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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十二章 新世代を導く改革編
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終章 知らされたルーツ

アクセスありがとうございます!



 レクリエーションの成果か、広まっていた噂が成りを潜めたことで学院はようやく落ち着を取り戻した。


 代わりと言っては何だが、新たな問題も起きていたりする。


 持たぬ者でも努力をすれば持つ者と戦える。

 アヤトの序列入りで徐々に浸透されていた可能性は、イルビナの雄志が後押しとなったようで劣等感に嘖まれていた騎士クラスの学院生も希望を見出したと実技教習は当然、放課後の自主訓練にも例年にない熱意が広がっていた。

 またロロベリアの雄志にやはり感化された精霊術クラスだけでなく、騎士クラスの熱意に触発された精霊騎士クラスも躍起になって訓練に勤しむようになった。イルビナが示した可能性がある種の相乗効果を生んだとも言える。

 中にはエレノアの演説に影響を受けたのか、アヤトを序列の座から引きずり下ろすのを目標にした学院生も居るが、結果として例年以上に怪我人が続出。

 つまり訓練施設だけでなく医療施設も慌ただしくなっていた。まあ前年度の入れ替え戦から医療体制を見直していたお陰で充分対応できている。これもある意味先代の置き土産かも知れない。

 そして訓練による事故が起きないよう、自主訓練の監視体制に悩まされることになったが、学院生の実力低迷に悩まされていた頃に比べれば嬉しい悩みと言えるだろう。


 もちろんレクリエーションの成果だけではない。学院の未来を危惧して改革を始めていた先代たちの積み重ねがようやく芽吹いた形だ。

 また学院の問題は実力低迷だけではない。

 立場関係なく平等に学ぶ学院理念の浸透。加えて今の熱意を一過性のものにせず、継続していくことが大切。

 学院改革はまだ道半ば。今後も学院の未来を、そして王国の未来をより良く導く活動は続けなければ意味がない。


 故に今年度の学院を率いる学院生会も、序列保持者も楽観視せず努力を重ねて次世代に受け継ぐのが先代たちの思いに対する誠意だ。


 そう気持ちを新たに迎えた土精霊の周季二月。

 今年度最初の入れ替え戦を控えたロロベリア達に思わぬ来客が。


「……突然お邪魔して申し訳ありません」


 今日はアヤトとの訓練もなく、約束もしていない訪問に加えて夕食の準備が整った時間帯なだけに、ソファに着席したミューズは改めて謝罪を口にする。

 ただミューズやレムアなら驚きこそすれ素直に歓迎できた。

 問題は同行している二人で。


「私からも改めて謝罪する」

「悪いね。お詫びにお兄さんが今度デートに――あだ!」

「……お前は謝罪しなくていいから黙っていろ」


 ミューズの隣りでダリヤとフロッツが相変わらずのやり取りをしているも、この二人が自宅に訪ねて来れば驚きもする。

 確かに落ち着いたら王国に訪れると約束している。しかし連絡もなしに突然の訪問となれば妙な胸騒ぎもしてしまう。

 しかも二人の訪問はアヤトに関係しているらしい。

 なのでソファにはアヤトのみが向き合い、夕食の並ぶテーブル席にはロロベリアとニコレスカ姉弟、元より食事は一緒に楽しむマヤも料理に手を付けず聞き耳を立てていた。


「謝罪も夫婦漫才もいいんだよ。さっさと用件を言え」

「さすがアヤトくん! ダリー、俺たち――ふぎゃあ!」

「……黙っていろと言ったはずだ。それとアヤト殿、侮辱は止めて欲しい……本当に頼む」


 まあ当のアヤトは驚きよりも苛立ちから痛烈な嫌味を一つ。

 調子に乗ったフロッツが拳で撃沈、ダリヤを心底辟易させたがそれはさておき。


「いいから用件を言え」

「……では」


 更に促されたダリヤは咳払いと共に姿勢を正し、用件を切り出した。


「このような確認するのは忍びないが……アヤト殿は幼少期にご両親を亡くし、教会に引き取られたと訊いている」

「それがどうした」


 ミューズから訊いたのか、過去に触れてもアヤトは気にせず端的な返答。


「亡くなられたご両親の名だが母君はワカバ、父君はアースラ……で、間違いないか」


「あん?」

「え?」


 だが続く確認にアヤトは首を傾げ、見守っていたロロベリアは目を見開く。

 というのもアヤトの両親の名はロロベリアでさえ最近知ったばかり。お墓参りの後ニコレスカ姉弟には話しているが、過去が過去なだけにミューズから触れないので話す機会は無かった。

 なのにその名前をなぜダリヤが知っているのか。

 またミューズやレムアは事前になにか訊かされているのか。


「こりゃ確定だろ」

「……そのようだ」


 神妙な表情で見守る中、アヤトの反応から確信を得たフロッツとダリヤは顔を見合わせ頷く。


「すまない。実はアヤト殿のご両親、主に母君について話したいことがあり、私とフロッツは急遽訪問させてもらったんだが……アヤト殿はご両親についてどこまで知っている」

「前置きはいい」


 そしてアヤトの返答で知らないと判断したのか、改めてダリヤが切り出した。


「アヤト殿の母君は()()()()()()()()()()()()()()()()()()




久しぶりに登場のダリヤとフロッツが告げたアヤト母の情報についてはもちろん次章で。

そして十二章も終了……ではなく、次回は外伝のもう一つの終章の後書きで予告した(覚えててくれてますか(汗))あの問題に触れる、もう一人の終章で終了となります。



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読んでいただき、ありがとうございました!




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