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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十三章 叶わぬ夢を花束に編
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不意打ちの世代交流?

アクセスありがとうございます!



 ヒフィラナ家滞在四日目。


 今日の予定は(昨日聞いたばかりの)ミューズがアヤトとデート、お留守番の三人はクアーラやホノカとの交流会と公国に来て初の別行動。

 しかし朝食は一緒にとロロベリアは寝坊もせず、身支度を調えてアヤトの部屋へ。


「よう」

「ロロベリアさん。おはようございます」

「おはようございます」


「……おはようございます」


 向かえばアヤトは当然、既にミューズとレムアもお出迎え。まあアヤトはいつ起きているか、そもそもちゃんと寝ているのか怪しいほどなので良いとして、二人は普段から早起きなので先に居てもおかしくない。

 そして普段から身なりが完璧なミューズが今日はより気合いが入っているのも分かる。黒いロングスカートに優しい緑色のブラウスと、貴族令嬢としては地味でも黒一色のアヤトにちょっとだけ合わせた服装はまさにデートに向けたコーディネートなのも分かる。

 ただいつもなら朝食までソファであやとりか読書をしているアヤトが立ち上がり、今まさにコートを羽織ったところ。ミューズもレムアから灰色のショールを羽織らせてもらっている様子から、これから朝食と言うよりも今まさに出かけますといった状況で。


「もう出発するの? 朝食は?」

「どうも二人での外出に良い顔をしていなかったからな。顔を合わせる前に朝の散歩がてら出るんだよ」

「朝食も朝市で済ませる予定です。もちろんダイチさまにはお伝えしていますので」


 確認すれば予想通り、朝食からデートが始まるらしい。

 昨日の夕食後、今日構ってもらえない分二人であやとりを楽しんだ後でミューズと予定決めをしていた。なので出発時間までは知らされてないのも仕方がないし、二人がいつからどんなデートを楽しむかも二人の自由。


「……ロロベリアさまが来られるまで、アヤトさまはお待ちになっていたようです」


 そしてレムアがこっそり教えてくれるよう、気配を感知して入れ違いにならないようアヤトも珍しく配慮したのなら。


「じゃあな」

「行ってまいります」


「行ってらっしゃいませ」

「………………気をつけて」


 一緒の朝食は叶わなくとも、もやもやしていようとロロベリアはとても頑張った笑顔で見送った。

 また自分が変にもやもやしているとミューズの従者のレムアにとても気を遣わせるとも理解しているが故に、レムアがドアを閉めるのに合わせてロロベリアは両頬を叩いた。


「さて、私たちは朝食にしませんか」

「お気遣い……感謝します」


 まあ切り替えても既に心情を察しているレムアに申し訳なく思わせてしまったが、とにかくもやもやするのは出来るだけ一人の時にしようとロロベリアは心に誓った。



 ◇



 そして切り替えの良さも一級品のロロベリア、以降はもやもやも成りを潜めて配膳にきたセルファとミナモに笑顔で挨拶。交流も兼ねて四人で朝食を楽しんでいるとフロッツもようやく起床。

 既にアヤトとミューズの姿がないことで全てを察したのか、ロロベリアに配慮してフロッツも触れることなく朝食に参加。

 食後は仕事に戻るセルファとミナモを除いた三人でティータイムも楽しみ、約束している九時に間に合うようロロベリアは一度退席した。

 ガイラルドとの模擬戦で訓練着をボロボロにしてしまったが予備を用意している辺りがロロベリア、また一人になるなりもやもやしなが着替えるのもロロベリアはさておいて。

 アヤトと訓練は出来なくても一学生で有望株のクアーラとの合同訓練も、情報の少ない相手との手合わせも良い経験。公国の訓練法などを学ぶせっかくの機会を無駄にしないと切り替えも兼ねて両頬をパンパン、気合いを入れて廊下へ。


「お待たせしました」

「そんじゃま、行きますか」


 着替える必要がないので待っていたフロッツやレムアと合流、セルファに先導されつつ練武館に向かう。

 またセルファから今日はダイチも予定があるそうで既に出発、リョクアも仕事に行ったらしい。またミリアナも留守らしいが、仕事のリョクアと違いこの三日間常に外出している。


