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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第四章 つかの間の休息編
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VS 序列三位

アクセスありがとうございます!



 続いて個人指導という名の模擬戦に挑んだティエッタはアヤトと向き合うなり精霊力を解放。


『爆ぜなさい!』


 金髪青眼がルビーよりも鮮やかな紅に変わるなり言霊に加えて変換術を用いた精霊術を発動。アヤトの周囲が赤く染まり爆破が起こる。

 四大でも最大の攻撃力を誇る火の精霊術だけあり、地面を抉るように火柱が起きた。


「随分なご挨拶じゃねぇか」


 しかし土煙の向こうから嘲笑混じりの声。視界が戻れば不意打ち前と変わらず抜き身の朧月を肩に乗せたアヤトの姿が。


「ええ、私はあなたを認めましたの。全力を尽くすのは当然の礼儀ですわ」


 有無を言わさぬ不意打ちの精霊術をいとも簡単に回避されてもティエッタは悪気もなく平然と返す。

 認めるどころか今の自分ではどう足掻いても勝ち目はない。それでも気持ちで負ければ全てで負ける。

 故に強気な姿勢を崩さず、しかし決して傲らずな気持ちで迎え撃つと本来のスタイルを崩さない。


「ですが意外でしたわね。てっきり距離を詰めてくると思いましたが後退するとは。やはり私の精霊術を知るが故に警戒してのことですか?」


 なので強気な発言で挑発しつつ、自分こそ警戒を怠らない。

 アヤトがどう攻めてくるか、常に緊張感を維持し続ける。


「なに、お前の精霊術を知るからこそ敢えて距離を空けてやったんだ。その方が良いお勉強が出来るだろう」


 するとアヤトから更に強気な挑発が返ってくる。

 自分の発言や態度に不快すら感じていないこの態度は当然だ。

 昨日もどれだけ反論しようと、フロイスが剣を突きつけようとアヤトは冷静な態度を崩さなかった。

 それは傲りではなく真摯に強さを求め続けて得た圧倒的自信からくるもの。つまり自分たちなど眼中にないのだ。


 だからこそ素晴らしい――真の強者としての姿。


「では遠慮なく、良いお勉強をさせて頂きますわ」


 などと強さに対する独特の価値観を持つティエッタは内心ゾクゾクしつつ臨戦態勢に。


『弾け踊りなさい!』


 彼女の周囲を覆う淡い紅玉が顕現。硬貨ほどのサイズでも数は三〇と規模や破壊力よりも数を優先した精霊術。

 この紅玉は低威力ながらも触れれば炸裂する。近接戦を挑むならダメージは免れない紅い防御壁で、自身の意思で狙い撃つことも可能。

 近づけさせず、待ちに入れば狙い撃つ、攻防を兼ね備えたティエッタの対精霊騎士用の精霊術。果たしてこの精霊術にどう対処してくるのか。

 集中して動向を待つ中――


「では、お勉強の時間だ」


 身をかがめてアヤトが飛び出した。

 持たぬ者とは思えない程の速さで、しかし昨日のラタニ戦よりも遅い。

 軌道は直線と挑発的な戦法にティエッタはけん制として紅玉を飛ばしていくも最小限の動きで避けられ足止めにもならない。だが四大で最も速い風の精霊術を躱せるほどの相手と驚くことではない。


 ならばこの防御壁をどうするのか。

 互いの距離は残り二〇メル。近づけば近づくほど躱しにくくなるも、これ以上紅玉を消費すれば守りが手薄になると敢えて待ちの体勢を選ぶ。

 刀で迎撃すれば破壊され、投げナイフは逆に迎撃する――


 ボンッ


「……え?」


 アヤトの動きを注視していたティエッタの意識は小さな爆発音によって途切れてしまった。

 確認する間もなくボンッ、ボンッと立て続けに爆発音が響けば響くだけ周囲を覆う紅玉が消えていく。


「なに、が……っ」


 瞬く間に前面に配置していた紅玉が全て消失。この現象に気を取られてしまい。


「一応聞くが、悪あがきをするか?」


 その間に距離を詰められ、無防備となった正面から堂々と朧月の切っ先を首筋に突きつけられていた。


「いえ……降参しますわ」


 まだ紅玉は残っているが、操作するより先に切っ先が届くのは必至とティエッタは潔く敗北を認める。


「それで、お勉強させて頂きたいのですが……なにをしましたの?」

「さほど難しいことでもねぇよ」


 続けて不可解な現象について問うとアヤトは朧月を下ろしつつ、逆に片方の手を掲げてティエッタへ見せれば小粒程度の石がいくつもあり。

 更に手を握りその一つを人差し指に乗せて。


 ボンッ


 親指で弾くと同時に残っていた紅玉の一つが消失。


「お前が派手なご挨拶をしてくれたお陰で、適度なサイズが大量に手に入ったからな」


 もう必要ないとアヤトは残りの小石を地面に投げ捨て、紅玉は今のように弾いた小石で消失していたとティエッタはようやく理解する。


「……いつ、拾われたんですの?」

「ご挨拶時に飛んできたから拾うまでもないだろう。とまあ、これで分かるようにお前の近接戦対策はワンパターン過ぎるんだよ。故にこちらも対処しやすい」


 つまり最初からこの方法でティエッタの対精霊騎士用の精霊術を破るつもりで、爆風にのって飛ぶ小石を回収していた。


「なんせ自分の意思で動かせる紅玉は一つのみ。しかも直線なら躱すのも迎撃も容易い。ワンパターンなりに応用も利けばそれなりに楽しめるかもしれんがな」


 ただ距離を詰めながら硬貨程度の紅玉を正確無比に狙う小石弾きなど誰が予測できようか?


「ま、学院生同士のお遊び程度なら今のままでも充分脅威になる。威力や操作が中途半端とは言え言霊で三〇個もの紅い()()()を顕現できるとは、さすがは序列三位さまと褒めてやるよ」


 そんなティエッタの心情を見透かすようにアヤトが挑発する。

 この精霊術が通用するのは学院生の間のみ。

 上に行けば様々な方法で対処されると言わんばかりに。


「さて、次は何して遊ぶか」


 相手が悪い、とのくだらない言い訳に逃げていた自分を恥じるティエッタに背を向けてアヤトは再び距離を取り。


「そう……ですわね。試行錯誤を繰り返すべきとお勉強させて頂いたので、早速始めようと思いますわ」


 その背に向けるティエッタの眼差しには強い意志が込められていた。

 真摯に強さを求めるなら恥じて立ち止まるのではなく、糧にして歩み続ければ良い。


「なのでお付き合いして頂けますか?」

「時間があればな」


 ならば問題ない、今は自分との個人訓練中だとティエッタは身構える。

 僅かな時間だろうとアヤトは真の強者としてまだ知らない強さを見せてくれると。


「では無駄にしないようお願いしますわ」


 やはり独自の価値観で、内心ゾクゾクしつつ。




ティエッタは強さに関する価値観が素直なだけです(笑)。

そしてアヤトの指導無双はまだまだ続きます。


みなさまにお願いと感謝を。

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また感想もぜひ!

作者のテンションがめちゃ上がります!

読んでいただき、ありがとうございました!

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