表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

2

「物凄い絶叫が私のところにまで聞こえたけど、何かあったの?」

「あ、創造神様!」

「転生作業も完了させずになにやってるんですか。喧嘩したバカどもを氷結地獄惑星に封印してきたばかりなのに、これ以上揉め事増やされたら過労死しそうなんだけど……」

「あなた死ねないじゃないですか、創造神なんだから」


 へー、ふーん、そー。あれが創造神様ですかー。しったこっちゃねーですがねー。


 生きることにも死ぬことにも転生することにも絶望した私はふて寝をしてました。ここ神様のおわすところ? だから、しったこっちゃねーですよー。

 もういっそのこと私のような不幸な人生を歩む魂は輪廻転生の輪に戻してください。そして今度こそ、普通の胸を、おっぱいを、身長を、そして人並みの幸せを……ぐすん……


 あらゆる気力を失った私に、転生なんてできるはずもありません。呼吸もしたくない、消滅したい、いっそミジンコになっておさかなさんに食べられて養分になってあげたいと思う私の希望は、神様のくせに無視してくれやがってましたのですが、


「大きくなりたい? 成長したい? いいわよ、そのぐらいの設定変更ならやったげる。面白そうだし♪」


 マジですかあぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?


 跳ね起きた私は、まさに神たる慈悲を与えてくださる創造神様へと抱き着きました。

 ああ、ホントにつるペタです! お仲間です! 同じ悩みを抱えた同士です! 一生ついていきますいかせてください!


「あ、あなたねぇ、いくら自堕落でサボり魔で夜更かしばかりして寝坊助で仕事をため込んではお尻叩かれながらでないと消化も出来ない宇宙開闢以来の超絶スーパーギャラクティック駄目野郎ですが創造神様ですよ!? 不敬です、離れなさい!」

「転生ちゃん……私、泣いていいよね?」

「どれだけ泣いてもいいのでさっさと仕事してください」

「しくしく……え~んえ~ん……神様虐待だよぉ……」

「あなたのサボり癖のせいで迷惑被ってる神々が何柱ぐらいいるか知ってます?」

「サー、ガンバッテシゴトシヨッカー」


 この神様、そんなに駄目神様なのか……転生担当の神様に猫のように首根っこを摘ままれて創造神様から引きはがされたのですが……おかしい。創造神様の顔の辺りがぼんやりしてはっきり見て取れません。

 ん~、口元までは判るんですけど、目の辺りが見えているような見えていないような……


「おお、私の顔を多少なりとも見れるなんて、スゴい! 才能ある!」


 よくわからない才能を褒められても、結局よくわかりません。でも嬉しいです。テレ。


「これでも神なのでね。私の尊顔拝謁したら目が潰れるどころか魂が因果応報の彼方まで吹っ飛んじゃうんだけど……あなた、人間の魂なのに私の存在をそこそこ的確に捉えられてる。これホントにスゴいことだから。神様やらない?」

「創造神様、いきなりスカウトはおやめください! 彼女では積み上げた徳も偉業もたりませんし、今期の新規採用枠は既にいっぱいです!」

「とゆーわけで残念だねぇ……ま、機会があればまた会うこともあるでしょ。その時までレッツ徳積み!」


 お百度参りしても体が成長しなかったんで、宗教の勧誘はもう結構です。


「あらら、残念。ま、いいわ。役に立つかどうかはあなた次第の才能だし」


 神様の顔が見える才能……うわ、役に立たなさそう。


「正直なのは良いことだ! さてさて、それじゃあなたには転生前に成長を促す加護を与えてあげる。その前にステータスを確認させてね♪」


 そう言うと、創造神様の周囲にいくつもの四角い枠が表れました。ゲームはよくやってましたしライトノベルの転生モノも読んでいたので解ります。あれに私のステータスが表示されているんですね!

