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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第三章 選抜戦と二人の戦い編
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習得

アクセスありがとうございます!



「だってお世辞抜きでロロちゃんの想像力と制御力は学院生レベル超えてるよ? そもそも変換術を独学で、精霊術士に開花して一年足らずで習得してんだよ? しかもロロちゃんしれっと遠隔操作使ってるけど、あれも高レベルの制御力だよ?」

「……えっと」


「挙げ句にエレちゃんとのケンカ。あんとき精霊力を必要な場所に集中させてたでしょ? あれもしれっとやってたけど接近戦のバチバチやり合う中で、瞬時に精霊力を一部分へ集中させる制御力と、身体強化の集約といえど威力、射程距離、速度をイメージした精霊術に必要な想像力は似たようなもんだよ?」

「…………」


 アヤトとの訓練で独自に編み出した精霊術の運用法をあの序列継続戦で見破る辺り、やはりラタニは精霊力を感じ取る部分も優れていると実感するはさておいて。


 徐々に賞讃なのか批判なのか分からない物言いにロロベリアは返答に困ってしまう。


「つまりどっちの技術も申し分ない天才なんだよ? そんな天才が言霊程度さっさと使えるようになりなさいよ!」

「すみませんでした! ですが怒られましても!」


 更に叱られてしまい反射的に謝罪するも、理不尽を感じて叫んでしまった。


「とまあ、可愛い妹を甘やかさないようちょい厳しいお姉ちゃんらしく叱ったところで改めて。もう分かったと思うけどロロちゃんは言霊を扱うに必要な技術は充分すぎるくらいにある」


 そんなロロベリアを他所にどこかすっきりした表情でラタニは見解を話し始める。


「でも未だ習得できてないのはあたしの予想だけど、ロロちゃんは精霊力を感覚的に扱いすぎてる。それこそ自分の手足みたいに深く考えようともせずに。ただ、だからこそ細かな部分がおざなりになってるんじゃないかなと。例えばりんごがあるとして、取って食べようとするのにどれだけの距離か? 掴むに必要な力は? どれだけの速さで取るかな? なんていちいち考えないでしょ」


 それはエレノアも疑問視していた部分。しかしラタニは精霊術に関して深い造詣があるだけでなく、相手の精霊力を感じ取る能力も優れているが故にロロベリア自身も自覚していない問題点を指摘する。


「本来は詩を紡ぐ精霊術を使うことで細かい制御や想像を磨いて少しずつ馴れていくんだけど、天才過ぎるが故に一足飛びでそこをぽいしてるから言霊に必要な細かい感覚が足りてない、というのがあたしの予想なわけだ。まったく、天才過ぎるのも困ったもんさね」


 正直なところ過大評価に思えるし、なぜ呆れられてしまうのかとの理不尽さもある。


「そこで大天才のお姉ちゃんの出番というわけだ。天才過ぎる困った妹が、細かい感覚を磨けるように大天才のお姉ちゃんがぽいしてた部分を細かく指摘してあげよう」


 二回口にしたが大天才との表現でも過小評価に思えるほどの殿上人、ラタニ=アーメリの見解だからこそ間違っていないと素直に受け入れられる説得力があった。


「更にお姉ちゃんだからこそ、可愛い妹に一番向いてる方法も分かるわけだ。まあ条件としてちょーっと厳しめコースになるけど、嫌いにならないでねん。でもあたしだからこそ一日あれば習得できるんだよ? 嬉しい?」

「嬉しい……です」

「お姉ちゃんのこと好きになった?」

「…………はい」


 ただお姉ちゃんアピールは控えて欲しいと内心思うがとにかく――


「なら良かった。んじゃ、厳しめコースの始まり始まり。てなわけでロロちゃん、精霊力を解放ね」

「はい!」


 世界に名を残す大英雄を目指すに必要な力を得る。

 どんな特訓でも必ず乗り越えてみせるとロロベリアは気持ちを引き締め精霊力を解放。


「あ、条件をもう一つ言い忘れてた」


 対しラタニは穏やかな表情と声音で思い出したように一言。


()()()()()()



 ◇



「………………っ」


 意識が覚醒すると同時にロロベリアは恐怖から逃れるように上半身を起こしていた。


「こ……ここは……?」


 ドッドッと脈打つ心臓、暑くもないのに滲みでる汗を手の甲で拭い周囲を見回すと、豪華な室内にふかふかなベッドの上で。


「……起きたか」

「どうしてエレノアさまが……それに、わたし、どうして……」


 ベッドの脇に安堵するエレノアが視界に入り混乱した。


「覚えていないのか。訓練場で意識を失って、先生が客間に運んでくれたんだ」

「先生……アーメリさまが?」

「しかも……私も従者に聞いた話だが、大怪我をしていたらしい」


 エレノアの情報は途切れ途切れで、鈍い思考をロロベリアはなんとか動かす。


「うぇ――っ」


 だが思い出した瞬間、嘔吐感に襲われ慌てて両手で口を塞いだ。


「リーズベルト!」

「っ……だ、大丈夫です。平気、ですから……」


 身体を支えるエレノアを安心させるよう強引に飲み込んで笑って見せる。


「本当か?」

「はい。少し……疲れただけで」

「ならいい……しかし何があった?」

「それは……」


 その質問に再びこみ上げるモノを必死に抑えてロロベリアは戸惑ってしまう。

 ラタニとの特訓内容を果たして教えていいものか。

 なぜならその内容は想像を絶するもので。


 記憶が途切れる寸前はたしか()()()()()()()()()()()()


 いま痛みもなく動かせるのは意識を失った後、ラタニが水の精霊術を扱える従者に依頼して癒やしてくれたのか。

 エレノアも大怪我をしていたらしいと口にしているのはラタニが従者へ口止めしているのか。

 ならばと判断に悩む中、ロロベリアのお腹が鳴った。


「……すみません」

「いや、先生との特訓なら言えぬこともあるだろう。待っていろ、なにか用意させる」

「ありがとうございます……」


 エレノアの気遣いに感謝してロロベリアは頭を下げた。

 一人になり、思い返すはラタニとの特訓のこと。

 思い出すだけでも吐き気がこみ上げるほど壮絶で、明日も同じ特訓が続くのか。

 だが止めるつもりはない。


 死ぬ気でやれば何とかなる、まさにその通りだ。


 現に今日も何とかなったのだ。


『水よ』


 夢ではないとロロベリアは精霊力を解放し言霊を口にする。

 まだ回復しきってないからか、それでも手のひらに小さな水の塊が生み出された。

 死ぬ気で習得した言霊。

 この現実は自分が確実に強くなっている証拠。


 なら死と隣りあわせの地獄だろうと、挑まない理由はない。




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読んでいただき、ありがとうございました!

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