序列メンバー
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合同訓練は王国軍の屋外演習場を利用して主に連携の精度を高めたり、個人の実力向上を目的として行われる。
更に訓練の指導は学院講師ではなく軍関係者が勤める。
親善試合とはいえ国の尊厳を賭けた行事。やはり勝利をもぎ取りたいのは両国とも同じ。第一線で活躍する先輩方から直接指導を受けるのは学院生にとって貴重な時間。
特に今回派遣されたのはラタニ率いる小隊から彼女を含めた三名、また帝国へも引率兼王国の親善大使として同行する。
講習ではなく個別指導を受けられるなら密度が違うと、ラタニと私的な関わりのない学院生は楽しみにしていた。
「やあみんな、おはよう」
「おはようございます」
訓練開始時間五分前、訓練着姿のレイドとエレノアが屋外演習場に到着。
二人は王族、しかし今は学院生としての立場なので先に来ていたメンバーも普通に挨拶を返すのみと学院内と同じ対応を。
「さすが、王族よりも遅れてくるとは早速やらかしてくれるわ」
既に身体をほぐし終えていたユースが呆れるように残るはアヤトのみ。
レイドらが遅く現れたのは身分故、いくら同じ学院生でも限度はあるわけで。
「……あいつ俺たちと同じ平民だろ? なんでまだ来てないんだ」
ユースが危惧するように早速疑問を抱くのは序列七位のディーン=ソフラネカ。
半端に伸ばした茶髪に碧眼と愛嬌ある顔立ちの一七〇ほどの身長でやや細身ながらも鍛えられた体躯。
「もう今さらじゃないかしら」
ディーンに呆れながらも同意するのは序列六位のラン=レヒド。
短めに切りそろえた茶髪に紺眼、素朴ながらも華がある顔立ち。ディーンより僅かに目線は低いが、無駄のない鍛え方をしているのが訓練着越しでもよく分かる。
ディーンの家は宿屋、ランの家は食堂を切り盛りしている幼なじみの間柄で二学生になり同じ序列入りを果たし、タッグ戦では見事な連携を見せていた。
今回の代表メンバーで唯一ラナクス出身。用意されていた宿泊施設からも二人で一番乗りをしているだけにアヤトが未だ現れないことに呆れるのも無理もなく。
「こうなると本当に彼は来るのかしら? 色々とお話ししてみたいんだけど」
二人の呟きに顎に手を当てため息を吐くのは序列八位のシャルツ=ライマーク。
ゆるやかなウェーブのかかる赤髪に緑の瞳、顔のパーツは一つ一つが整っている中性的な顔立ちと甘い声音や艶っぽい仕草から女性に見えるが立派な男性で。
またこの中で唯一の精霊学クラス在籍からか一八〇近い長身にも関わらずこの中で一番の華奢。
ただシャルツは精霊学を学ぶ者として不満よりも、持たぬ者にも関わらず常識外れの実力や選抜戦でリースが見せた新たな解放方を発見したアヤトに興味があるらしく。
「まだ開始まで時間はあるよ。それに訓練を無断欠席するような性格ではないから安心するといい」
「ですが大事な訓練だからこそ早く訪れ念入りな準備をするべきではないでしょうか?」
シャルツの肩を叩き、同じペアとしてレイドが擁護するも更に批判の声が。
ツーテールのブロンドは丹念な手入れを怠っていないと主張するように美しく、青く大きな瞳に少し低い鼻筋ではあるも優美さがある。
背丈こそロロベリアと同じほどでも手足がすらりと長く、レイドに歩み寄る仕草に気品を感じさせるのは序列三位のティエッタ=フィン=ロマネクト。
現在の精霊騎士団長はサーヴェルだがニコレスカ家は叩き上げの新参貴族、対しロマネクト家は代々優秀な騎士、精霊騎士、精霊術士を輩出する古参の一族として有名。
序列こそレイド、カイルに続く三位だがティエッタもその名声に恥じぬ才能と実力を兼ね備えているのは、家の教育はあれどラタニの指導を受けていないにも関わらず二人に近い実力が証明している。
また武の一族だけあり強さを重視する傾向があり、それ以外にあまり興味を持たずロロベリアの序列問題でどうでもいいとの返答をした一人がティエッタなのだがそれはさておき。
強さを求める真摯な志から貴族にも関わらずディーンとランの次に訪れ訓練に向けて念入りに身体を整えていただけに違う意味でアヤトに不服があり。
「そう思わなくて? フロイス」
「お嬢さまの仰る通りです」
ティエッタが同意を求めれば背後に立つ人物が恭しく首肯を。
銀色で長めの前髪から見える青い瞳は鋭く、背丈もシャルツと同じほど、だが鍛えられた体躯はしなやかかつ均整が取れていて立ち振る舞いも隙がない序列四位のフロイス=レイモンド。
レイモンド家は古くからロマネクト家に仕える従者の家系と二人は主従関係でもあり、武の一族を支える家系でも従者としての技量のみならず幼少期から厳しい訓練を課されている。
加えて精霊騎士クラスでありながらエレノアを超える序列と、フロイドは近接戦闘では負けなしと学院最強の精霊騎士。
主への忠誠心も高く、同じく真摯な志を持つからこそアヤトに不服があるようで。
「……アヤト」
訓練前から批判が飛び交う状況にロロベリアは項垂れるしかない。
唯一の救いはこの中で最も地位の高いレイド、エレノア、カイルがこちらに付いていること。お陰でティエッタを始めとしたアヤトの事情を知らない面々の不満を抑え込んでくれて大事にならずに済んでいる。
にも関わらず――
「ほら、噂をすればね」
屋外演習場の出入り口をレイドが視線を向けるよう、開始一分前にしてアヤトが姿を現した。
みなが訓練着にも関わらず相変わらずの黒一色、そこは今さらと気にせずロロベリアは遅れず来たことに安堵するも。
「おはよう、アヤトくん」
「よう」
レイドが友好的な挨拶をするもアヤトは一瞥すらせず面倒げな返答。
更にはそのまま素通りして演習場の壁面に腕を組みもたれ掛かる。
王族のレイドに対しする不遜な対応、自分たちに興味が無いと言わんばかりの姿勢に演習場内の空気が一気に悪化。
これはさすがに無いと慌ててロロベリアが駆け寄ろうとするも――
「みなさん、お待たせしました」
「まずは集合してくれ」
開始時刻となり指導員がやってきて。
「…………」
不安なまま合同訓練が始まった。
残りの序列メンバーの紹介回でした。
明日も新キャラ登場、お楽しみに!
みなさまにお願いと感謝を。
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作者のテンションがめちゃ上がります!
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