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39、シルヴィアとの決闘②

「どう? わたしのステータスは」

「ああ、すごいな……」


【名 前】 シルヴィア・ゴーン

【性 別】 女

【年 齢】 17

【職 業】 剣聖 賢者

【体 力】 1020

【魔 力】 1100

【物 攻】 1090

【魔 攻】 1250

【物 防】 1050

【魔 防】 1090

【スキル】 複数魔法付与剣技LV110 炎・水・雷・風・土・光・闇、全属性魔法LV110 魔法融合LV110 肉体強化魔法LV110 時間魔法LV110  精神汚染魔法LV110 回復魔法LV110 視認性調節魔法LV110 カウンターLV110 盗むLV110


 シルヴィアのステータス。

 職業欄が「剣聖」だけではなく……なんと「賢者」までもが追加されている。

 これは、おそらく体力や魔力などの基礎ステータスがすべて千を超えているのと、スキルレベルもすべて百以上になっているからだろう。


 しかし、真に驚くべきはその獲得したスキルの数だった。

 俺はそのほとんどが耐性に関するものだが、シルヴィアの場合は俺の知らないスキルも数多く習得していた。しかもそのすべてがレベル百十でそろっている。


 これはとんでもないことだった。

 すべては、あのナインさんの指導のおかげか……。

 あの人の高笑いしている姿が目に浮かんでくる。


 俺は今まで一度もシルヴィアのステータスを見たことがなかった。だが、ここまで成長していたとは……。気を引き締めていかないと。


「いくつかのステータスは、俺の方が上だ。でも、俺の持っていないスキル……それを使われたら、ちょっと勝てないかもしれないな」

「ふふっ。アレックスのくせに。でも、今のあなたにそう思ってもらえて、嬉しいわ。じゃあさっそく始めましょう!」


 そう言うと、シルヴィアはさっそく自らにヘイストをかけ、視認性ダウンの魔法をかけた。

 俺もヘイストをかけるが、視認性調節魔法は使えないので、シルヴィアの姿を一気に見失ってしまう。


「ふふ。どうしたの? こっちよ?」

「はっ……」


 声がした方向から剣が迫ってくる。

 俺はとっさに腰の剣を抜いて、それを受けた。


 ギンッと、甲高い金属音が鳴る。


不可視(インビジブル)……よ。これも、攻撃相手に一度でも使われたら、あなたには耐性がついてしまうのよね? だってアレックスは……ジットガマン家の人間だもの! シャイン・トルネード・スラッシュ!」

「ぐっ!」


 光魔法と風魔法、その両方を付与させた剣技が放たれる。

 俺はなんとかそれを受け流し、剣を構え直した。


 シルヴィアは躊躇なく強力な剣技を放ってくる。

 一方の俺は……決闘を申し込んだのにも関わらず、まだどうにもためらっているところがあった。

 しかし、今日のダンジョンクエストで回復魔法のレベルが大幅に上がったことを思い出す。


 そうだ。

 もしシルヴィアにダメージを負わせてしまっても、すぐ回復すれば問題ない。

 余計な心配だったと思い直し、すぐにまたシルヴィアがいるであろう方角に向き直った。


「俺からも行くぞッ、シルヴィア!」

「ええ。いつでもいいわっ!」

「フレイム・サンダー・スラッシュ!」

「くうっ……!」


 うっすらと見え始めたシルヴィアの姿に向けて、より強力な魔法付与剣技を放つ。

 普通に当たるかと思ったが、目の前の相手は一瞬で分裂し、その分裂した方のシルヴィアが技の犠牲となった。


「ふふっ。どこを狙っているの?」


 元に戻ったシルヴィアが笑顔で俺に話しかけてくる。


「なっ……い、今の技は!?」

分身(ドッペルゲンガー)よ。時間魔法と視認性調節魔法を融合させた魔法なの。こういうのは、あなたにはまだできないわよね?」

「……そうだな」

「アレックスがまだ獲得していない技、魔法。それがわたしの今のアドバンテージ。これがあるうちに片をつけるわっ! ダーク・グラビティ・スラッシュ!」


 闇をまとった剣に、俺の体が吸い寄せられていく。

 グラビティ……これはたしか重力を操る土魔法だ。ナインさんからは、ひととおり魔法の知識を教わっていたが、まだ俺はそのすべてをうまく引き出せないでいた。理論上は『使えるレベル』になっているはずだが、その魔法を実際に見たことがないため、うまくイメージできないのだ。


「あっという間にレベルが上がってしまったことの弊害、だな……」


 だが、逆に一度でもやり方がわかれば、使うことができる。


「俺も行くぞ! ダーク・グラビティ・スラッシュ!」


 見よう見まねで同じ技を放ってみる。

 すると、シルヴィアがぐんぐんこちらに引き寄せられてきた。

 シルヴィアがやるよりも、俺の力の方が強いらしい。必死に足で踏ん張っているが、シルヴィアは徐々にあらがえなくなってきている。


 俺はその光景にぞくぞくきた。

 

 ん? ぞくぞく?

 なんだかこの感覚、前にも味わったような気がする……。

 どこでだっけ。


「くっ……! ああっ!」


 踏ん張り切れなくて、ついに体勢を崩したシルヴィアが、とある魔法を唱える。


「テレポーテーション!」


 すると、今までいた場所からシルヴィアが消え失せていた。

 ハッとして見回すと、すぐ後ろに気配を感じる。


「なっ!」

「フローズン・スリープ・スラッシュ‼」


 大きく振りかぶったシルヴィアの剣に、みるみる氷がまとわりついていった。

シルヴィアとの戦いは次回で終わります。

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