 ただまあ、幼児体形で手足も短く細かった私の運動神経は年齢に比してとても最悪でした。最終学歴が小卒だから頭の良さもそれほど……

 きっと散々な数値が表示されている自信があります。泣きそうです。


 そのうち創造神様も「ぷっ!」と噴き出すのではないかと思っていたのですが、


「なにこれ? あなた、地球の神に何されたの!?」


 突然驚きの声を上げ、その影響を受けた空間が音を立てて軋みました。……え、空間が軋む? なにその超常現象!?


「驚いてないで私の問いに応えなさい! あなたが暮らしていた前世で地球の神に……いえ、これはアイツの権能を越えているわ。こんなに複雑なパスの設定ができるならとっくに昇神させてるし……まさか異神があの世界に紛れ込んでいた!?」

「育美さんから流出していた魂魄エネルギーの流入先を特定しました。ただちに殲滅部隊として天使三個大隊を編成します!」


 なにやら物騒な提案がされて神様二柱と私しかいないこの場が騒然としかけます。……ですが、


「………それじゃ間に合いそうにないから私がやるわ。ほいっと」


 しばし思案した創造神様は、提案を却下する代わりに右の手の平をグッと握りこみました。

 ……圧縮される手の平の中に、何か一瞬だけ別のモノが見えてこの世のモノとは思えない絶叫が聞こえたような気がしたけど気にしないでおきます。神様のすることですし。てか創造神様パワーってすごい!


 そうやってあえてノーコメントを選択した私を見て創造神様が微笑んだのが少し怖かったのですが……彼女が手を開くと、そこには青い宝石が一つ転がっていました。


「これにて一件落着」


 え、もう!? さすが神様。事態が呑み込めないうちに全て終わっちゃいました。


「奪われていたリソースに関しては地球の神に補填させましょう。気づかなかったペナルティーとして」

「すぐに通達します。……完了しました」

「よろしい。有能な配下神がいると私も楽だわ~」


 でも創造神様も自分の仕事はしましょうね。


「んでもって育美、あなたはラッキーよ♪ 今ここに35774人から吸い上げられて返さなくてもよくなったリソースがあります。これをあなたに使ってあげるから、どんなチートな能力でも創造してあげるわよ♪」


 おっぱいください!


「………神を驚かす即決ね。それでいいの? 今ならこのまま神様になることも出来るんだけど?」


 おっぱいがいいんです!

 でも同性愛者ではありません!

 他人のおっぱいより、私自身におっぱいを!

 おっぱいカムヒアァァァ!!!


「そ、そこまで苦悩していたのね……いいわ。その願い、魂の嘆き、私が救ってあげましょう!」


 どこからか取り出したハンカチで目元――らしき部分――を拭った創造神様は、周囲の表示枠から一枚を選んで私の顔の前へと飛ばしてきました。

 そこには私の筋力とか体力とか知力とかが全て数字化されています。他にも様々な表記があって……バージン? ほっといて。こんな表記、個人情報の漏洩過ぎる!!!


 そんな高いのか低いのかわからない数値や項目が事細かくずらっと並んでいる表示枠。見ていても意味が分からないのがほとんどなので、ざっと視線を滑らせ、文字表記された項目を読み込んでいたのですが、とある一点に視線が釘付けにされてしまいます。


 なんですかこれ。「ポテンシャル:発育不良(絶大)」って……

 もしかして、私の体がどこもかしこも大きくならなかったのって、これが原因ですか!?


「もしかしなくても、まさしくそれが原因。いやー、最悪な呪いだね。育美の場合は成長に必要なリソースを根こそぎ奪われてたから、今回死ななくても長くは生きられなかったでしょうね」


 ………その原因になった神様、殴りに行っていいですか? あと釘とバットを。


「釘バット作るの? そんなんじゃ神を殺せは―――」


 いえ、殴り倒した後に手足を打ち付けてから眼球に……!


「恐い恐い恐い! そういうマッドなのはやめて!……どっちにしても、リソースを搾りつくして干からびさせてから消滅させたから、復讐は無理!」


 おのれ……おのれ……くちおしやぁぁぁ………!

 私の人生を、私のおっぱいをくすね取った神様うらめしやぁあああああああああああ!!!


