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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十二章 新世代を導く改革編
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いっぱいのねぎらい

アクセスありがとうございます!



 レクリエーション終了後、ニコレスカ姉弟から順にイルビナとレイティ、ミューズ、最後にエレノアがロロベリアを労う為に控え室に訪れた。

 その合間にファルシアンが改めて感謝を述べに訪れた際、これまで学院生会に迷惑をかけたことをエレノアに謝罪。ファルシアンの対応になし崩しで来賓席で観戦していたレイティも遅れながら謝罪を。

 また同じくロロベリアを労いに姿を見せたサクラが妙な気を利かせてある招待を持ちかけたりもしたが、一先ず今回の騒動は幕を閉じた。


 ちなみに解散時に早速エレノア、ユースにロロベリアが模擬戦を申し込むも当然却下。精霊力の保有量や体力が余っていようと一試合終えた後、ゆっくり休ませる為にも監視を兼ねてニコレスカ姉弟と共に帰宅させたのは言うまでもない。

 一人先に闘技場を去ったアヤトだが、今日は元よりミューズ、ラン、ディーンとの訓練予定なので遅れて帰宅。

 とりあえずファルシアンとの一戦について感想を訊いてみたが――


「訊くまでもないだろ構ってちゃん」

「つまり、少しは楽しめたのね」


 予想通りの返答だったので不満なく受け入れたのも言うまでもない。

 だからこそ、ではないが夕食後にアヤトとニコレスカ姉弟が訓練場に向かった後、ロロベリアは一人で制御力の訓練と体力強化の走り込みを。

 保有量も体力も余裕があるなら日課の基礎訓練だけでも欠かさないのがロロベリア。故にいつも通り二時間みっちり熟した後はシャワーを浴びて寝るだけ。


「よう」

「……アヤト?」


 ……だったが、脱衣所から出ればキッチンに立つアヤトの姿にキョトンとなる。

 なんせ進級してからは夕食後にリースと個人訓練、または今日のようにユースも交えた訓練を行う間、ロロベリアは基礎訓練を終えて休むのが日常。こうして夕食後に出会すのは初めてだった。

 また夕食も終えたのにキッチンで何をしているのか。


「少しでも楽しめたなら労ってやれと連中に言われてな」


 ロロベリアの構ってちゃんが疼くも先にアヤトが面倒げに口を開く。


「俺としては労う必要も感じんが、あれだけ催促されると面倒にもなる」


 カップを手にリビングに移動、一つをテーブルに置いてから向かいに着席。


「故に無理して付き合わなくてもいいぞ。代わりにマヤが飲むだろうしな」


 苦笑しつつ自分用のカップに口を付けるアヤトにロロベリアはため息一つ。


「連中って誰のこと?」

「序列保持者と学院生会の連中だ。労いの催促でわざわざ訓練場にまで来たんだよ」

「リースやユースさんも?」

「時間作る為に徹底的な遊びを希望したからな。つーかそんなの訊いてなにが楽しいんだ構ってちゃん」

「この時間を作ってくれたお礼を伝える為よ」


 アヤトと二人きりの時間を用意してくれたなら当然の理由とロロベリアも着席。


「だからマヤちゃん、残念だけど私がご馳走になるからね」


『お気になさらず』


 まあマヤは常にアヤトと一緒に居るので完全に二人きりではないが、気を遣ってくれたのか脳内に声は響くも姿は見せず。


「面倒でも労ってくれるんだから、せめて乾杯しない?」

「さっさと飲め」


 申し出は却下されるもロロベリアは笑顔のままカップに口を付ける。

 温めたミルクに蜂蜜を僅かに加えたこの一杯がアヤトなりの労いらしい。

 もちろん不満などない。むしろこの一杯をアヤトが煎れる意味を知るロロベリアは胸の奥がじんわり温まっていく。


 自分がシロで、アヤトがクロだった頃、同じ物を煎れてもらった。

 家族の為にいつも仕事を頑張る父に、疲れが取れるように、ゆっくり就寝できるように母が労いとして用意していた蜂蜜入りのホットミルク。

 強くなると約束した後、苦手な勉強を頑張り始めた自分を労いたいとクロが用意してくれた。希のご褒美としてだったが、それでもクロの気持ちが嬉しくて明日も頑張ろうと張り切ったものだ。


 そんな思い出の一杯をこのタイミングで、記憶を失ったアヤトが煎れてくれた。


「……偶然でも嬉しい」

「あん?」

「例え面倒な気持ちでもね」

「なんの話だ」

「さあね」


 いつものお返しと訝しむアヤトを交わしてロロベリアはもう一口。


「今さらだけどいつからイルビナさんの稽古をしてたの?」

「遊び始めたのは入学式の後からだ」

「いつの間に……というのは教えてくれなさそう」

「白いのが察しが良いと雨が降るんだが」

「雨が降ったのはアヤトのせいだって言ってるし」

「俺のせいにするんじゃねぇよ」

「私のせいにこそしないでよ。あ、サクラの招待訊いたでしょ? 参加するよね」

「面倒だがそのつもりだ」

「ならファルシアンさんやレイティさんとも遊んであげるんでしょ?」

「望まれればな」

「絶対望むわよ。話は変わるけど、面白い新入生にファルシアンさんやレイティさんは入ってたの?」

「序列保持者を叩き落とす可能性がある、という程度の面白さとしてな。つーかいつも以上に構ってちゃんが絶好調だな」

「最近ゆっくり話す時間がなかったから。それに、そろそろ構ってくれないと――」

「噛みつくんだろ。たく……面倒な」

「でも一度口にしたなら守るのがアヤト。だからこの一杯はゆっくり飲ませてもらうわ」

「さっさと飲めと言ったんだがな」


 昔とは違う思い出の味と共に、久しぶりにアヤトとの時間を楽しんだ。



 のだが――



「……この後個人訓練するんでしょ? 見学していい?」

「断る」

「なんでよ!?」

「白いのだからな」

「またその理由? そもそもリースは許したのになんで私は白いのだからでダメなの!」

「白いのだからな」

「……全部それで終わらせるつもり?」

「納得したならさっさと飲め」

「ぜんぜん納得してないけど……」


(ひょっとして白いのだからこの飲み物で労ってない……?)


 昔とは違うからこそ、微妙な扱いは受けてはいるも、良い思い出に変わりはない。




オマケ最初は今章でほとんど関わらなかった主人公二人の内容。

知らずとは言えアヤトの期待に応えたロロのご褒美も兼ねてですが……まあ捻くれ者のアヤトくんですから。

ただ思い出の蜂蜜入りのホットミルクを労いとして用意したのは、捻くれ者ですから(笑)。


そして次回のオマケは作中にあったサクラさまの招待についてとなっています。



少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークに登録、評価の☆をお気持ちのまま★にして頂ければ嬉しいです!

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読んでいただき、ありがとうございました!



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