表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十二章 新世代を導く改革編
501/779

決意の発表

アクセスありがとうございます!



 学院生会は主に学院生側の要望を学院に伝える橋渡し役や、イベントなどを取り仕切る学院生のトップ組織。

 去年の精霊祭で行われた序列戦も親善試合に勝利した序列保持者の雄志を王国民にも見てもらいたいと学院生会主導で行われたイベントの一つ。


 なので学院生会から新たなイベントが発表されるのは不思議ではない。


「学院生の模範となる代表二名と、新入生代表二名によるエキシビションマッチを開催します」


 ただそのイベントの詳しい内容に学院生はざわめき始める。

 なんせ新入生代表として選ばれたのはファルシアンとレイティ。二人が選ばれたのは入学試験で精霊術クラスと精霊騎士クラスの実技試験で主席、つまり新入生で最も実力があるとの理由から。

 新入生だからこそ学院を代表する実力者を知らない者は多い。故にその強さを実感し、今後に活かしてもらうには新入生側も実力者であるべきとの判断らしい。

 また新入生に実力を知ってもらうなら精霊祭のような序列戦を行ってもいいが、今回のイベントが新入生向けに決まったレクリエーションの一環なら妥当な選出になる。


 しかし学院生の模範となる代表といえば序列保持者。

 本来序列保持者に挑むには入れ替え戦で挑戦権を得る必要があるも、新入生向けのイベントの一環とすれば入れ替え戦の意義も損なわないが、新入生代表に選ばれた二人が切っ掛けで広まった噂を考慮すれば、学院生会は噂の沈静化も踏まえてこのイベントを発表したと捉えられても仕方がない。

 つまり代表の一人はアヤト。公の場で実力を示せば、少なくとも新入生の疑心は払拭される。まあ選抜戦で目の当たりにした者の中には未だ懐疑的な者もいるが改めてとの狙いもあるのだろう。


 そしてもう一人の代表が誰になるか。

 学院生の代表といえば生会長のエレノア、しかしロロベリアの可能性もある。

 組織上のトップは生会長でも、学院生の模範となる強者はやはり序列一位。選考戦でアヤトに敗北した序列保持者の代表として選ばれても不思議ではない。

 新入生代表に現在問題視されているファルシアンとレイティを選出した意味深なイベントを勘繰る者は多くいる。しかし敢えて学院生側の代表を伏せたことで別の方向でも興味を引けたのか学院生たちは盛り上がっていた。


「…………」


 そんな中、レイティは壇上で説明を続けるレガートやシエンの声も耳に入らずアヤトが居るであろう騎士クラスの列に視線を向けていた。

 学院生会の発表を生会長のエレノアではなく二人が担当しているのは精霊祭の序列戦と同じで、不正はなくとも序列保持者が在籍する代表がイベントの責任者になれば公平にならないとの理由から。

 なので昨日も序列保持者が在籍していないクラス代表の二人からファルシアンと共に呼び出されている。その場でイベントの概要を聞かされているだけに真新しい情報はない。

 新入生代表として参加するかの有無を問われ、二人とも了承したからこそ正式に発表されたのだ。


 ただレイティも相手は聞かされていない。しかしユースの言伝でアヤトが示していた()()()()このイベントと察するのは容易いこと。

 加えて説明をしたレガートとシエンからもこのイベントはあくまで表向きのもので、狙いは公の場で自分たちの疑問を払拭させる狙いもあると打ち明けられていた。

 自分やファルシアンの疑問、つまりアヤトが本当に精霊力を持つ者を超える実力があるのか。

 それを実際に確認させる場なら代表側の一人はアヤトが出てくるはず。

 故にファルシアンも追求せず受け入れた。もちろん狙いについては秘匿を約束させられたが元より広めるつもりはないし、要望通り明日のイベントまでは自重するつもりだ。

 場を用意してもらったのなら無理にアヤトと接触する必要もないと、レイティは昂ぶりを抑るのに必死だった。



 ◇



「……レガートの提案は正解だったわね」


 などと遠目からでもレイティの気迫を感じ取れるだけに、壇上隅で様子を窺っていたランはため息一つ。

 学院生代表の二人を伏たのはイベント色を強くする以外の理由もあった。でなければレイティが今以上の強硬策に出る可能性があるからだ。

 ただ学院生会として詳しい概要を知るだけに疑問もある。


「逆に不気味なんだけど……」

「それ同感」


 ランの呟きに同じ気持ちなのかディーンも同意。

 実のところ昨日新入生側に参加を打診したレガートとシエンから不可解なやり取りがあったと聞いている。

 学院生代表と新入生代表の二名ではタッグ戦になる。精霊術士や精霊士がサポートに加わってしまえばアヤトの実力が本物かどうか証明にならないとレイティが異議を唱えたのだ。

 しかしレイティの意義にファルシアンが個人戦を提案。しかも自分は持たぬ者が本当に精霊力を持つ者を超える実力があるかに興味があるだけで、実際に戦わなくてもいいと口にしたらしい。

 そもそもファルシアンがアヤトに挑戦状を叩きつけたことが全ての始まり。なのに自分は戦わなくても知ることが出来れば満足とは肩すかしだ。

 故にレガートとシエンも説得せずに済んだが、ファルシアンの真意がいまいち掴めない。

 今も戦意剥き出しのレイティに対して、普段の行動が嘘のようにファルシアンは冷静にレガートの説明に耳を傾けている。この静けさが不気味でならない。

 

「下手に騒がれるよりはいいだろう」


 そんな違和感をエレノアは平然とした表情で一蹴。


「今はこのイベントが成功するよう、私たちは出来ることをする。それだけだ」

「……一理あるか」

「序列保持者である前に学院生会だもんな」


 前向きな捉え方にランとディーンは同意する。

 発表したなら後には引けない。後はイベントの責任者として尽力するレガートとシエンが不測の事態に備えられるように変わりの負担を補えばいい。

 序列保持者として表だった協力ができないなら、学院生会として陰ながら協力するのが自分たちの役割と切り替える二人が頼もしく感じつつ、レノアは少し離れた場所に立つイルビナに視線を向けた。


「イルビナも頼んだぞ」

「…………」


 返事の変わりに首肯するだけ。

 しかしこの状況においても普段通りのイルビナがまた頼もしくエレノアは小さく笑うも、すぐさま表情を引き締めた。


 自分も生会長として、学院生の意識改革を進める為に託された役割を果たすのみ。

 でなければ様々な置き土産を残し、託してくれた先代たちに合わせる顔がない。

 なによりここまでお膳立てをしてた()()()()()()()()()()()


(やってやろうじゃないか)


 必ず成功させるとエレノアは静かに燃えていた。




学院生会から発表されたイベント内容でした。

新入生向けのレクリエーションとして学院の模範となる代表二名とファルシアン、レイティの試合にどんな狙いがあるのか。

またこのイベントをお膳立てした捻くれ者は誰……なのかは分かりますよね。

とにかく次回はファルシアン、レイティの相手が登場。そしてこの状況に至までの裏の動きや狙いなども少しずつ明かされていくのでお楽しみに!


少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークに登録、評価の☆をお気持ちのまま★にして頂ければ嬉しいです!

みなさまの応援が作者の燃料です!


読んでいただき、ありがとうございました!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