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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十三章 叶わぬ夢を花束に編
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三者三刃 顔合わせ

アクセスありがとうございます!



 ダリヤとフロッツが突然王国に訪れた翌日――


 昨夜はミューズの屋敷で一泊したフロッツはアヤトの要望をギーラスに伝える為、今朝早くにラナクスを出発。その間ダリヤのみミューズの屋敷でお世話になるわけで。

 滞在中はミューズが普段お世話になっている友人らに挨拶、後はツクヨとの面会を予定している。ただツクヨは王都に滞在しているので、次の休養日アヤトに頼んで(言うまでもなくロロベリアやニコレスカ姉弟も一緒に)ツクヨの住まいに案内してもらうことに。

 なのでまずは友人らに挨拶を済ませようとダリヤが希望、ミューズは序列保持者や学院生会の面々にサクラと言ったお約束のメンバーを夕食に招待する旨を伝えて回った。


 この招待に特にランが大興奮。なんせ相手は教国の剣聖と呼ばれる剣才、同じ精霊士として是非とも手合わせしたいと希望したのは言うまでもなく、最終的に序列保持者(アヤトを除く)全員が希望したのも言うまでもない。


 それはさておき学院終了後、馬車で登下校をしている者は各自で、ランとディーンはエレノアの、ロロベリアとニコレスカ姉弟はミューズの馬車に乗せてもらい屋敷へ。

 レガート、シエン、イルビナは学院生会の業務が終わり次第の合流予定。今回のメインはあくまでダリヤとの親睦、しかしエレノアたちは序列保持者として少しでも手合わせの時間が欲しいと三人が配慮した結果だ。

 またアヤトも遅れて合流予定になるが、理由はマヤを迎えに一度帰宅するからで。


「まあ今回ばかりは仕方ないか」

「ですね」


 肩を竦めるユースにロロベリアも同意するが、マヤが常にアヤトを観察していると知るだけに苦笑い。

 ちなみに今回招待した面々には教国で既にダリヤとアヤトが手合わせをした、と打ち明けている。もちろん聖剣を真っ二つにした死闘は控えているが、その模擬戦で新月を失ったこと、また勝敗は一勝一敗とまでは伝えていたりする。

 新月を砕いたダリヤの剣技はまだしも、剣聖を相手に一勝一敗と聞いたところで誰もが呆れるくらい。むしろアヤトに勝利したダリヤの評価が更に上がる辺り先輩方の感覚が麻痺しているとユースは笑ったものだ。


「師匠とダリヤさんの模擬戦楽しみ」

「オレたちは見逃したからな。姉貴の気持ちも分かるわ」


 とにかくこの情報に他の面々からダリヤとアヤトの再戦を希望する声が上がり、元より両者とも遊ぶ気満々なので期待感が募っている。

 そして既に観戦したロロベリアは別の一戦にも興味があった。

 しかし今回のメインはダリヤとの親睦、模擬戦はちょっとした余興でしかない。


「模擬戦も良いけど今日はダリヤさんとの親睦がメインなのを忘れずに」

「それ姫ちゃんが言うかねぇ」

「ロロはもう楽しんでるから言える」

「…………」


 故にロロベリアはやんわり窘めるが、実に説得力がないとニコレスカ姉弟からジト目を向けられるのは当然だった。



 ◇



 屋敷に到着後、応接室に通された面々はダリヤとご対面。

 学院を代表する学院生会に序列保持者となれば弁えも出来るだけあり、まずは落ち着いて自己紹介を――


「その子がツクヨさんが打ったダリヤさんの子ですか?」

「煌刃というんだ。そう言えばあなたもツクヨ殿に武器を打ってもらったと聞いているが」

「はい! この子が蒼穹でこの子が影縫、そしてこの子が灯火です!」


「……だから武器を子どもみたいに呼ぶのはどうなんだ」

「羨ましいね。僕も一振り打ってもらいたいよ」


 ……大興奮していたランが多少暴走してしまうも、仲間内での顔合わせなので呆れる程度のご愛敬。

 それでも王族のエレノアや皇族のサクラも居れば礼節も必要で。


「エレノア殿下、及びサクラ殿下にお会いできたこと光栄でございます」

「私こそ教国の剣聖と呼ばれるあなたと会えて光栄だ。ただ今は私的の場、あなたはミューズにとって姉のような存在と聞く。故に私はミューズの友人として扱って欲しい」

「妾も今はミューズ殿の後輩じゃ。気兼ねなくさっちゃんとでも呼んでくれ」

「……ではエレノアさん、サクラさん。いつもミューズが世話になっている」


 まあ公の場でなければ二人も気さくに接してもらいたいと要望。何気にさっちゃん呼びを気に入っているサクラの要望を流しつつ、ロロベリアたちと接する感覚に切り替えたダリヤは他の面々とも気さくに握手を交わしていく。


