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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第三章 選抜戦と二人の戦い編
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思わぬ解決

アクセスありがとうございます!



 屋敷に到着すると既にラタニとレイド、カイルの会談は終わっていると使用人から聞いたエレノアはロロベリアとユースを連れて応接室へ。


「――おりょりょ、ロロちゃんにユーちゃん。こんなところにどうしたん?」


 三人が室内に入ればレイドとカイルは目を見開き、対しテーブルを挟んでティータイムをしていたラタニはまるで家主のような物言いで。


「先生にお願いがありまして。リーズベルトの相談に乗ってもらえないでしょうか」


 それでも先生と慕う相手なのか、今さらなのかエレノアは気にした様子もなく用件を告げた。


「ロロちゃんの相談? もち良いよん、なら座った座った」

「……ボクらは席を外した方が良いかな」

「だな」

「あの、問題ないのでどうかこのままで」


 どこまでも家主な物言いで促すラタニを余所に、我に返ったレイドとカイルが立ち上がるもロロベリアは首を振る。王族、侯爵家の二人を追い出す形になる申し訳なさよりも相談とは言霊について。聞かれて困る内容ではない。

 加えてカイルの前でアヤトの話題を踏まえても問題ない。道中エレノアからカイルもまたアヤトの事情を聞かされていると教えてくれた。


 これは騎士クラスに在籍しているアヤトのフォロー役のため。彼の悪目立ちもあるが、ミューズを踏まえた周囲の噂が原因で。

 直接的でなくとも王族のレイド、エレノアに次ぐ侯爵家で序列二位のカイルが事情を知っていればやはり心強いとラタニと国王の間で話が纏まったらしい。なのでラタニとの会談もそれを踏まえたものだ。


「……リーズベルトがそこまで警戒するか。聞いてはいるが、やはり信じられん」


 故にロロベリアのなりふり構わない行動にエレノア同様、アヤトの実力を目にしていないカイルは首を捻るばかり。


「お気持ちは分かりますが事実です。私が言霊を習得しても、勝利どころか驚かせるのが精々かと」


 対しロロベリアは身をもって知るが故に断言する。


「それでも勝利を諦めたくはありません。その為にも言霊の習得は必要なんです」

「……気持ちは分かるが選抜戦まで時間はない。いくら先生の指導を受けてもこの短期間での習得は不可能ではないか?」


 勝利にかける執念を絶やさない姿に敬意の念を抱くもカイルは厳しい現実を告げた。


「だね。もちろんロロベリアくんの今後を踏まえて修練するのはいい……けど、ボクらも先生の指導を得ても習得するのに一年はかかったから」

「……私は一年半ですが」


 更にレイド、エレノアが賛同するように突きつける。

 もちろん三人が指導を受けた頃よりもロロベリアの制御力はずば抜けている。変換術を習得しているので可能性はあるだろう。


 だがやはり時間がネック。


 選抜戦が開始して二組が順当に勝ち上がって相まみえるまで一六日しかない。

 加えてラタニの状況、学院の時間とは別に個別指導をする時間は限られている。この僅かな時間で習得できるほど言霊は容易ではないと知るからこその疑問で。


「安易な技術では無いと理解しています。ですが不可能だと決めつけ、なにもしないままでは本当になにも得ることは出来ません。なのでアーメリさま、なにか助言をいただけないでしょうか……お願いします」


 ロロベリア自身も理解しているが、それでも諦めず頭を下げる。

 たとえ習得できなくともなにか別に得るものはあるかもしれない。


 立ち止まっていては追いつけない――この事実も理解しているからこそ。


「いやいや、ロロちゃんならいけるっしょ」


「「「「「……は?」」」」」


 などと前向きな気持ちを固めているとラタニから思わぬ発言。これには今まで静観していたユースもキョトンとなり。


「だから言霊。あたしの予想なら……そうだな、一日あれば習得できるかもね」


「「「「「……一日?」」」」」


 更に続く発言に茫然自失。

 レイドやカイルは一年、エレノアは一年半かけて。正規の精霊術士でさえ習得していない者もいる言霊をロロベリアはたったの一日で習得可能という。


「もちいくつか条件あるけどねー」

「アーメリ……さま? その条件とは何でしょうか」


 嘘や冗談でもない、自信たっぷりなこの予想にロロベリアが我に返り食いつくのは当然のこと。


「なにロロちゃん、もしかして乗り気?」

「もちろんです。何でもします、ですからお願いします! 教えてください!」


 そして必死に懇願するのも当然で、ロロベリアの真剣な思いを感じ取ったラタニはにっこり微笑み。


「なら教えてあげよっか……と言っても、レイちゃんとエレちゃんの協力あってこそになるけどねん」


 不意に名を呼ばれた二人は困惑するも、やはりロロベリアの思いに答えるべく頷いた。


「よく分かりませんが、できる限り協力しますよ」

「私もです。元よりリーズベルトに協力するためにこの席を用意したわけですから」

「レイドさま、エレノアさま……ありがとうございます」


 二人の申し出にロロベリアは深く感謝し頭を下げた。

 こうして光明を見いだせたロロベリアだったが。


「そいでは条件だけど、まずは――」


 ラタニの提示した条件で、最後は微妙な顔をすることになった。




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