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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第五章 帝国の英雄編
146/777

幕間 傲る兄、嘆く妹

更に久々の三日連続更新です!

……内容は短いですが。

アクセスありがとうございます!



 戦争中の帝国は強者は優遇されて弱者は冷遇される実力主義、つまり精霊力の有無が全てだった。


 王国との和平が結ばれ徐々にその傾向は失われつつあるも、昔からの風習故にまだまだ差別的な問題は起きている。

 そんな最中、現皇帝と正室、側室の間に生まれた五人の後継者。

 正室との間に生まれた長女、長男は精霊術士として、次女も精霊士として後継者に恥じぬ強さがあった。

 しかし側室との間に生まれた次男は精霊士として生まれたものの、武芸の才能が平凡で将来を期待されず。

 更にもう一人の側室との間に生まれた三女は精霊士ですらない持たぬ者、故に最も次期皇帝に相応しくないとの烙印を押された。


 後継者として期待される三人に対し、期待されない二人、また共に側室の母を持つ共通点から五人の中でも共に居る時間が増えて、いつしか特別な絆が芽生えたのは必然で。


 優秀な兄姉に憧れながらも、周囲の視線に居心地が悪く。

 加えて耳にする差別的な問題が他人事に思えず、幼いながらも精霊力の有無も実力も関係ない帝国に変えようと誓い合った。

 以降、精霊力に恵まれなかったものの、頭脳面で恵まれていた三女は精霊力が無くとも民が扱える精霊器について学び始めた。自分の発言権を得るため、同時に他国に劣るが故に平民が恩恵を受けづらい精霊器を自国生産することで少しでも豊かな生活が出来るようにと。

 精霊力に恵まれていた次男は持たぬ者が故に精霊力を感じ取れない三女の為に、精霊学を学びながら別視点での貢献と助力を惜しまなかった。

 二人の誓いを叶えるべく、後継者として期待されなくても皇族に生まれたからには帝国のため、民のためにと。


 その誓いから五年後――二人の努力が徐々に実を結び始めた頃、転機が訪れる。


 一二才で次男が精霊術士に開花。

 遅くとも一二才までに開花すると言われているだけに、落胆しかけたタイミングで。

 更に開花と同時に保有量が見違えるほど増加したことで周囲の目が一変する。

 だが三女は変わらず次男を兄であり同志として接し続け、もちろん精霊術士の開花に心から祝福した。

 次男も変わらず三女を妹であり同志として接し続け、もちろん開花しても共に誓いを叶えようと照れながらも答えてくれた。


 しかし次男が精霊術の訓練を始め、武芸の才はなくとも精霊術士としての才があると分かり。


 三女が精霊器の開発で功績を挙げていく中、次男も精霊術士として優秀な成績を挙げていくにつれて徐々にすれ違いが始まり。


 いつしか二人の絆と誓いは失われていた。



 ◇



 夕刻、皇帝との謁見を終えたサクラは重い足取りで通路を歩いていた。


 突如呼び出されて聞いたベルーザの不祥事、ラタニら王国側が許し内密にするらしいがアヤトやロロベリアと言った王国側と懇意にしているサクラからも改めて謝罪を伝えて欲しいとの命を受けたのだ。

 せっかく楽しい一日を過ごせたのに最後の最後で最悪な気分にさせてくれたと苦々しくて。

 どのように謝罪するか、アヤトはどう思うだろうかと悩んでいたが――


「……兄上」

「サクラか」


 階段を降りたところで悩みの元凶であるベルーザと出くわし、更に表情が歪む。

 一歩間違えれば最悪な事態を招いたにも関わらず、当の本人はいつものように太々しい態度が余計に癪に障る。


「サクラか、ではなかろうて。次々と問題を起こしおって、妾の立場も考えんか」

「お前の立場など私の知ったことではない」


 叱咤してもどこ吹く風、興味がないとそのまま歩を進める。


「ドブネズミのように影でこそこそとしていようとな」


 すれ違いざまに嘲笑混じりの忠告を受けてもサクラは動揺しない。

 同じ皇族として、兄妹として自分がアヤトやロロベリアと接触していることくらいは耳に入っているだろう。

 そして何を考えての行動かも予想している。

 だからこそ兄の行動に怒りがわき上がり。


「ならば邪魔をするでないわ……っ」


 お返しとばかりに吐き捨てるがベルーザも動揺せずそのまま去って行く。


 しかし負の感情を吐き捨てるなりサクラの表情からは怒りよりも寂しさが垣間見えて。


「ほんに……妾らは道を違えたんじゃな」


 なぜ力を得てからこうも変わってしまったのかとの嘆きが漏れた。




元々この二人はとても仲の良い兄妹だったんですね。


みなさまにお願いと感謝を。

少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークへの登録、評価の☆を★へ!

また感想もぜひ!

作者のテンションがめちゃ上がります!

読んでいただき、ありがとうございました!

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