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宣誓、私達は戦うことを誓います  作者: 無知の無知
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【2話】非マイペースと抜き打ちテスト

夜、自室に戻って机に向かう。

さぁ、勉強だ。勉強、うんやりたくない。でも負けるのは嫌だから頑張る。陽菜乃に宣戦布告したのが定期テストちょうど1か月前。あと1ヶ月、死ぬ寸前まで頑張るしかない。

「さて、まずは…」

定期テストのスタンスに関して、2パターンあると私は思う。自論。1つは定期テストまでコツコツ努力し、本番を迎えるタイプ。もう1つはギリギリまで遊び、ラスト数日に徹夜やらなんやらで一気に追い上げるタイプ。あれ、これ自論じゃなくて一般論かも。

さて、私はどちらでしょうか。普段の授業はそこそこ寝てる、だって眠いんだもん。パターン1に当てはまらず。テスト数日前に徹夜するのも無理、だって眠いんだもん。パターン2に当てはまらず。結論、私はパターン3の中間層、中距離走ポジ。あれって短距離、長距離に比べて一番疲れるらしい。勉強にも当てはまるんだよなぁ、これが。

「まずは、数学かな…。」

1ヶ月集中的に勉強することを考えると、まずは数学、国語、英語を固めるしかない。こいつらはラスト1週間前で太刀打ち出来る代物ではない。だから1ヶ月前の今から始めるしかない。暗記教科?あんなもん3日前でなんとなるって、…メイビー。

「……なんじゃこりゃ。」

そして開いた数学の問題集の1問目からにらめっこ。うん、笑えない。全然授業でやった記憶が無い。解法をまるで覚えてない。なんか、問題集に嘲笑われてる気分。うるさい、笑うな。私の勝ちだぞ。

ただ、幸いなことに私は数学と国語の現代文は嫌いではないし、苦手でもない。さらに言うと、英語と国語の古典に至っては少し得意なぐらいだ。この時点では天下のど阿呆でも1ヶ月後にはマシな人間になっている自信はある。

「で、これは…」

解答と問題を照らし合わせ、少しづつ問題に慣れていく。大丈夫、現状きついところは無い。このペースで進めていけばいいんだ。マイペース、マイペース…



キーンコーンカーンコーン

「ねぇ、お昼ご飯食べよ~。」

「体育館行こうぜ~。」

授業の終わりとともにそろぞれが休息に入る。私は、個人授業続行。英語の教科書を閉じることなく前のページに遡る。

「ひなっち、一緒にお弁当食べない?」

「あ、ひょっとして勉強忙しい感じ?」

いつもの3人が私のことを誘ってくる。それに対して、

「うん、ちょっと定期テストの勉強したいから...。」

優等生でしょ、私。冷たくないよ、テスト終わったら一緒に食べようね。

「そっか、ひなっちとひな、定期テストで戦うもんね。」

「ひなも勉強してるし。」

見ると、陽菜乃も教科書を開いて勉強していた。科目は、どうやら生物らしい。暗記教科から勉強してるんだ、愚策だね。

「これは、邪魔できないな~。」

「どっちが勝つのかな~、楽しみ!」

「私、二人とも応援してるから。」

と言って、私の元を去っていった。二人とも?私だけを応援すればいいのにさ。少々寂しさを抱えつつ教科書に向かう。一人、苦手かも。みんなの輪の中に入りたい。でも、頑張ろ、一ヶ月の辛抱。



そろそろ昼休みも終わる。トイレに行って次の授業に備えよう。う~んと、ガチガチの体を伸ばしトイレに向かうと、向かいから陽菜乃が歩いてきた。どうよ、私はガチガチのガチモードよというドヤ顔を向け通り過ぎようとすると、

「アントシアン、覚えてる?」

聞きなれない単語が。

「え?」

「多分、生物のテストに出るよ。覚えてないだろうから忠告してあげただけ。」

と言って通りすぎていく。

アントシアン...?



家に帰って真っ先に生物の教科書を開く。

「アントシアン...アントシアン...」

教科書の本文の赤線や太文字に紛れてそいつはいた。...確かに、よく狙われると先生が言っていた気もするが...、赤線もマーカーも引いてない。これがテストに出たら間違えていた自信がある。 陽菜乃...、忠告とか言って人を馬鹿にして...。うるさい、私はまだ生物をやってないんだ。覚えてなくても、仕方が無い...


「覚えてないだろうから忠告してあげただけ。」


...うざい、うざいうざい!そうして私は十数分、生物を勉強することにした。数十分して、疲れが回ってきて、数時間経ったあたりで眠気に襲われた...。...数時間?時計を見て衝撃の事実、もう寝る時間じゃん...。数学やってない、今日は古典もやるつもりだったのに...。結局この日は陽菜乃に翻弄され、終わってしまった。マイペース...



