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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十一章 波乱の序列選考戦編
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終章 迷いなく

アクセスありがとうございます!



 選考戦の翌日。


 長期休暇も終わり本日からエレノアたちは三学生に、ロロベリアたちは二学生に進級して今期学院も開始。

 同時に今期の序列保持者が全学院生にお披露目となり、学院生会の報告会で学院を代表する十名が発表される。


「……驚いてるなぁ」

「驚くのはまだ早いんだけどねぇ……」


 のだが、学院生会ではなく序列保持者として壇上に並ぶディーンとランは選考戦の結果を知らない学院生の反応に苦笑い。

 向かって右から序列一位、二位と並ぶのが通例なので誰が序列何位かは既に分かるようになっている。

 ロロベリアが一位、エレノアが二位という結果はまだ予想の範囲内。やはり最も注目を集めているのは一番左に立つ人物で。


『新学院序列十位。騎士クラス二学生、アヤト=カルヴァシア』


 進行を勤めるレガートの発表に今さらながら講堂内は騒然。

 騎士クラスから初の序列誕生となれば信じがたい気持ちもあるのだろう。

 ちなみに発表と同時に騎士クラスの列から拍手がわき起こったのは、これまで縁がないと思われていた名誉を得たことに同クラスとして感慨深いのか。

 対するアヤトは一礼もせず、手を上げ拍手に応えるでもなくコートのポケットに両手を入れたまま我関せず。制服姿の中に一人真っ黒な姿はひときわ目立つが今さら。


 それよりも問題は次とディーンやランだけでなくユースも楽しみにしている中、ざわめきの残る講堂内に構わずレガートが発表を続け――


『新学院序列九位。()()()()()()()()()()、リース=フィン=ニコレスカ』


『…………』


 リースの発表がされるなり講堂内が静寂に包まれた。

 やはりアヤトの序列入りのインパクトで誰も気づいていなかったようで、リースの胸にある徽章が精霊騎士クラスの物と確認するなり先ほど以上に騒然となる。


 そう、精霊術クラス所属だったリースは二学生から精霊騎士クラスに所属変更となった。


 序列保持者や学院生会の面々も知ったのは昨日の交流会終了直後。


『明日から精霊騎士クラスでお世話になります』


 帰宅する前にリースが精霊騎士クラス代表のランに挨拶したのだが当然ランはキョトンな反応で。

 遅れて周囲も含めて驚き詰め寄る中、リースから理由を聞かされた。

 精霊術クラスの実技は精霊術が中心。しかし精霊術を捨てて近接戦に絞り、アヤトから剣術を教わるなら精霊術クラスに所属する理由はなくなる。それなら近接戦中心の精霊騎士クラスに所属するべきと。


 精霊術クラスに所属する条件は精霊術士であることが大前提。しかし仕官クラスや精霊学クラスにも精霊術士が所属しているように、他クラスに所属してはならないとの規則はない。もちろん持たぬ者が前提の騎士クラスには一人もいないが、精霊士のみが所属している精霊騎士クラスに精霊術士が所属したことは一人もいない。

 それでもリースなりに今後を見据えて必要と考え、選考戦前に実家へ所属変更の手続きをして欲しいと手紙を送ったらしく。


 本来なら呆れられるか怒られるかの希望もクローネは娘が望むならと学院に掛け合い、所属変更が無事認められたと昨日手紙が届いたばかりだそうで。

 ちなみにこの話をクローネから聞いたサーヴェルは呆れるどころか笑って許可したらしい。他家なら間違いなく世間体を気にしてお叱りと共に却下する娘の決断を笑って受け入れる辺りがニコレスカ家とでも言うべきか。現にジュードやルイは微妙な反応をしていたが、リースの決意を聞いた他の面々は応援してくれて。

 帰宅後、アヤトにも話せば好きにしろの一言で済ませられたがとにかく、今日からリースにとっても新たな門出となるのだが。


「精霊術士が精霊騎士クラスか。風当たりも強くなるな」


 他の序列保持者が発表される中、困惑や侮蔑と決して良い感情を向けられないリースにアヤトが苦笑を。

 精霊術士のリースが精霊騎士クラスに所属となれば周囲の反応も仕方ない。


「師匠ほどじゃない」


 しかしリースは全く動じず、自分以上に周囲からの風当たりが強いアヤトに嫌味を返す余裕すら見せる。

 この決断をしてから周囲がどのような目で見るかなどリースも予想していた。

 それでも周囲に呆れられようと、笑われようと半端な気持ちで歩まないと決めたのだ。


「わたしはわたしの大切を守るために強くなるって決めた」


 故に周囲の反応など関係なく、自分の大切な家族や親友を。

 そして昔抱いた自分自身の純粋な気持ちも全て守る強さを手に入れる。

 なら今は好きなだけ笑えばいい。呆れればいい。

 だがこの決断は正しかったと証明する。


「黙らせるだけ」


 つまり歩んだ先で手に入れた強さで証明すると意気込むリースに対しアヤトは肩を竦めて。


「だと良いがな」

「がんばる」


 茶化されてもワクワクと輝かせるリースの瞳に迷いは微塵もなく、ただ真っ直ぐ前を見据えていた。




はい、あやふやなアレはリースがクローネに送った手紙でした。

精霊術士でありながら精霊騎士クラスに所属したことでリースはロロやユースと別クラスと離れてしまいますが、この決断も出来たのがリースの成長だと思います。

とにかく序章では不安から追い詰められていたリースが迷いなく自身の強さを目指せるようになったことで十一章も終了……ではなく、次回はもう一つの終章となっています。

内容はとにかく読んで頂ければと。



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読んでいただき、ありがとうございました!



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― 新着の感想 ―
[良い点]  リースがカッコよかったね。 [気になる点]  誤字報告です。 > 遅れて周囲も含めて驚き詰め寄る中、リースはから理由を聞かされた。  『リースから』だと思います。
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