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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第三章 選抜戦と二人の戦い編
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両雄揃う

アクセスありがとうございます!



 翌日からロロベリア・ユースペアは二回戦、三回戦と危なげなく勝利を重ねて準決勝進出。

 ここまで来ると相手の実力もかなりのレベル。しかし苦戦すらない試合運びにエレノアに料理したロロベリアは当然ながらユースの評価も上がり、それなりに注目を集めていた。

 しかし、やはりそれなり。


 今回の選抜戦で最も注目を集めているのはアヤト・リースペア。


 初戦に続き二回戦、三回戦と全て秒殺。

 これは今回の選抜戦どころか過去の試合も踏まえて一試合、累計でも最短記録を大幅に更新。

 更にタッグ戦にも関わらず、一度も連携を取らずまるで個人戦のような二人の戦いぶりや、リースは精霊術士が出場して一度も精霊術を使用しないという珍記録も樹立中と、試合を重ねる度に話題を生んだ。


 ただ誰よりも注目を集めているのはアヤトだ。

 持たぬ者が初の出場、相手が精霊士だろうと精霊術士だろうと関係なく一発の蹴りのみで気絶させていた。試合後も相手側に質問してみても、気づけば救護班のベッドの上にいた、と夢現に呟くのみで。

 あまりに不可解な現象に不正を唱える者も居たが試合前のチェックは必ず受けている上に、そもそもどのような不正でこんな現象を起こせるのかと返されては何も言えず。


 同時に対戦するペアは精霊術を使わない精霊術士と持たぬ者に敗北などプライドが傷つくと躍起になり準決勝――


「どんなペテンをしてるか知らないが、私に通用するとは思うな」

「そちらも槍術に自信があるようだが、俺も槍術には自信がある」


「……らしいが?」

「笑える」


 精霊術クラスのジュード、精霊騎士クラスのライザの挑発にアヤトとリースは闘技場内の注目も含めてとても冷めた目で受け流していた。

 対するジュードは元序列十位。決勝でロロベリアとの再戦にかける執念が強く、ペアのライザも接近戦なら学院内でも屈指の実力者。

 第五ブロックで最も番狂わせを起こす可能性があると選抜戦前から評判故に、完全なダークホースと化したアヤト・リースペアの一戦はこの四日間で一番の盛り上がりだ。


 ちなみにロロベリアとユースは同時開始のため観戦できず、この四日間で最も観客の少ない第一闘技場で準決勝を行うことになったがそれはさておき。


「お前はとても槍術に自信がお有りな精霊士さまだ」

「さすがにもう近づかないと思う。いくらバカでも」


 開始前、両ペアが二〇メルの距離を取る間にこれまで通りの最終確認を。


「リスに言われては終わりだろ」

「……むかつく」

「ま、そろそろ突っ立っているのも飽きた」


 そして試合開始の合図でリース、ジュードの髪と瞳が紅に、ライザの瞳が紫に変化。


 同時にリースとライザが飛び出す。屈指の実力者だけありライザの飛び込みも負けずの速さ。

 ジュードは接近戦を避け詩を紡ぎ始める中、アヤトはゆっくりと朧月を鞘から抜き。


「さてと」


 互いに二〇メルの距離を詰め、リースとライザの槍が交差。


『――火の乱舞(レ・ダンセィル)!』


 ジュードの周囲にこぶし大の火球が十数個顕現、一斉にアヤト目がけて襲いかかる。

 だが猛スピードで迫る火球も無視で。


「行くか」


 呟くなりアヤトの姿が消えた。

 

「あ……が……っ」


 次に現れた時はジュードの目の前で。

 朧月の一閃を首筋に受けて昏倒するジュードもやはり無視。振り返り未だ応戦中のリースに視線を向け。


「ま、所詮はリスか」


 ゆっくりと朧月を鞘へと納めている間にリースの槍がライザの槍をはじき飛ばした。


「……参りました」


『勝者アヤト=カルヴァシア、リース=フィン=ニコレスカペア!』


 準決勝も秒殺で終えた事実に闘技場内は水を打ったように静まり返る中――


「相変わらずとろくさいな、お前は」

「やっぱり……むかつく」


 どこまでもマイペースな二人はそのまま闘技場を後にした。



 ◇



 第一闘技場で準決勝を終えたロロベリア・ユースペアは同時開始なので第二闘技場に向かう意味がないとゆっくり控え室に戻っていた。


「マヤちゃん……?」

「なんでここに?」


 しかし室内のソファにマヤが座っているので二人は首を傾げる。

 そんな二人にマヤは立ち上がり優雅に一礼。


「明日はがんばれーとお二人を応援させていただきますね」


 そう微笑み姿を消した。

 つまりわざわざ報告に来てくれたと、神さま故によく分からない律儀な行動理念に二人は苦笑する。

 まあ敗北するとは思っていなかったが、それでもついにと言うべきか。


「御利益あるかなぁ……」

「理由が理由でも、嬉しいと思いましょう」


 明日の決勝でアヤト・リースペアと激突する。



 

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