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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十章 先達の求めた意地編
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予感

アクセスありがとうございます!



 入学試験翌日の休養日はティエッタとフロイスが訪問。

 もちろん目的はアヤトとの訓練だが、どこから聞きつけたのかツクヨとの手合わせを希望してきた。

 前回の訪問時はツクヨが知らず帰宅した為、強者バカのティエッタとしては是が非でも。フロイスも紅蓮の状態を確認だけでなく、同じ精霊士としてやはり手合わせしてみたかったらしい。

 二人の要望に断る理由もなくツクヨは了承を……改めてレイドとカイルは間が悪かったとロロベリアは感じていた。


「……ありがとうございました」

「どーいたしまして」


 そして手合わせの結果は悔しげに頭を下げるフロイスに対し、白月を肩に乗せたツクヨはカラカラと笑うようにツクヨの圧勝。

 純粋な身体能力や剣技ではツクヨが上。更に霊獣地帯に何度も足を運んでいる実戦経験の差もあり、精霊力の視認による優位性を除いてもやはり差は歴然だった。

 また先に手合わせをしたティエッタも同じく完敗。精霊術士との戦闘経験が乏しくとも、精霊術を斬れるアドバンテージが大きくツクヨは間合いをもろともしなかった。


「んで、紅蓮はどうよ」

「これほど馴染む武器は初めてです。改めてツクヨ殿に感謝を」

「もう何度目の感謝だよ……ま、満足してくれてるならアタシも打った甲斐もあるってもんだ。それに見た感じ大事に扱ってくれてるようだしな」

「むろんです。お嬢さまが自分の為に頭まで下げてくれた大切な剣……まさに自分の命ですから」

「それもそうか」


 相変わらず主バカなフロイスにもツクヨは気にした様子もなく。


「とにかくだ、年のワリには動きや剣技も申し分ない。紅蓮も良い使い手に恵まれたみたいで安心したよ」

「そう言っていただき自分も安心しました」


 年もなにも二人は同い年だがティエッタが認める強者はフロイスにとって敬意を向ける相手なのでやはり気にせず。


「さてと、んじゃティエッタも含めてこれからアヤトに遊んでもらうならアタシは下がるわ。このあと予定もあるしな」

「予定がありましたの? もう一度お手合わせを願いたかったのに残念ですわ」

「自分もです」


 ティエッタやフロイスは名残惜しげに息を吐くも、白月を鞘に収めつつ精霊力を解除するツクヨは苦笑を浮かべる。


「アヤトのワケ分からん交友関係のお陰で王女さまや皇女さまにお呼ばれされてんだよ」

「俺関係なく、お前が目を付けられただけだろ」

「アタシも帰る前にエニシの爺さんにリベンジしておきたいしな」


 アヤトの指摘をさらりと交わしツクヨは拳を鳴らす。

 確かに最初の面会は入学試験前と言うことで長く時間が取れず、終わり次第改めて場を設けるとサクラ自ら誘っていた。

 ちなみに目的だったユースの武器も完成したのでツクヨは明日帰宅予定。なのでエレノアとも約束していることから帰りに屋敷へ立ち寄るらしい。

 王族の屋敷に気軽に訪問するつもりのツクヨの神経は今さらとして、エレノアなら歓迎してくれるだろうし、結果としてレイドもようやく話が出来るなら問題なく受け入れられるだろう……カイルは残念ではあるが。


