ね。でもイケメ

 ンじゃない。やだぁ、お母さんどうしまし

 ょう。ふふふ」

「ちょっとお母さん‼︎」

「あら、ごめんなさいね。うちもてっきり男

 の子がいるって息子に話してて」

「いや〜ね。昔から私達おっちょこちょいな

 んだからぁ。相変わらず変わらない〜。ぎ

 ゃははは」

「ほんとぉ。ぎゃははは」

 おいおい…。

 母さんどうすんだよ…。

 

「ま、とりあえず上がってお茶しましょう」

「そうね!お邪魔しまーす」

 すっかり母親達は、話に花が咲いている…。

 そしてしばらく経ち…

「じゃ、そんな感じでうちの息子をよろしく

 ね。」

「はいはーい。イケメン君お任せ〜」

 …娘と違ってテンション高いお母さんだな

 …。

「あの…やっぱりオレ」

「い…いいわよ。うちに住みなさいよ。私な

 ら大丈夫よ。ま、女の子って聞いてたから

 びっくりしたけど。とっ…とにかく、部屋

 に案内するわ。ついてきて。」

「あ…じゃあお世話になります。」

 階段の前まで来ると先にのぼってと言われ

 た。

 なぜだろう。

 階段をのぼったさきにドッキリしかけてた

 りするのか?

「なんで先に行かないの?ドッキリ仕掛けた

 りしてる?」

「んなわけないじゃない…あの…私スカート

 だから…その…」

 あー。

「ごめん。そういう事か。わりい」

 スカートか。

 てっきりあのお母さんがドッキリ仕掛けた

 のかと思っちゃったぜ。

 やたらテンション高いから…。

 

「ここがあなたの部屋なんだけど…あの、て

 っきり女の子が来ると思ってたから全部ピ

 ンクで揃えちゃって…」

「あぁ、全然構わないよ。むしろわざわざあ

 りがとう。」

 雨風しのげればピンクの部屋なんてどうっ

 てことない。

 

 …けど、なんか実際ベッドに横になるとな

 んか、瀬野さんの部屋にいるみたいで落ち

 つかない…。

 あのクール美少女瀬野さんの家だぞ⁉︎

 今更だけどよく考えたらすっげー事だよな。

 男と話したことなんて見たことない。

 

 あーなんか落ち着かねー…。

 思わずベッドからおりて正座をした。

 すると

 コンコン。

 ドアをノックして瀬野さんが入ってきた。

 

「えっ⁇なんで正座?おかしな人ー。緊張な

 んてしなくていいのよ。このお茶飲んでリ

 ラックスしてよ。」

 クスクス笑いながら瀬野さんがお茶を差し

 出してくれた。

 

 瀬野さんが笑った。

 初めてみたな…。

 笑った顔も美女なんだなー。

 

 そんなこんなで美少女との奇妙な生活が始

 まるのであった。

 

 

 

 続く。

 

 

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