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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十章 先達の求めた意地編
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序章 引き継ぐ準備

新章開始!

アクセスありがとうございます!



 水精霊の一月、年越し祭を挟んだ長期休暇も終了。


 学院が始まると同時に三学生にとって残り三月もない学院生活が始まる。

 また学院生会も今月で解散、来月より新たな学院生会が発足。

 なので今期の学院生会は最後の勤めとして次期生会長を決める会議が行われていた。

 ちなみにマイレーヌ学院の生会長は講師陣と前期の学院生会で話し合い、次代の学院代表に相応しい一名を選ぶ指名制。

 これは内外からの圧力などが起きないよう防ぐ為。

 王立とはいえ生会長という地位はそれだけ魅力。また学院生同士でのいざこざが起きないよう講師陣と学院生の代表で指名するのが最も効率的で痼りが残らないとの理由から。

 もちろん自分たちの代表となるので信任投票は行われるが、過去不信任となったことは一度も無い。

 そして各クラスから選出される代表は旧学院生会が数名の後継者候補を選出、その候補者の中から新生会長が任命していく流れ。

 こちらは自身が纏める学院生会を責任を持って選ぶのが新生会長の最初の勤めという理由から。

 旧学院生会が関わるのは生会長の選出条件にクラスが定まっていない為。つまり他クラスまで把握しきれないので旧代表が参考として候補者を選出するのだ。

 故に最後にして重要な勤めとして、任期中も学院生会は後輩達の資質を見定め続けていた。

 学院生会に序列入りはもちろん、身分や学年は関係ない。とにかく学院をより良くしていくに相応しい資質があるかどうかが重要で。

 ただ講師陣は当然、年度ごとの学院生会には選出するに辺り暗黙の基準が存在する。

 それは学院の理念を重視するかどうか。

 この暗黙の了解があるからこそ、マイレーヌ学院はこれまで身分による弊害を最小限に抑えていた。

 まあ最小限なので完全になくるわけではないし、こうした問題はいつの世も必ず起こるもの。

 それでも少しずつでも浸透させるべく、次代の代表選出は慎重に話し合われるのだが――


「…………お前はバカか」


 新生会長の話し合いを終えて、学院生会室に戻るなりカイルは呆れと共にため息一つ。


「ボクはカイルにバカにされることをした記憶は無いんだけど」


 対しバカ呼ばわりされたレイドは心外と言わんばかりに肩を竦めるも、騎士クラス代表のグリードはカイルに同意し冷ややかな視線を向けるを。


「先ほどの会議でお前は誰を推薦した」

「アヤトくんだよ」

「それがバカな提案でなくて何になる」


 即答されてグリードも深いため息を。

 そう、レイドはあろう事か新生会長にアヤトを推薦したのだ。

 生会長に身分も学年も関係なく、学院の理念を重視するので条件はクリアしている。

 また特別学院制度を利用して編入しただけあって実力は当然学習面でも優秀、なによりアヤトには人を惹きつける妙な魅力がある。

 だがそれは彼を深く知ればこその魅力、もし信任投票を行えば学院設立初の不信任になるのは間違いない。

 故にレイドがアヤトの名を挙げた瞬間、講師陣の表情がもの凄く歪んだのは言うまでも無く。


「わたしもカルナシアくんにはお世話になってるからレイドくんの気持ちもわかるけどねー。でも講師の方々を困らせるのはメッ、だよ」

「……あの反応が全てを物語っている……これだから革新に消極的な連中は……」

「消極的よりも時期尚早すぎなんだよ~。急な改革は軋轢を生むだけ、なによりわたしたちが任命したところでアヤトくんは引き受けてくれないしね~」

「……任命拒否も学院設立初だな」


 精霊学クラス代表のズークの言い分は置いといて、精霊騎士クラス代表のミラーと仕官クラス代表のルビラもレイドを批判。

 まあレイドも本気で推薦したわけでもなく、狙いは講師陣がアヤトをどう評価しているのかを反応で確認したかっただけ。

 その結果はある意味学院生たちと同じ。

 ほとんどの講師から叱咤を受けたものの、一部の講師は学院生会のメンバーと同じ反応をしていた。

 要は講師陣にもアヤトを認めている者も少なからずいる。なら自分の描いた通りの引き継ぎは可能で。


「とにかく、レイドの悪ふざけはあったが順当な選出になったか」

「去年の今ごろだったらわたしはん~? ってなったけどね~」

「ルビラちゃんは厳しいよ。わたしは他にいないって思ってたけどなー」

「……ハイネは考えることを覚える……必要がある」

「ズークくん酷い! わたしだってちゃんと考えてるよ!」

「考えているならこんなところで剣を抜こうとするな!」


 相変わらずなメンバーにレイドはひとしきり笑って。


「休暇前に提案したイベントについて、ボクから報告があるんだけど聞いてくれるかな」


 パンパンと手を叩くなり室内が静まり返り、レイドに注目。


「そうそう! あの話がどうなったのかずっと気になってたんだよ!」

「レイドくんのことだから上手く言いくるめてると思うけど、どうなったの~」

「いくらレイドとはいえ、相手が相手だが……その表情だと問題なさそうだ」

「しかし相手が相手……そもそもレイドは……感情を表に出さない……」

「同意だな。だが、それなりの成果は上げている。だろう?」

「まだ全てとは言えないけどね。とにかく、ここからはボクらの引き継ぎについて話し合いを始めようか」


「だな」

「さんせーい!」

「……良いだろう」

「じゃあお茶の用意だね~」

「フレンディ、手伝う」


 からの、今期の学院生会らしいわちゃわちゃとした会議が始まった。




お久しぶりな学院生会の面々、彼らが何を話し合っているかは置いといて、とてもほっこりしました。


少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークに登録、評価の☆をお気持ちのまま★にして頂ければ嬉しいです!

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読んでいただき、ありがとうございました!




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