「エニシさんですか……私も今一度お相手願いたいですが、サクラ殿下もお忙しいでしょうし、さすがにお邪魔するわけにはいきませんね」

「さすがはお嬢さまです」


 フロイスの感心は良いとして、ティエッタもサクラに気を遣っているようだが目的はエニシ。

 皇女との面会よりも従者との手合わせを優先されればサクラが度々爺やは人気者と嘆くのも仕方がない。


「なにがさすがかは知らんけど、皇女さまが合格したら機会もあるだろ」


 それはさておき、ツクヨが言うように卒業後ティエッタは王国軍の精霊術士団に、フロイスは精霊騎士団に入団予定ならサクラがラナクスに滞在していれば機会は――


「それにアタシもしばらく王都で暮らすからな。時間が合えばいくらでも遊んでやるよ」


「「「…………は?」」」


 ……ある以前に、寝耳に水な情報にロロベリアやニコレスカ姉弟はキョトン。


「そうでしたの。なら是非ともお願いしますわ」

「お住まいはどちらに?」

「今のところラタニさんが暮らしてる住居に厄介になる予定だ。な、アヤト」

「ラタニはろくに掃除をせんからな」


 ラタニの住居はアヤトの実家のようなもの。

 なら少なくともアヤトは事前にツクヨから相談でもされていたので先ほども驚かなかったのか。


「……王都で暮らすって、どうしてですか?」

「なんだ白いのちゃん。アタシが王都で暮らすのが嫌なのか?」

「そうではなく……あまりに急な話なので気になって……」

「ああ、白いのちゃんは構ってちゃんだもんな。ま、アタシの打った得物を持ってる奴も増えたし、王都ならアヤトも少しは面見せるだろ」

「お前こそ構ってちゃんじゃねぇか」

「何とでも言え……と、ようはそんな感じだ。つーわけでそろそろ行くわ」


 最後は雑に纏めてツクヨは訓練場を後に。

 まあ驚きはしたがツクヨが王都で暮らすなら会える機会も増えるから歓迎ではある。


「炎覇の整備をしてもらいやすくなった」

「なにがそんな感じなんだろうな……」

「今回ばかりは私が構ってちゃんとか関係ないと思う……」


 ただ純粋に歓迎しているリースと違いロロベリアとユースは釈然としない気持ちで見送った。



 ◇



 翌日、寄り合い馬車乗り場までツクヨを見送ったロロベリアたちはそのまま登校を。


「ツクヨさんが来てたんでしょ……もう帰ったんでしょ……はぁ」


 するなりランに捕まり愚痴を聞かされていたりする。

 エレノアから聞いたのかツクヨと会えなかったのを悔いているようでかなり落ち込んでいた。


「学院生会がなければあたしも手合わせできたのに……この子たちの整備もして欲しかったのに……」

「とまあ、昨日からずっとこんな感じでよ。そんなヘコむなら学院生会とか断れば良かったのに」

「ツクヨさんが来るとか聞いてないんだから仕方ないでしょ。そもそも私情で学院生会入りを断るとかディーンじゃあるまいし」

「俺は断ってないだろ……」

「ま、まあまあ……」


 八つ当たりされて肩を落とすディーンを不憫に思いつつ、ツクヨがしばらく王都で暮らすと話せばランは安堵の表情に。


「なら時間を見つけて王都に行こうかな。入れ替え戦には間に合わないけど総当たり戦もあるし」

「そこまで気にすることか?」

「気にするわよ。精霊騎士クラスの代表になったのに来期の序列になれませんでした、なんてあたしを任命してくれたエレノアに顔向けできないじゃない」


 楽観視するディーンに呆れてランはため息一つ。

 学院生会に序列入りはもちろん、身分や学年は関係ない。しかし平民の二人が学院生会に入れたのは序列保持者という肩書きがあるからこそ反発も少なく済んでいる。

 なのでランが神経質になるのも分かるわけで。


「分かったなら学院生会の予定を確認して、早速日取りを決めよっか」

「は? 俺も行くのか?」

「そうそう、今日は久しぶりに遊んでもらうようアヤトに伝えておいてね」

「聞けよ!」

「あ、ランさん。今日は――」

「なにしてるのディーン、早く生会室に行くわよ」

「だから聞けよ!」


 ディーンの手を引きランは駆け足で生会室に向かってしまい。


「……サクラさまと約束があるから無理……なんだけど」


 明日にはサクラも帝国に戻るのでアヤトやロロベリアだけでなく、五日前に会えなかったニコレスカ姉弟やマヤは夕食に誘われていたりするも、その行動力に圧倒されたロロベリアは伝えられずで。

 後ほど改めて無理と伝えに行った際、間の悪さに再びランが落ち込んだのは言うまでも無い。



 ちなみに、その夕食の席でサクラから無事合格の報が届いたと聞き。


「来期からよろしくのう、先輩方」

「先輩とかはいいので……こちらこそ」


 ツクヨだけでなくサクラにも振り回されそうな日々になりそうと苦笑しつつも、それはそれで楽しい学院生活になるとロロベリアは感じていた。




予想通りと言いますかサクラさまも無事合格となりました。

またツクヨが王都で暮らすことになったりと、ロロの予感通り楽しくなりそうです。

ですが、同時に卒業が近づきつつあるわけで……お別れも近づいています。


ただ次回は卒業とは関係ないお話を予定、詳しくは次回更新をお楽しみに!


それはさておき新章に、というか学院がメインになると途端にアヤトくんの出番が減りますね……。


少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークに登録、評価の☆をお気持ちのまま★にして頂ければ嬉しいです!

みなさまの応援が作者の燃料です!


読んでいただき、ありがとうございました!



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