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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十四章 絶望を照らす輝き編
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心配絶えず

アクセスありがとうございます!



 ダラード滞在三日目。


 今日は先発や後発メンバーやメンバー内の組み分けなどを決定、それぞれで連携訓練を行う予定。その間に霊獣地帯を調査する為の調査隊が送られ、翌日の討伐訓練に向けての調査や間引きなどが行われるはずだった。


「仕方ないと言えば仕方ないっすね」

「さすがにな」


 ユースのぼやきに険しい表情でジュードも同意する。

 二人だけでなく序列保持者の七人は朝食後、屋外訓練場の外周を走っていた。他にもちらほら見られる学院生も同じく走っているが、基礎体力の差から序列保持者のペースについて行ける者はいなかったりする。

 ただこんな状況でも自主的に鍛錬を行うのはいい傾向。まあほとんどは精霊騎士クラスだが、レクリエーションの影響から向上心が現れている光景は嬉しくもあった。


 それはさておき予定ではメンバー決めの時間。しかし朝食後のミーティングで講師から急遽予定変更が言い渡され、少なくとも午前中は自由時間になった。

 この変更は言うまでもなく昨日の一件によるもの。なんせ白昼堂々と序列保持者が襲われたのだ。相手は年端もいかない少女だが駆け寄った警備兵を圧倒、しかも詩も紡がず周囲一帯を更地に変えるほどの精霊術を扱う手練。

 ユースの転機とラタニ介入によって大惨事は免れたが自由行動は中止。事情を確認したラタニの指示で即座に街中に居る学院生を軍施設に呼び戻し、手の空いている者は逃げた少女の行方を捜索したが見付からず終い。

 故に遠征訓練の予定、また学院生の安全について話し合いが行われているのだろう。ただでさえ不確定要素の多い霊獣地帯に赴くのだ、不確定要素が加わればれだけ危険は増す。もちろん今も少女の捜索は続けられているが、まず討伐訓練の中止は確定。


 こうした事情なので自由時間は施設内のみ。上層部や講師らも慌ただしくしているので模擬戦などの訓練は禁止でも、走り込みや制御の基礎訓練などは許されているので序列保持者も基礎体力の向上に精を出していたがそれはさておき。


「しかしユース。昨日は見事な判断だったな」

「だね。先輩として立つ瀬が無いけど、こうして無事なのは君のお陰だよ」


 エレノアの称賛にルイも頷き感謝を述べる。

 誰もが少女の目的に気を抜き、ロロベリアの居場所を伝えようとしたがユースは些細な違和感を見逃さず、見事に嘘を看破した。更に実力や変貌に動揺する中でも冷静に状況を把握し、ラタニの介入という判断を取った。もしラタニが来なければ周辺の損害は当然、自分たちもただでは済まなかっただろう。そして危険な存在にロロベリアの居場所を教えずに済んだのもユースの功績によるもの。


「それに比べてこいつは……」

「だから、何度も謝ったでしょ」

「ニコレスカ姉、お前もだ」

「……むう」


 そして状況無視で騒いだランと勝手に動いたリースはあの後、改めて状況を聞いた講師陣に説教を受け、今もディーンやジュードに攻められているがエレノアは苦笑と共に窘める。


「二人も反省している、もう許してやれ。それよりも私こそ不甲斐ない所を見せてしまった」


 本来なら王族として、また生会長として自身が判断すべき状況だと反省しているのか。元より突発的な出来事に弱いが故にあの一件はエレノアにとっても悔いの残る出来事だった。


「どうもっす。エレノアさまもオレの意図を酌んでくれて助かりました」

「……そう言ってもらえて何よりだ」


 だが冷静な判断を下せたのは少女の目的がロロベリアだからこそ。裏の事情を知るだけにユースは警戒を怠らずに済んだ、要は心構えの違いでしかない。

 なのであの状況下だからこそ即座にラタニの介入を狙っていると理解し、的確な精霊術を放てたエレノアこそユースは称賛する。


「でも……あの子、どうしてロロベリアを探してたんだろう」

「それもだけど、どうしていきなり精霊力を感じたんだろうな。しかもあれ、どう見ても新解放だったぞ」


 とにかく二人のお陰で最悪な事態は免れた。しかし取り逃がしたからこそランやディーンが疑問視する。

 少女の真意、不可解な実力と薄ら寒いものがある。ロロベリアの友人として心配するのは当然で。


「せめて連絡が取れればいいのだが……」

「手紙を送っても最短で明日、そもそもまだ公国に滞在しているかも分からないからね」


 エレノアやルイのように悩ましく思うのもまた当然。少女の存在、不可解な実力を知る知らないだけで危険度は段違いだ。


(そこは問題ないんっすけどね)


 と言っても少女の情報はラタニからマヤ伝手でアヤトに渡っている。加えて既にヒフィラナ家を発ち、明日には王国内に入るとも知っていた。

 ただ連絡を取り合ったラタニ曰く、ロロベリアには帰国するまで伏せるとアヤトは判断。下手に知ると挙動不審になって面倒だ、との理由らしいがせっかくの旅路を心から楽しめるよう気遣ったんだろうとラタニは笑い、ユースも同意したものだ。


(でもまあ、アヤトが知ってりゃ充分か。だからせいぜい姫ちゃんを守ってくれよ)


 などと内心では捻くれ者の捻くれ具合に笑いつつ、少しでも安心してもらえるよう口を開いた。


「つっても姫ちゃんの近くにはアヤトが居るんで問題ないでしょ。確かにあの子はやばいけど、アヤトほどでもないですし」

「……確かにそうだが、カルヴァシアだからな」

「別の意味では心配になるね」

「公国に迷惑をかけてなければいいが……」


 のだが、結果としてアヤトだからこそ別の問題があると表情を曇らせてしまった。




翌日の序列保持者サイドの様子でした。

白ローブの少女の存在以上に心配されるアヤトくん……まあ自業自得ですけど、少女の不可解な実力を目の当たりにしても、そっち方面では全く心配されないのもアヤトくんですね。

またロロに秘密にしている理由もですね……ほんと捻くれ者はさておいて、次回は遠征訓練の変更について、つまりラタニサイドの様子についてです。


そしてラタニさんからアヤトくんに届く不穏な報せまで残り一日。




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読んでいただき、ありがとうございました!



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