次の日、私は意気揚々と学校に登校する。昨日あれだけ生物をやった。どこから聞かれても大丈夫な自信がある。そこで、あえて陽菜乃のところにいく。

「陽菜乃、おはよ。ねぇ、マーグリスって知ってる?」

自信満々に陽菜乃に自分の最大限の知識をひけらかす。

「あ、あれでしょ?五界説とか、細胞内共生説のやつの。」

意図も簡単に答えられてしまった...。まぁ、いいよ。私は英語、国語、数学専門だし、今晩はこいつらと戦うつもりだし...。

「妃奈乃、ヴァルダマーナ、知ってる?」

...また、聞きなれない単語。

「...なにそれ。」

「昨日世界史を見てて、ここ出そうだなって思って。覚えておいたほうがいいんじゃない?」

「...いや、わかってるし...。」

今晩は世界史かぁ、仕方ない、頑張ろ。マイペース?そんなの知らないよ。だってその単語、今回のテスト範囲で出てこないから。


~

~


定期テストまで残り22日、現状の進捗報告、やや遅れ気味。ちょっとまずい、でも落ち着いて、まだ焦る時期じゃないよ。そんなことを思いながら英単語帳を手に取る。妃奈乃との定期テスト勝負、焦ってはいけない、焦ったら負ける、確実に。私の勉強方法の最大の弱点、それは一週間前の焦燥感、三日前の絶望感、当日の禁断症状...。勉強方法というよりメンタルかもしれないね。この時期から焦っていたら体がいくつあっても足りない。一日一体消費を考えれば22体ほどいれば足りるかも知れないけど。

「えっと...」

羅列された外国の文字を無理やり脳内に叩き込む。私は日々国語の現代文、古典、数学、あと英語本文をやっている自負はある。そのためこれら教科の地盤は固まっているだろうと仮定する。よってこの一ヶ月は暗記教科に費やすべきである、そうなのである。あとなんとなく、暗記教科好き。勉強してる感じがして。落ち着くんです。

「で、えっと...、あれ。」

教科書を読み、宙を見上げて叩き込んだ文字列を引っ張り出そうとする。この繰り返し。一度、二度、三度と...。落ち着くだけであってすぐに覚えれるほど器用じゃない、無理やり叩き込んだ単語はひん曲がってどこか行ってしまったみたい。...無理矢理じゃだめかぁ。



英語の授業、先生からいきなりこんな発言が。

「それじゃあ単語テストするぞ。」

えー、マジかよー、何もやってないよー、俺も俺もー、という声があちらこちらから、ちらほらと。この反応から勘のいい人なら何が起こったかわかるはず。そうです、抜き打ちテストです。私たちの英語の先生は定期テストが近くなると数回抜き打ちの単語テストを行う。決まって定期テスト近くのため予想できないことも無いが、具体的な範囲が明示されてないテストは我々生徒には厳しい。...範囲という指示に従って生きてるからね。

「ほら、文句言うなー。問題は20問。10分経ったら回答するぞー。」

配られた問題用紙にざっと目を通す。...いける、大丈夫。ほとんど昨日やったところだ。私は意識したことは無いが、ヤマを張るのが得意らしい。なんとなく先生の狙ってきそうな所が分かる。まぁ、外すときは外すけど。10回に1回大爆死しますけど。今回は…、無事当たり。完答も狙えそう。

「よし、答えを配るから隣と交換して丸つけしろー。」

隣に座っている村岡君と答案を交換する。村岡君は…、16点。うん、まぁ抜き打ちにしては悪くないかな。と、思ったが村岡君は点数を見るやいなや、

「え、16点!?奇跡じゃん!!」

点数の善し悪しって個人差出るよね。ちなみに私は満点。余裕ですよ、余裕。…1問だけ勘で答えてるのは、ご愛嬌。…ちゃんと復習しておこ。丸の横にチェックを入れる。



授業終わり、皆が休み時間を満喫しようとしてる中、私は単語の暗記を続行する。単語帳を持ちながら勉強したいため、お昼ご飯はサンドイッチ。ね、賢いでしょ。

「…ねぇ、陽菜乃。一応聞くけど、さっきの単語テスト、何点?」

机の前に、妃奈乃が立っている。この聞き方は…、そんなに妃奈乃の点数は高くないと見た。妃奈乃は、自信がある時は自分から点数を言うし、喜びが全面に出る。だから今回は…微妙。それでも聞いてくるのは、妃奈乃の偉い所だよね。

「満点。」

そっけなく、事実だけを伝える。…内心は相当うざいドヤ顔してるけど。

「…やっぱりかぁ。」

「ちなみに、妃奈乃は何点?」

そこまで良くないであろう点数を敢えて聞く。性格悪くは無いよ、自分だけ聞いて相手に言わないなんて不平等でしょ?

「…18点。」

18…、意外と高い。

「そっか、結構勉強したんだ。」

「ううん、今日まで単語の暗記を全然してなかった。」

「じゃあ、結構高いじゃん。」

「…いや、負けは負けだから。」

そんな短い会話を終えて、席に戻る妃奈乃。去り際に、

「次は絶対負けないから。」

と言い放って。全然勉強してなくて、18点…。



…昨日よりも集中して、暗記教科に取り掛かる。…舐めてた、妃奈乃のこと。私ならテストの勉強をしてなかったら15点も取れなかったと思う。18点取れたのは…、妃奈乃の日頃の努力か、はたまた才能か…。しかも、

「次は絶対負けないから。」

…その慢心しない精神。いったい、どこまで進んでくのさ、妃奈乃は…。私も、すぐに走らなくては、教科書の次のページを覚える。昨日と違い、脳内から飛んで行った単語はもう一度脳内へ、無理にでも脳内に詰め込み留めておく。逃がすもんか、絶対に。体感集中力は昨日の二倍、体感の体力消耗量は昨日の、四倍…。…どうやら、一日一体消費じゃ済まなそうです。

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