「落ち着きなさいって。そんなに憎悪パワーまき散らしてたらダークサイドに堕ちちゃうから」


 だってさぁ、だってさぁ……

 私のこの体のせいで父にも母にも迷惑かけっぱなしだったから、申し訳なくて……やっぱり万発殴りたい!


「諦めれ。ともかく、こうしてヤツから奪いつくしたリソースを用いればちょちょいのちょいと」


 あ、「ポテンシャル:発育不良(絶大)」が「ポテンシャル:発育促進(絶大)」に!?


「スゴいでしょ。これぞ神の御業というものよ!」


 これで……これで私のオッパイ、大きくなるんですね!?


「もちろん! まずは土台の体の方が成長しなくちゃいけないけどね。しかも神様パワーで育美の理想の大きさに育っていくから期待しなさい!」


 私、あなたに一生ついていきます!


「やったね信者ゲットだよ!」

「創造神様、表に直接出ないから信仰されてませんもんね」

「いつか私に時代が追いつくのを待ってるからいいの!」


 じゃあ私が貴女の事を教え広めます。おっぱいの神様として!!!


「それはやだなぁ……さてと、、他の恩恵もちゃちゃっと決めないとね。基本的な≪言語理解≫や≪基礎魔法≫だけじゃ面白くないから、ついでに余ったリソースで≪武芸才能(特大)≫≪魔法才能(特大)≫≪五大属性≫≪成長限界突破≫≪経験値倍増≫、あとこれもそれもあれもこれも!」


 おおおおおおう、なんか頭がガンガンしてるんですけどどどどどど!?!?!?


「それが転生の苦しみってやつね!……あ、≪創造神の祝福≫も付いちゃった。ここまでやったら当然だけど……ま、いっかぁ♪」


 凄いチート能力が次々と追加されてる気がするんですけどいいのかなーと思ってたら、転生担当の神様が割って入ってきた。


「育美さん、全然よくないです! 転生するだけでも結構特例なのに、創造神様の御手によるこんな大盤振る舞いなんて……!」

「いいのいいの。まだリソースが余ってるし、気にしたら負けだ! 宵越しのリソースなんて使い切ってなんぼよ! あとは≪幸運≫≪健康≫≪長寿≫……さすがに神一柱分のリソースも含まれてるから使い切れないや。後はあげるから好きにして♪」

「あああああっ!?」


 転生担当の神様がスゴい顔をして驚いている間に、創造神様の放り投げた青い石が私の手の平へ飛び込んできた。

 どこまでも澄んだ青空のような色の石から視線が吸い寄せられていると、いつしか石は空気に溶けるかのようにして消えてしまいました。……どこいった? ま、いっか。


「はい、これで設定完了っと。いやー、なかなかどうして、人の中身をグチャグチャに弄り回すのって楽しいねぇ♪ こういうのもたまにはありだね!」

「ありじゃありません! どうするんですか、本当に育美さんを転生させて大丈夫なんですか!? 隕石召喚して人が住めない環境に激変させるとかありませんよね!?」

「そーなっても別にいーんじゃない?」

「よくなぁぁぁぁぁぁぁぁい! 飲み会の席であんたは日までいーねーって愚痴られる身にもなってください!!!」

「あとは管理神のお仕事だし、何も世界を救えとかってわけじゃないんだし」

「うあああああ! いつも全宇宙規模の管理やってるから細かい所が大雑把過ぎませんか!? あと管理の手を休めちゃったから世界各地で異常気象とか戦争とかがぁぁぁ!」

「というわけで育美くん、私は忙しいのでこれでおさらばするよ。あなたに素晴らしい二度目の人生が訪れんことを祈っているよ。そして、もう一度キミと合えることを心待ちにしているから♪」


 は、はい! なにからなにまで、よくわかりませんでしたけど、ありがとうございました!?


