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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十一章 波乱の序列選考戦編
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もう一つの終章 次代との出会い

アクセスありがとうございます!



 ――もちろん理解はしている。

 偶然とはいえアヤトの個人訓練を知ってから自分なりに考えて行動に移したからこそアヤトから宿題を出してもらえた。そのチャンスを活かしてやっぱり自分なりに考えて行動に移して、更に認められるだけの結果を残した。

 精霊術に拘りはないがやはり精霊術の力を知るだけに簡単に手放せない。長年磨き上げた槍術もそうだ。大事に大事にしていた炎覇ともお別れしてまで自分の求める強さを求める決断をしたリースの強さにはロロベリアも尊敬している。

 故に今まで一緒だったリースが精霊騎士クラスに移動したのは少しだけ寂しいが応援しているし、今まであまり友好的ではなかったアヤトにも師弟関係となったことで素直に慕うようになったのは嬉しいところ。まあ二人の距離が縮まっているように見える(アヤトは相変わらずだが)のにちょっとだけもやもやはしたが、今まで姉妹のように慕われていただけに、リースが離れてしまった寂しさからのもやもやもあるが、とにかくリースの今度を素直に応援しているし、リースに負けないよう自分も頑張ろうと奮い立たせてもらえるので今回の一件は本当に良い機会だったと思っている。

 しかしそれはそれとして、やはりアヤトは自分以外に対して妙に優しくないだろうか?

 交流会の指摘でもジュードやルイには最初の心構えを説いたし、他のメンバーにもああすればいい、こうすればいいとそれなりに具体的な要求だった。ユースには端的な要求だったが、後に聞けば事前にラタニから改善点を告げられていたらしい。

 対し自分には自惚れをへし折るのみ。もちろんそれも必要だが扱いがぞんざいでもやもやする。更に秘策含めて改めてへし折られた後も具体的な改善よりも条件のようなもので終了。なぜかユースから必要性を教わってもやもやする。いや、その条件から必要性に気づかない自分が悪いのかもだがやはり自分に対して適当すぎないだろうかともやもやはしてしまう。

 なにより選考戦で疲労困憊にされたミューズには手を貸してあげたり、ユースには肩を貸して医療室にまで送っていたのに自分は放置。状況が状況なだけにもやもやよりも悔しさの方が勝っていたが、もやもやの理由は意識を失ったリースを優しくお姫さま抱っこで医療室まで運んだことだ。もちろんリースに優しくしてくれることも、医療室まで運んでくれたことも感謝しているが自分にはお願いしても『白いのだから』でお姫さま抱っこを拒否したではないか。サクラはお願いされたから、リースは……どんな気まぐれかは知らないがロロベリア(白いの)だから拒否はどうだろうかともやもやする。それはそれで特別扱いと言えなくもないが、どうせ特別扱いをしてくれるならもっと分かりやすく扱って欲しい。捻くれているというか中途半端というか、からかわれているだけに感じるから余計にもやもやしてしまうのだ。

 そして今も。序列専用の訓練場でリースに稽古を付けているのだが、なぜか立ち合い禁止で追い出されてしまった。いつもなら立ち合い可なのにこの変化は師弟関係になったからか。そこはまだいい、ただなぜ自分は追い出されたのにミューズは可なのか? 理由を聞いてもお約束なのでもやもやするし、ミューズと言えば学院が始まれば約束のデートがあるのでただでさえもやもやするのに仲間はずれで更にもやもやしてしまうではないか。

 とにかくつまりアヤトはなぜ自分以外には妙に優しいのかだ。ぞんざいな扱いもある種の特別扱いかも知れないがこんな特別扱いなどもやもや以外のなんでもない――



「……ま、姉貴のために我慢してくれたんだから、ここは思う存分もやもやしてくれ」


 と、もやもや全開なロロベリアをユースは生暖かく見守っていた。

 二学生からリースと別クラスになっても終了時間は同じ。帰る場所も同じなら以前と変わらず一緒に帰宅するのは自然な流れ。

 故に学院が終わり待ち合わせ場所の噴水広場に二人で向かったのだが、そこにはリースではなくいつもなら訓練の約束がない限りどこで何をしているか分からないアヤトがいた。

 まさか二学生からは一緒に帰るつもりのか、などと僅かな希望からウキウキとロロベリアが声をかけたのだが。


『リスに序列専用の訓練場に来いと伝えておけ』


 伝令役と分かるなりロロベリアは落胆、までは良かった。

 問題はその後、訓練をするならと当然のように同席するつもりだったロロベリアにアヤトは先に帰っていろと指示。もちろんロロベリアも訓練なら参加したいと意見したがアヤトは拒否。

