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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第六章 兆しの精霊祭編
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もう一つの終章 悪友、来たる

アクセスありがとうございます!



 精霊祭とアヤトの誕生日パーティーを終えた翌日。



 休養日ということでロロベリアとニコレスカ姉弟は変わらず朝早くから基礎訓練に当てていた。昨日の序列戦、特に最終戦に感化されたのかいつもに増して気合いが入っているも、午後からエレノアのお見舞いに行くので早めに切り上げ昼食を。


 ちなみにアヤトは屋台やカフェの売り上げ確認や学院生会に提出する書類作成の為、ケーリッヒの元へ出かけている。なので時間を合わせて学院前で合流し、一緒にお見舞いへ行く予定。

 ただロロベリアが誘ったのではなくアヤト自ら同行すると言い出したからで。

 まあ自宅と逆方向にも関わらず『帰宅のついでだからな』と相変わらず素直な物言いではかったが、進んで周囲と関わる姿勢を見せているのは良い傾向だとロロベリアが指摘せず了承したのは言うまでもない。


「今の内に掃除は済ませておきましょう。私はキッチンと周辺を」

「わたしは階段と通路、愚弟はリビング全般で」

「……オレの担当区域広くないっすかね」


 それはさておき出発までの時間を有効にとロロベリアの提案で日課の清掃に取りかかっていた。


「ん?」

「……誰だ?」


 不意に玄関の呼び鐘が鳴りロロベリアとユースは首を傾げてしまう。

 というのも工業施設の一角に構える住居を訪ねてくるのは序列メンバーにルビラ、グリードくらいなもので急に訪れることはまずない。ラタニも今朝方カナリアやモーエンと共に王都へ戻っているし、そもそも呼び鐘など鳴らさない。

 後は配達関係くらいになるが、実家から何か送られてくるとも聞いていないと、つまり来客の見当が付かないのだ。


 しかし再び呼び鐘を鳴らされ、とりあえず玄関近くにいたユースが対応することに。


「へいへい、どちらさ――」


「……ユースさん?」


 だがドアを開けるなりユースは硬直、不審に思ったロロベリアも掃除の手を止め玄関へと向かい――


「…………っ」


 ユース越しに来客が視界に入るなり思わず息を呑む。

 来客は二〇前後の見知らぬ女性。

 一七〇近い身長に服越しでも分かる均整の取れた体躯。また切れ長の金瞳や作り物のように整った顔立ちは、ロロベリアがこれまで出会った女性にはない冷たい美を感じさせる。


 だが美しさよりも目を引いたのは一つに結い上げた長い艶やかな()()


 この特徴は東国のもの、ただ金の瞳から生粋な血縁ではなくアヤトと同じ両親のどちらかが東国出身か、それとも血縁者か。

 どちらにせよ思わぬ来客に言葉を失い。

 また女性もユースを見据えたまま呆然としていた。


「……アンタ誰よ」

「え? あ……え?」


 のだが、ため息を吐くなり顔をしかめてしまう。

 ただ美しい容姿に似つかわしい鈴を転がすような声音なのに、しかめた顔つきと口調が不釣り合いすぎて問われたユースは戸惑ってしまう。


「アタシは誰かって聞いてんの。ここには目付きと態度と口調の悪いクソガキが住んでるハズだけど?」


 しかし女性は構わずまくし立てるも、女性の特徴含めて思い当たる人物は居るわけで。


「もしかして……アヤトのお知り合いですか?」

「あん?」


 ユースに代わりロロベリアが返答すれば、睨み付けるように切れ長の瞳を更に細められた。


「……ああ、アンタが()()()か」


 しかし一瞥するなり敵意むき出しから一転、女性は子供のような破顔を見せる。


「え? 白いの……?」

「アンタだろ? つーか白さにかけてアンタの右に出る奴なんていないっしょ」


 もの凄く既視感のある物言いに呆気に取られるロロベリアを余所に、女性はユースの横を抜けてズカズカと入室。


「しっかしマジ真っ白だな。アヤトが白いのって呼ぶのも分かるわ」

「アヤト? あの、やっぱりアヤトのお知り合い……ですか?」

「にしてもそこに居る男前もだけどさ、なんで白いのちゃんが居んの? ここにはアヤトが住んでるハズだけど」

「白いのちゃんって……というより私の話を――」

「まあいっか。んで白いのちゃん、アヤトどこいんの?」

「……聞いてください」


「……誰?」

「これまた可愛い嬢ちゃんが出てきたし……どうなってんの?」


 気さくにポンと肩を叩かれうな垂れるロロベリアに代わり、異変に気づいたのか二階から下りてきたリースが質問するも女性は無視、腕を組んで考え込んでしまう。


 間違いなくアヤトの関係者だが、いったい誰だと三人こそ困惑する微妙な空気。


「なにやら賑やかと思えば、懐かしい御方が来られていますね」


「「「え?」」」


 そんな中、リースに遅れて二階からマヤが姿を見せるなり三人はキョトン。

 まるで最初からそこに居たかのような態度は女性を欺く為か、しかしアヤトと共に居るはずなのにと更に困惑。


「……げ」


 対し女性は苦虫を噛みつぶしたような反応。

 その間にリースの横をすり抜け歩み寄ったマヤは優雅な一礼を。


「お久しぶりです。こうしてお会いするのは二年ぶりでしょうか?」

「ああ、うん……そりゃアヤトが暮らしてるならマヤも居るか」

「兄妹なので当然……ですが、そのような顔をされてしまうとわたくしちょっぴり悲しくなります」

「別に嫌じゃないんだけど……まあいいや。それよりもアヤトどこいんの? つーかこの子らがどうしてここに居んの?」


 ぎこちない対応をしていた女性は小さく首を振り矢継ぎ早な質問を、これにはマヤもクスクスと笑い。


「みなさまがお困りなので、まずは自己紹介をしておくべきでは?」

「アイツ、この子らにアタシのこと教えてないの? 自分ん家に入れてるくらいだから、知ってるもんだと――」

「兄様ですから」

「うっわ……それだけで納得だわ。つーかアイツ、マジ相変わらずだな。せめて白いのちゃんくらいには話しておけよ」


 マヤの返しに女性は苛ただし気にガシガシと頭をかき、リース、ユース、最後にロロベリアを一瞥。


「驚かせて悪い。アタシはツクヨ=ヤナギ、アヤトとはまあ……色々あったけど、()()って間柄がシックリくるか」


 謝罪と共に名乗ってくれたが三人は女性改め、ツクヨとアヤトの関係に目を見開くも――


「またツクヨさまはロロベリアさまの瑠璃姫、リースさまの炎覇、そして兄様の新月を()()()()()()()でもございます」


「「「…………」」」


 マヤの追加情報に驚きのあまり言葉を失った。




アヤトの数少ない関係者、ツクヨの来訪で第六章も今度こそ終了となります。

これまで謎に包まれていた新月、瑠璃姫、炎覇を作成した彼女の登場で次章はどうなるか……ですが、次回更新からすっかり定番となりつつあるオマケを予定。

内容については後書きで触れた内容を含めた四話を予定、どうぞお楽しみに!


みなさまにお願いと感謝を。

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