「あ、そうそう。キミのステータスにこっそり≪性欲増進≫とか≪性魔術≫の才能とかも追加しといたから、目覚めたら大いに楽しんでね。産めよ増やせよハッスルハッスル♪ んじゃ!」


 私のお礼を聞いて満足そうに頷いた創造神様が、消える寸前に爆弾発言を残していきましたよ!?

 ≪性欲増進≫に≪性魔術≫……名前を聞いただけでちょっぴりドキドキします。スゴく迷惑ですよね。私まだ処女なのに……ドキドキ……

 でも成長して胸が大きくなったら、私もいつか男の人と甘いひと時を……生きてる内に、エッチな少女漫画とかにも手を出しておけばよかったかも……


 創造神様のありがた迷惑なおせっかいのせいでこれからの私に恍惚の日々が待ち受けているのかと考えると、胸の高鳴りが収まらず、顔が真っ赤になるほど熱を帯びてしまいました。

 すると、私の体から不意に淡い光が立ち上り始めました。なにこれ?


「あー!? まだ説明終えてないのに勝手に転生シークエンスをスタートするとか、あの自己中神はぁあああ!」 


 転生担当の神様が叫んでいる間にも光はますます強くなっていきます。

 遂に私の視界全てが光に塗りつぶされてしまいましたが……放っといていいの?


「転移先の設定、所持品、環境対応チェック……全部間に合わないぃいいいいい!」


 え、なんかダメっぽい!?

 ちょっと私どうなるんですか!? どこかに緊急停止スイッチとかないの!?


 焦りがうつってしまってワタワタし始めた私に、転生担当の神様が叫ぶように語りかけてきます。


「育美さん! 転生した直後のあなたのレベルは1ですから魔物に襲われないように気を付けてください! ≪幸運≫があるから初見殺しに遭わないと―思い――が、そ―でも―――」


 徐々に光が圧力を帯び、転生担当の神様の声が聞こえづらくなってきました。

 私からも話しかけてはいるのですが、こちらの声はまるで届いていないようです。

 そうこうしている内に、まるでエレベーターで昇りながら降りているかのような全周囲からの圧迫感を感じ始めました。……どうもこれ、転生開始のようです。


「あとあなた―成長には二通り―方法があり―――――魔物を倒――リソースを吸収―――法と、もう一つは――――――」


 そこ大事なのに聞こえません!

 ごはんをたくさん食べて生活してれば成長するんじゃないんですか!?

 魔物を倒すとか私には無理! 転生の神様、教えて、もう一つの方法プリーズ!




 聞かなければいけない事がまだまだたくさんありました。

 準備も色々していただけるようだったのですが、全部すっ飛ばされました。

 それでもたくさんチートスキルを貰ったんですから、なんとかします。

 全ては私のおっぱいの為に!









 これは私が見目麗しき巨乳美女に成長し、幸せを掴む物語。

 そう……私が私のおっぱいの大きくするために日夜戦い続ける異世界生活が、こうして幕開いたのです!


----------------------------------------------------------------


名前:大成育美

レベル:1

種族:人間

ステータス:とても貧弱

身長:114センチ

カップ:AAAAA

ポテンシャル:発育促進(絶大)


【スキル】

 なし


【神の恩寵】

 ≪言語理解≫

 ≪基礎魔法≫

 ≪武芸才能(特大)≫(未開化)

 ≪魔法才能(特大)≫(未開化)

 ≪五大属性適応≫(未開化)

 ≪成長限界突破≫(未開化)

 ≪経験値三倍増≫

 ≪鑑定(特殊)≫

 ≪幸運≫

 ≪男運≫(未開化)

 ≪女運≫(未開化)

 ≪黄金律≫(未開化)

 ≪健康≫

 ≪状態異常無効≫(未開化)

 ≪不老≫(未開化)

 ≪長寿≫(未開化)

 ≪不死≫(未開化)

 ≪性欲増進≫(未開化)

 ≪性魔術≫(未開化)

 ≪神々との縁≫

 ≪創造神の祝福≫

 ≪????≫(未開化)


【固有才能】

 ≪仙姿玉質≫

 ≪????≫(未開化)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