 ここまでもまだ良かった。自宅に訓練場があるのにわざわざ学院の訓練場を利用するなら師弟としてリースに特別な訓練をするつもりかもしれないとロロベリアも快く伝令役を受け入れてくれただろう。

 だが問題はその直後で。


『納得したなら結構。ミューズ待たせてるから行くぞ』


 去り際にアヤトが全く結構ではない余計な一言を添えたことでロロベリアの構ってちゃんが発動したのは言うまでもなく。

 なぜ自分たちはダメでミューズは良いのかと問い詰めてもアヤトは『さあな』と交わして訓練場へ。

 納得いかないロロベリアだったが入れ替わりにやってきたリースにはもやもやを潜めて伝令役を務めてくれたのは、ここでもやもやを露わにするとリースが申し訳なく思うと危惧してのことだろう。

 ミューズを同席させるのも、自分たちを同席させなかったのもアヤトなりに何らかの理由があってのことくらいはロロベリアも察している。

 なら自分の嫉妬もやもやでリースに負い目を感じほしくない。

 故に心置きなく学んで欲しいと言伝を聞いてリースを笑顔でロロベリアは見送ってくれた。

 そしてリースの背中が見えなくなった途端、抑えていたもやもやを全開にしているのだが、ロロベリアの気遣いを垣間見たユースは感謝しているわけで。


「ま、説明不足のあいつに問題があるんだけど……これも押しつけられてるのかねぇ」


 陰ながらロロベリアを見守る役割を任されているが、こうしたケアまで任されているつもりはないのでユースは後ほど話し合う必要があるともやもやに忙しいロロベリアが無事に帰宅できるよう周囲に気を配っていた。


「……ん?」


 だが校門を出たところで目に入った人物にユースの足が自然と止まった。

 服装からして平民の少年は誰かを探しているようにキョロキョロしているのだが、気になったのはその顔立ち。

 短く切りそろえた金髪に少し目尻の下がった金瞳、体格も良く動きからして普段から鍛えているのが見て取れる。

 初対面のはずなのにどこかで見覚えがあるように感じてつい観察していると、視線に気づいたのか少年と目が合い。


「……もしかしてロロベリアさん、ですか?」

「は?」


 続けて隣りにいるロロベリアを見るなり戸惑いながらも近づいてくるのでユースは困惑。


「え?」


 名を呼ばれてロロベリアももやもやから我に返る。

 反応から顔見知りではないようだが、乳白色の髪をしたマイレーヌ学院の学院生がロロベリアとはラナクスの住民なら知るところ。


「……えっと、どちらさま?」


 ただ見知らぬ相手が故に警戒気味なロロベリアに少年は慌てたように姿勢を正し。


「あ、すみません。俺は決して怪しい者ではなく、これから後輩としてお世話になるから()()()()()()()に挨拶しようと来ただけで……」


「「アヤト兄ちゃん?」」


 その親しげな呼び方に二人は目を丸くする。

 呼び方からしてアヤトの関係者なのか、しかしどのような繋がりと困惑する中、少年は思い出したように名乗った。


「じゃなくて、俺はエラン=ユナイスト。親父……モーエン=ユナイストの息子です」



 

今回はリースの成長がメインだったので入れるタイミングがなかったのは認めますが、決してもやもやシリーズを入れたかったわけではありませんよ? 作者として満足はしてますが! ……なにかすみません。

とにかくこれまでちょいちょい話題には出ていたモーエンの息子が登場したところで十一章も本当に終了となります。

なのでこちらもすっかりお約束、次回からはオマケの更新になります。

十一章で語られなかったあんな話やこんな話を予定しているので、オマケもお楽しみに!



少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークに登録、評価の☆をお気持ちのまま★にして頂ければ嬉しいです!

みなさまの応援が作者の燃料です!


読んでいただき、ありがとうございました!



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