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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十三章 叶わぬ夢を花束に編
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幕間 初日の様子

アクセスありがとうございます!



 ロロベリアたちが首都観光に出発した頃、マイレーヌ学院三学生の遠征訓練が始まっていた。


 前日の内に王都へ到着していた学院生ら一同は各クラスごとにそれぞれ将来の為に必要な施設に集合。責任者に施設を案内してもらいつつ様々な話を聞いたり、実際に意見を交換することで見聞を広めるのが主な目的。

 また精霊術クラス、精霊騎士クラス、騎士クラスは実際に訓練に参加したり、直接手合わせしてアドバイスを受ける貴重な経験となる。


 そして三クラスは王国軍の施設に集合、まずは滞在中お世話になる責任者との顔合わせとなった。


「精霊術クラスを担当するティエッタ=フィン=ロマネクトよ。マイレーヌ学院のみなさん、お久しぶりですわ」

「精霊騎士クラスはフロイス=レイモンドが担当する」

「騎士クラス担当のグリード=マドリックだ」


 のだが、自己紹介するまでもなく顔見知りがそろい踏みだった。


「……普通、この手の担当って古参の人かお偉いさんがやるもんじゃないんっすか?」

「少なくとも去年はそうだったな」


 故に初参加のユースは去年参加していたディーンに確認するもやはり例年とは違うらしい。

 確かに三人とも卒業後は王国軍に所属したがまだ一月程度。見習いの段階で任される役割ではないと疑問視していればエレノアはため息一つ。


「先生がごり押ししたらしい」

「……なんでまた」


「私たちのような見習いに何を学ぶ、と思われるかも知れませんがみなさんにとっては初めての場、そして私たちも所属してまだ間もないからこそ近い目線となる。近い目線だからこそ共に学び合える何かがあるとそちらに居られる真の強者、ラタニ=アーメリ小隊長が推薦して下さったのです。まさに真の強者に相応しい学びですわ」

「さすがはお嬢さまです」


「……というのは建て前で、先輩方に任せた方が色々と融通が利くからだ。先生は上層部に煙たがられているからな」

「先輩方も含めて相変わらずっすね……」


 饒舌に語るティエッタ(強者バカ)フロイス(主バカ)はさておいて、エレノアから真実を聞かされたユースは苦笑い。

 要は引率するラタニが楽しめるよう顔見知りの三人を責任者にねじ込んだらしい。地位こそ小隊長でも王国最強の称号からか、軍内でもラタニの発言力は強いようだ。

 ただせっかくの機会を面白半分で台無しにさせない抑止力として同伴するカナリアこそ最も発言力が強いのかもしれないが、あくまで三人に進行役を任せるつもりか自己紹介もなく背後に控えているのみで。


「まあ真の強者は良いとして、みんなも俺たちの方が気兼ねなく接することができるだろう。だから質問があれば遠慮なくしてくれ」

「では時間も惜しいので、これから施設内を案内をしますわ」


 とにかくグリードが上手く纏めたところでティエッタが予定を発表。


「精霊術クラスのみなさんは私についてらっしゃい。行くわよ、フロイス」

「畏まりました」

「……お前は精霊騎士クラスの引率だろう」


 もちろん施設見学は各クラスごとに別れて行うので、相変わらずな主従を窘めるグリードも苦労しそうだとユースは同情していた。


 それはさておき、カナリアの助言もあって三クラス別行動で施設見学も開始。

 精霊術クラスはティエッタを先頭に訓練施設に向かうことに。


「ラタニさん、ちょっと良いっすか」

「どったのユーちゃん」


 道すがら施設の説明を始めるティエッタを他所に、ユースは最後尾を歩くラタニに接触。


「マヤちゃんと連絡取り合ってるんっすよね。姫ちゃんたちは元気にしてますか」


 理由は別行動中のロロベリアたちの近況を聞く為。

 王都に到着した際、同じく神気の装飾品を所持しているツクヨを訪ねたが外出中で聞けず終い。故にラタニから情報を得るつもりでいた。

 精霊騎士クラスなのでラタニと別行動になるリースから念押しされているのもあるが、やはりユースも気になると早く確認したかった。


「どっちもしてるしてるよん。今日は午後から首都観光だってん」

「ちなみにアヤトはなにやらかしました?」

「特になにもしてないよん。せいぜい曾お爺ちゃんと遊んで負かしたくらい?」

「……いきなりやらかしてるじゃないっすか」


 なぜ曾祖父との面会から模擬戦に繋がるのか、相変わらずアヤトの行動は読めないとユースは肩を落とす。


「違う違う。出会い頭に曾お爺ちゃんが襲ってきたからそのまま遊んだだけさね」

「はあ?」


 しかし続く近況に困惑。なぜ曾孫との面会で曾祖父が襲いかかるのか。

 さすがはアヤトの曾祖父と言うべきか、どうやらヒフィラナ家の当主は一癖も二癖もある人物らしい。


「まあそれは良いとして。公国満喫したらついでに旅も満喫するから帰るのちょいと遅くなるって。多分だけど今日くらいにでもロロちゃんのお手紙が屋敷に届くと思うよん」

「どういうことっすか……?」

「帰路は船旅じゃなくノンビリ馬車の旅、みたいな? アヤチンにしては珍しいお話だけどほんとのお話」


 念押しするラタニも違和感を抱いているのか奇妙な予定変更に首を傾げている。


(やっぱ嬉しいんじゃねーか)


 だが出発前に本心を聞いただけにユースは違和感よりも笑いが込み上げてしまう。

 誰の提案かはユースも分からないが、少なくともアヤトが同意したからこその変更。つまり非効率な帰路を選んでも良いくらいにはアヤトも楽しんでいるのか。

 予定よりも遅くなろうと遠征訓練が終わらなければロロベリアと会えないなら、リースも理解してくれるだろう。


「なんにせよ、あの子が楽しんでるなら良いんだけどねー」

「そうっすね」


 ならば存分に満喫すればいいとユースも同意。

 土産話を楽しみにしつつ、こちらも遠征訓練に集中しようと切り替え――


「それよりも施設なんざ見飽きてるからあたしは楽しくないねー」

「そりゃラタニさんからすれば見飽きてるでしょうけども」

「てなわけでティーちゃんや、このまま屋外訓練場で遊ぼうぜい!」

「なにがてなわけ!?」


 ――る間もなく、早速ラタニが面白半分で予定変更を提案。


「良いですわね。まさに真の強者に相応しい時間ですわ」

「ティエッタさんも受け入れない! 訓練参加は明日からです!」

「ちゃうちゃう。訓練じゃなくてみんなで遊ぶの。とりあえずカナちゃんとひよっこ共の総当たり戦でどうだい?」

「どうだい? ではありません!」

「ならあたし対お前ら全員でかかってこいやー」

「私も加わって宜しいのですか?」

「もちのろんろん」

「ではお相手をお願いしますわ」

「ですからティエッタさんも受け入れない! 隊長は黙って付いて来てください!」


 ちなみにカナリアの奮闘によって多少の遅れ程度で施設見学は無事終了した。




公国でアヤトくんがアヤトくんらしくなってきた同日の王国サイドの様子でした。

アヤトくんの保護者をフロッツに任せてもラタニさんがいる限りカナリアの気苦労は絶えません。

またお久しぶりのキャラも登場しましたが環境が変わっても元気に頑張ってます。



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読んでいただき、ありがとうございました!


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