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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第六章 兆しの精霊祭編
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理解してくれる人、また一人

アクセスありがとうございます!



 精霊祭二日目。


 本日は学院生会の手伝いがあるのでロロベリアたちは開始二時間前に登校。

 主催側に回る学院生らが準備を始めている中、集合場所の屋外演習場に向かえば一〇〇ほどの学院生、その半分がロロベリアと同じ一学生で。

 自主的に手伝いをしているエレノアやミューズを含めた学院生会のメンバーは運営の中心なので今ごろ学院生会室で雑務に追われている頃だが――


「今日はお手伝いに来てくれてありがとね~。じゃあ色々説明するから雑務の腕章を受け取ったみんなはわたしのところに集合~」


 学院生会から仕官クラス代表のルビラがぽわぽわ声を出しながら両手を振れば全体の三分の一が集まっていく。

 主に雑用関係を任される学院生は仕官クラスと精霊学クラスを中心に残り三クラスの数名で構成されている学院生で。

 残りは主に警備関係なので腕っ節を重視されているので騎士クラス、精霊騎士クラス、精霊術クラスを中心とした学院生。ロロベリアたちもこちら側だ。


「で、でひゃ! 警備の腕章を受け取ったみなしゃんはわたしのところにあつまってくださひー!」


 ルビラと違いかみっかみながらも必死に号令するのは精霊騎士クラス代表のミラー=ハイネ。

 ロングウェーブの金髪と若干垂れた碧眼、ルビラ以上に幼い顔立ちやワタワタした雰囲気。また一四〇ギリギリの身長から小動物を思わせるその姿は、学院生の制服を着てなければ『パパとママはどこにいるのかな~?』と声を掛けられるだろう。

 現にルビラのように愛らしさの中に隠れた威厳もないミラーがなぜ精霊騎士クラスの代表を務めているかと、彼女を知らない後輩らは誰もが疑問に感じ、一生懸命さや庇護欲から選ばれたのかと勘違いしたほど。