「公爵夫人ともなれば人付き合いで忙しいのかね。まあ俺としては変に関わらず済んで助かってるけどな」

「……言い方」


 同じ疑問を抱いていたのかフロッツの身も蓋もない言い分を咎めるも、ロロベリアも変にお茶などに誘われないので助かったと内心安堵していたりする。

 ただホノカも自主学習中と聞いてロロベリアはキョトン。


「ホノカさんも一緒ではないんですか?」

「はい。そう伺っていますが」


 もちろん武芸に疎いとは聞いているので訓練を一緒にするつもりはないが、同年代の交流を兼ねた場ならてっきりホノカも同席すると思っていたが今日も別行動らしい。

 内気な性格が故に気恥ずかしいのか、それとも自分たちと関わりたくないのか。もし後者なら残念だがホノカの自由。


「ホノカさんにも来てもらうよう声をかけてもらえないでしょうか」


 しかし食事の席で発言こそしないが興味はありそうに感じたのならとロロベリアはセルファに言伝を頼むことに。


「訓練を一緒とかでもなくて……お茶でも良いのでお話がしてみたくて。もちろん無理にとは言いませんが、もし良ければと」

「畏まりました。後ほどホノカさまにお伝えしておきます」

「ありがとうございます」

「ま、可愛い子とお近付きになるのは俺も大賛成。ミューズちゃんは残念だけどアヤトくんも居ないしな」

「ですから……言い方」


 了承してもらい感謝を述べるも、相変わらずなフロッツに肩を落としてしまう。

 とにかく後はホノカ次第、今はクアーラとの訓練に集中と――


「あれは……」

「…………ん?」


 練武館までやって来たところで先導していたセルファが足を止め、その理由に気づいたロロベリアは首を傾げてしまう。

 というのも練武館の前にはクアーラと先に待機しているミナモの他にもう二人。

 一人は短めの金髪の少年、もう一人は鮮やかな薄紅色の長い髪をした少女で、何故か二人とも槍を手にしている。また服装もクアーラと同じ訓練着なら学院の友人かもしれない。

 ただ友人が来るとも聞いていないだけに困惑するロロベリアを他所に、少年がこちらに気づくなり近づいてきた。


「ラスト、まだ話は終わってないよ」


(……ラスト?)


 焦りを滲ませて呼び止めるクアーラも無視、ラストと呼ばれた少年は歩みを止めずそのままロロベリアの前に。


「ロロベリア=リーズベルトだな」

「……そうですけど」


 不躾な確認にますます困惑するロロベリアを他所に、ラストは満面の笑顔を浮かべた。


「待ってたぜ。いざ尋常に勝負!」


「「「……はい?」」」


 突然勝負を挑まれたロロベリアだけでなく、フロッツやレムアも目を丸くするがラストは止まらない。


「どれほどの者か俺が――ぶべし!」

「……ヒフィラナ家の客人に失礼でしょう」


 ……しかしいつの間にか背後に居た少女が槍の柄で頭を叩き止めてくれて一先ず助かった。


「私の友人が失礼しました。どうかお許しください」

「それは良いんですけど……どちらさまでしょうか?」


 少女から誠心誠意の謝罪をされるも、とにかく状況が呑み込めないと質問すれば遅れてやって来たクアーラから返答が。


「二人は僕の幼なじみなんですが、急に訪ねて来たもので……申し訳ない」

「幼なじみ……まさか」


 友人ではなく幼なじみらしいが、公爵家にアポ無しで訪れるような家柄など他にないとロロベリアも理解した。


「お察しの通り……彼女はサーシャ=ラグズ=()()()()()。彼はラスト=ラグズ=()()()()()です」


 家名も含めたクアーラの自己紹介に予想的中、良く見れば二人ともシゼルやアドリアに似ているように思えるがそれよりも。


「……どうしてお二人が?」


 構ってちゃん関係なく当然の疑問を口にした。




公国滞在中、主人公二人が別行動になったところでまずはロロサイドのストーリーとなります。

ヒフィラナ家でも同世代のクアーラやホノカとの交流と思いきや、まさかのミフィラナ家とスフィラナ家の同世代が参戦。

二人の目的よりもまずロロの疑問も当然ですね。




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読んでいただき、ありがとうございました!



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