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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第五章 帝国の英雄編
120/777

序章 船内にて

たいっへんお待たせしました!

これより第五章の開幕です!

アクセスありがとうございます!



 エヴリスト帝国。


 世界三大大国のひとつでファンデル王国と中央大陸の覇権を争い続けていた。

 しかし主力となる精霊力を宿す者が徐々に減少していくに比例し霊獣の被害が増加。

 結果停戦を余儀なくされ、更に両国が争う間に力を付けたレーバテン教国が『人間同士で争うよりも共に手を取り合う時』との仲介もあり、和平を結んだのが六〇年前。

 以降、様々な行事を合同で行い続けた中のひとつが親善試合。

 国同士で殺し合うのではなく、国の未来を担う若い世代でクリーンな試合を通じて認め合うとの意図で開催が決定されたがそれは表向きでしかなく。

 自国の方が優れているとの尊厳に浸る、言ってしまえば戦争により生まれた鬱憤を試合で晴らそうとの狙いがあった。


 しかし戦争を知らない若い世代が試合を通じて本当に認め合い、その世代が徐々に中枢を担い始めると表向きの意図が上手く機能して、結果友好の架け橋となったのは皮肉なもので。

 それでも開始当初は一進一退の成績が続いていた親善試合も、ここ数年は敗北が続き一一勝一八敗と王国側が大きく負け越している。

 今では友好な関係を築いているとはいえ、こうも差が開けば威信に関わると王国の代表には年々プレッシャーが掛かり続けているのだが――


「もうすぐ到着さね。この中で帝国に行ったことある子は手を上げてー」


 王国を出発して丸一日の長い船旅の疲れも見せず、船内のサロンから帝国領が見えてきたところでラタニは観光気分で問いかけを。


 ちなみに同じ中央大陸にある帝国へ向かうのに海路を利用するのは効率重視が故。

 陸路を利用すれば馬車で数日かかるも、風が主な動力となる船なら精霊術や精霊器で風を起こし続ければ移動速度が格段に上がる。

 また今回の大使代表を勤めるラタニを含めた王国の外交官、代表メンバーに護衛、滞在中の従者を含めて四〇名。レイドやエレノアといった王族が居てもこの人数なのはそれだけ相手を信頼している証で、それでも十日滞在分の荷物も加わると大所帯。馬車よりも船の方が利便性が高いとの理由で海路を利用していた。


「隊長……真面目に聞いてください」


 それはさておき到着前の最終ミーティング中に代表のラタニが観光気分。これには小隊員で補佐を務めるカナリアが注意するは当然で。


「まあまあ、今さら段取り確認せんでもこの子らなら問題ないっしょ。それよりもせっかくの他国だ、楽しまないとね~」

「隊長殿の言う通りだ。外交問題にならん程度に自粛してくれるなら羽目を外すくらいがちょうど良いだろ」

「モーエンさんまで……はぁ」


 同じ補佐を務めるモーエンが同調するのでカナリアは大きなため息ひとつ。


「てなわけでもう一度、帝国行ったことある子は手を上げて~。ちなみにあたしは何気に初なんよ」

「俺は仕事で何度かありますよ」


 カナリアの心労も無視、代表メンバーではないがモーエンが楽しげに挙手。


「一度だけですが幼少期に見聞を広める為にお父さまが連れて行ってくれましたわ。ね、フロイス」

「はい。懐かしゅうございます」


 合同訓練からこうしたノリに馴れたのか、他にティエッタとフロイスが挙手を。まあ友好国とはいえ気軽に国外へ出られない王族を除けば他国に旅行へ行けるのは貴族家くらい、更に武の一族ならではな風習だ。

 ただ帝国どころか周辺国を制覇しているアヤトは一応ミーティングに参加しているも居るだけで無視、サロンの隅であやとりを興じていたりする。

 もちろんアヤトからの返答無視も態度もいつものことと誰も気にせずで。


「ティーちゃんとフロちゃんだけか。でも一度ならあたしらと同じで楽しみワクワクだねぇ」

「ええ。ですが観光よりも帝国の強者がどれほどのものか、そちらの方が楽しみワクワクですわ」

「ティエッタくん、楽しみも良いけどボクらは王国の代表だ。注目すべきは帝国の代表、そこを忘れないように」


 カナリアの心労を少しでも軽減すべくレイドが方向修正、カイルも協力するべく話題を上げる。


「だな。負けるつもりは微塵もないが、帝国の代表はかなりの実力と聞く。特に天才精霊術士と噂される皇子は注意すべきだろう」

「もちろんですわ。どれほどの強者か、出来れば手合わせ願いたいところです」

「そちらについては到着後、更なる情報収集を得てからになるので確約は出来ませんが今は今後の予定です」


 二人の協力に感謝しつつカナリアは姿勢を正す。

 両国間で代表メンバーの基本情報をやり取りした後、更なる情報収集に努めたとはいえ選抜戦前から有力候補の情報は出来るだけ隠蔽されるので実際に向き合った方が精霊力の保有量、性格などは細かく知れる。

 加えて学院生の対戦だと実力が拮抗している場合が多い。こうなれば対戦相手との相性が重要。もちろん相手側も同じように情報収集してくると、試合前から戦いは始まっているのだ。

 ただ良い話題が出たのでここで念を押しておくべきと代表メンバーを見回して。


「モーエンさんが注意したように、みなさんは親善試合に出場するだけでなく、帝国貴族と言った重鎮との接触があるのでくれぐれも失礼のないように。また自由時間で帝都を観光する際も王国代表として恥じぬよう振る舞ってください」


 学院生といえど王国代表、何かあれば外交問題になる。

 まあ両国とも代表になる学院生ともなれば弁えられるのでこれまで大きな問題は起きていないが――


「……なぜ俺を見る」


 カナリアの忠告を聞くなり室内全員の視線が向けられ、黙々とあやとりをしながらも注目されていると気づきアヤトから批判が。

 なぜも何もこれまでの態度で一番問題を起こしそうだからで。


「あんたが一番やらかしそうだからっしょ」


 みなの気持ちを代弁してラタニがストレートな物言い。


「テメェに言われたかねぇよ」

「こらこら、ラタニさんを舐めたらいかんよ。初めての帝国に多少テンション上がってるけど大人だからね、必要ならちゃんするし、上辺の敬意も払えるよん」

「だと良いがな。ま、テメェと同じで俺も上辺の敬意くらい払える」

「だと良いけどねぇ」


 しかし不敵なやり取りで心配なのはこの師弟と考えを改め。


「……今さらですが、この二人を同時に帝国の地を踏ませても良かったのでしょうか」

「本当に今さらだな。俺は坊主が加わっていると知った時点で覚悟を決めている」


 とにかく親善試合の結果よりもこの十日間を無事乗り切れるようにと願う間も、船は順調に帝国領へと近づいていた。




私生活で色々あり(主に体調面で(泣))今作の執筆が滞り、本当に不定期更新が続いてますが徐々にペースが戻ってきているので何とか安定して更新できるよう精進しております。

一定量たまれば五章でも連続更新できたらなと思ってますので……なんとか……ですが、とにかく出来るだけ間が開かず楽しんで頂けるよう勤めますので今後ともご贔屓に!


みなさまにお願いと感謝を。

少しでも面白そう、続きが気になると思われたらブックマークへの登録、評価の☆を★へ!

また感想もぜひ!

作者のテンションがめちゃ上がります!

読んでいただき、ありがとうございました! 

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