「お嬢さまの専属執事、エニシと申します。ダリヤさまのお噂はかねがね承っておりました」

「ダリヤ=ニルブムです。私もエニシ殿のことは存じていますよ」


 ただ最後にエニシと向き合うなり、ダリヤの目がスッと細められた。


「これはこれは。剣聖と名高いダリヤさまが私をご存じとは、長生きをするものですなぁ」

「と言ってもあなたを知ったのは最近ですが。なんでもアヤト殿に手傷を負わせたそうですね」

「騙し討ちが偶然成功した結果でございます。アヤトさまに勝利したダリヤさまには到底及びません」

「私の勝利など運と聖剣頼りのものでしかない。むしろ騙し討ちだろうと成功させたエニシ殿に頭が下がります」


 また表情こそ穏やかだがエニシも武人としての血が疼いているようで、握手を交わす二人を包む空気が引き締まっていく。

 方や教国最強の剣聖、方や精霊術士でありながら近接戦を主体とする帝国最強の武人。加えて実力のみで手傷を負わせたエニシと、聖剣の力があろうと勝利したダリヤ。

 お互い否が応でも意識してしまうわけで。


「……この二人に勝ってるカルヴァシアって」

「バケモノだものねぇ……」


 まあ共に近接戦を主体とする他国の最強に勝利しているアヤトが一番意味不明な存在のは今さらとして。


「でも実際のところ、どっちが強いんだろう?」


 ランの呟きに他の面々も同じ興味を抱く。

 本来ならまず顔を合わせる機会のない二人が、こうして顔を合わせたのなら是が非でも見てみたいとロロベリアも内心期待していた。


「毎度のことながら爺やは人気者じゃ。ダリヤ殿、よければ爺やと一戦交えてみるか?」


 そんな空気を読んだのか、エニシの主としてサクラが提案。


「宜しいのですか?」

「妾としても興味はあるからのう。それに爺やもワクワクしておる、提案せぬのは無粋じゃろうて」

「従者思いの主に仕えて私は幸せでございます。ではダリヤさま、お嬢さまのご希望を叶えて頂けないでしょうか」

「むしろ私からお願いする」


 サクラが許可するならエニシも遠慮なく、ダリヤも憂いなく申し込めるわけで。


「ミューズさま。アヤトさま、マヤさまが到着されました」


 期待していた好カードの実現に他の面々も目を輝かせていたのだが、室内訓練場に向かうより先に使用人から報告が。


「そうですか。では案内をお願いします」

「それが……他にもお連れの方がいらっしゃるのでミューズさまに確認したいと……」

「? お連れの方ですか?」


「どうも既視感のある状況じゃな」

「「ですね……」」


 しかし続くやり取りにサクラは苦笑い、エレノアやロロベリアも同意しかない。

 なんせ以前サクラの屋敷で不意にアヤトが席を外し、不意打ちでツクヨと対面したやり取りを彷彿とさせるもので。

 ただ相手はいつも予想斜め上を行くのがアヤト。


「アヤトさまのお連れなら問題ありません」

「畏まりました」


 ミューズの許可を得るなり使用人は迎え入れる為に一度下がり、誰を連れて来たのかある程度予想している三人を他所に他の面々が興味を向ければアヤトとマヤが姿を現す。


「よう」

「お待たせしました」


「邪魔するぜ」


 続いてツクヨが登場――までは予想の範疇。


「急な訪問を受け入れてくださり感謝します!」


「なんで()()殿()()()()()()()!」

「お父さま、お久しぶり」


 しかし最後に現れた人物にユースは即座に突っこみ、細かいことは気にしないリースは久しぶりの再会に喜ぶ中――


『…………』


 予想斜め過ぎる()()()()()()()()()他の面々は反応できずにいた。




オマケその二は後書きで予告していた三大大国を代表する近接戦の猛者、ダリヤ、エニシ、サーヴェルの手合わせ……ですがこのオマケは全四話を予定。さすがにこの三人のバトルを一話で描と長くなるので(汗)。ちなみに十三章のオマケは他に一話を予定しています。

なのでまずは三人の顔合わせから、次回はサーヴェルが訪れた理由も含めてメインの手合わせが始まる……かも?



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読んでいただき、ありがとうございました!



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