 しかし知る者からすればまさに勘違い。

 何故なら精霊騎士団の副団長を務める父を持つ小動物系のミラーはフロイス、ランに次ぐ精霊騎士クラスの実力者。

 背中に装備した自身の背丈ほどある大剣を手にすれば肉食獣に豹変すると今では学院生全員が知るところ。

 苛烈な剣技を繰り出す戦いっぷりは普段の雰囲気も相まって学院最強がレイドなら、学院最凶はミラーと噂されるほど。

 故にかみっかみだろうが誰も笑うことなく駆け足でミラーの元に集まり。


「よ、よろしい! じゃあ学院生会で振り分けひゃペアと担当くういきを発表しゅるね!」

「……ミラー殿、よければオレが読み上げましょうか」


 だが戦闘モードに入らなければ見た目通りの真面目で一生懸命な小動物系、かみっかみな説明では聞き取りづらいと父親繋がりで親交もあるユースが申し出る。


「ユースくんいいのっ?」

「いいっすよ。ていうか、精霊騎士クラスの代表努めてるんですから、いい加減人前に出るとワタワタするの何とかしましょうよ」

「酷い! わたし頑張ってるのに!」

「頑張ってるのは知ってるんで柄に手を掛けるのは止めようか!」


 一悶着はあったものの学院生会が用意していたリスト元に二人一組を作り、それぞれに担当区域の説明や注意点などをユースが代行で進めていった。



 ◇



 午前十時、精霊祭二日目が開催。


 ロロベリアの担当区域は闘技場周辺と学食から離れていた。

 だからといって落胆することなく、気を抜かずに警備を勤めるつもりだ。


「ロロベリアちゃんとゆっくりお話しするの久しぶりだね!」

「……ですね」


 なんせペアがミラー。養子とはいえ家同士の親交はあり、戦闘モードに入らなければとても良い人なのを知っている。

 しかし警備が故に、何かあればむしろミラーを制止する可能性が高いと気が気ではない。

 ちなみにリースはユースとペアになり、一緒に警備が出来ずふて腐れていたがそれはさておき。


「ミラーさんも警備に回るんですね」

「こういうのは責任者が勤めてこそ示しになるんだよ! て、レイドくんが言ってた」


 学院生会なら有事に備えて控えるのが基本、自ら現場に赴いてもいいのだろうかとの疑問にミラーは元気な返答を。


「それにね、ロロベリアちゃんには学院生会のお仕事を経験してもらいたいのかも。来期は無理かもだけど、三学生になれば精霊術クラスの代表どころか生会長になるかもだし」

「そんな……私は生会長なんて器じゃありません」


 つまりミラーと組ませて今の内に学院生会としての自覚を芽生えさせるのがレイドの狙いのようで。

 ただロロベリアは元から学院生会に入るつもりはない。

 もちろん光栄ではあるも今は大英雄を目指す道、アヤトやラタニといった憧れの背中を追うことを集中したい気持ちの方が強い。

 なにより他の序列保持者と違って人気もなく、色んな意味で(アヤトと関わるようになってから)問題を起こしてばかりの自分に支持が集まるとは思えなかった。


「ううん。ロロベリアちゃんは頭も良いし一学生で序列入りもしてるもん。最後に手合わせした時よりもずっとずっと強くなって、選抜戦でもすごいなって見てたんだよ」

「ありがとうございます」


 しかし両拳をキュッと握りしめながらミラーは賞賛を。


「特に……カル()シアくん? との一戦には驚いたよ。エレノアちゃんとの継続戦でもそうだけど、ロロベリアちゃんって精霊術は上手だけど剣技はいまいちだったから」

「カル()()シア、です。そのアヤトに鍛えられましたから」

「そっかー。噂を聞いた時は信じられなかったけど、あの一戦を見たら納得だよ。カル()シアくんの剣技って見たことない流派だけど、すごく綺麗なのに力強くってビックリしたもん」

「……カル()()シア、ですよ?」

「あの剣筋を見ればきっとわたしたちよりもずっとずっと直向きに鍛錬を続けたんだろうなってわかるよ。だからカル()シアくんがロロベリアちゃんを鍛えられるのも不思議じゃないね」


 言い間違えを修正しても治らずロロベリアは苦笑を漏らすもミラーの慧眼に感服する。

 辛辣な評価だがミラーの評価する通り、学院に入学する前から近接戦闘の鍛錬はしていれどリースを始めとした近接戦を得意とする相手には通用しなかった。

 だが今はリースと互角に立ち回れるほど成長したと自負している。この成長はアヤトとの訓練を始めてから。

 圧倒的格上を相手に毎日ボロボロになるまで訓練を続け、必要な助言をもらった。また瑠璃姫を手に入れたのも大きい。


「……ありがとうございます」

「どうしてお礼を言われたかわかんないけど、どういたしましてだよ」


 つまりロロベリアの成長はアヤトのお陰、剣筋から彼の努力を読み取り素直に敬意を払ってくれることに自然と感謝を述べる。

 まだまだ学院内でアヤトを否定する者は多いが、ミラーのように直接面識がなくてもこうして受け入れてくれる人がいるのはやはり嬉しい。


「わたしもカル()シアくんと一度手合わせしてみたいな。あ、ロロベリアちゃんとも久しぶりに手合わせしたいなー」

「……考えておきます」


 にっこり笑顔とは裏腹なミラーの苛烈な剣技を思い出し、ロロベリアの口元がひくついてしまう。


「楽しみだなー……あ、お喋りばかりしてちゃダメだよね。ちゃんと警備しないと」

「ですね」


 まあミラーを相手にアヤトがどのような対応をするのか興味はあるが、今は警備としての任務に集中するべきで。


「あー! あそこに泣いてる子がいるよ! ロロベリアちゃん、出番だよ!」

「え? あ、ミラーさん、待って――」

「どうしたのかな? 迷子? それとも誰かにいじめられたの? ならお姉ちゃんがいじめっ子を懲らしめてあげる!」

「まずは事情を聞きいてからにしましょうね! なので柄に手を掛けないでください! というかいじめられててもミラーさんが懲らしめたらダメですから!」


 むしろ泣いていた女の子が怯えるとロロベリアは必死に訴えつつ、警備よりもミラーが暴走しないよう目を光らせる必要があると改めた。



 

これで学院生会のメンバーが全員登場……したけど、グリード以外のキャラが濃い気がする……。


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