序章 焦り
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三学生が卒業して来期の序列を決める選考戦に挑む二〇名の中に騎士クラスのアヤトが初の選出されたと理解するなり学院生らは騒然。
特別学院生は本人が辞退しない限り、前年度の序列保持者と同じ恩恵が受けられるので選出されるのは不思議ではない。
ただ特別学院制度を作らせたラタニとは違いアヤトは持たぬ者。選抜戦で強烈なインパクトを残したとは言え、以降は入れ替え戦のような公式戦に出場していないのでまだその実力に懐疑的な者は多い。
しかしそれ以上に名誉ある二〇名に持たぬ者が選ばれ、精霊術士や精霊士の自分が選ばれなかったとの事実を受け入れがたいのだろう。
故に精霊術クラスや精霊騎士クラスの学院生から不平不満が多く、精霊学クラスや仕官クラスからは戸惑いと興味が半々。これまで序列選考に蚊帳の外だった騎士クラスからは驚きと期待が半々と様々。
「……あいつ、序列とかどうでもいいって言ってたよな」
「言っていたな……」
「なんにせよ……学院のトップ争いにバケモノが参加するのは反則よ」
対し身を持って実力を知からこそディーン、エレノア、ランはアヤトの参戦にゲンナリと。
「おやおや、これは興味深いですね」
「序列に興味はないですが、こうなると話は別です」
「わくわく」
同じ学院生として最近知ったレガート、シエン、イルビナは完全に楽しんでいたりする。
またロロベリアやユース、ミューズもアヤトをよく知るだけにこの参戦に困惑ばかりで。
違う反応を示すのはやはり騎士クラス。シルヴィを始めとした面々が戸惑いながらもアヤトに激励を送っていた。
当初こそ険悪な関係だったが、持たぬ者でありながら精霊術士や精霊士と渡り合えるアヤトはこれまで持たぬ者としての劣等感から疎外感や嫉みを抱いていた者からすればある種の希望とも言える。加えて実技講習を始めとした学院での交流でそれなりに為人を知ったのも大きい。
故に全学院生から注目され、敵意、不満、興味、困惑と様々な感情を向けられるアヤトと言えば意にも介さず、シルヴィらの激励も適当に相槌を返していた。
そんな中、唯一の感情をリースは向けていた。
二日前、急に訓練の中止を言い渡したのは恐らくこの為。
いくら実力差があろうと同じ序列選考に挑む者同士で訓練などしない。
なぜアヤトが今まで興味を示さなかった序列に、入れ替え戦に参加する気になったかまでは分からない。
ただ自分もアヤトも序列選考の総当たり戦に選出されたのなら、必ず戦うことになる。
つぎ遊ぶまでに考えろと言うのなら、アヤトが出した宿題の提出期限は恐らくそこで。
まだ組み合わせは決定していないが最短で初戦、つまり残り一二日。
それまでに自分の強さを知るにはどうすればいいか。
別に答えが出せなくてもアヤトは今後訓練をしないとは口にしていない。
しかし元より自信をなくしていたリースにとって、この宿題が今後に必要なら。
「…………っ」
迫る期限にリースは焦りを滲ませていた。
前章のオマケを踏まえると、終章で知ったアヤトくんの参戦をリースは他とは違う捉え方をしていました。
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