表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/43

38、シルヴィアとの決闘①

 ナインさんのところからの帰りだろうか。

 シルヴィアは北東にのびる道から、家の方へと向かっていた。


「シルヴィア……」


 俺がギルドに引き返したときには、すでにナインさんやレナさん、シルヴィアの姿はなかった。

 きっとあれから北の森に戻ったのだろう。

 そう思っていた。


 ギルドがもらったあの一千万エーンという報奨金は、それぞれの頑張りに応じてみんなに再分配されていた。

 俺の取り分は百万エーン。一番の功績があったからだそうだが、一番多い額だった。でもナインさんやレナさん、シルヴィアにもきっとそれなりの額が支払われるはずだ。それだけ、みんなそれぞれに活躍していた。


 シルヴィアは、自分の分の報奨金を手にしただろうか?

 ギルドに寄ることなく帰ってきたのかどうか……わからない。

 俺はシルヴィアに直接訊いてみることにした。


「おーい、シルヴィア!」

「ん?」


 振り返ったシルヴィアは、なぜかいつにも増して美人に見えた。

 激しい戦闘があったので、髪とか服とかまだボロボロなのに……なぜか俺にはそれがとても魅力的に見えて、どきりとした。


 シルヴィアは、突然俺が現れたので驚いている。


「あ、アレックス!? も、もう村に帰ってたのね!」

「うん。シルヴィアこそ……。今まで、北の森に行ってたのか?」

「ええ、そうよ。ナインさんがもう一度修行するぞーって言いだしてね。レナさんと一緒に、だいぶしごかれたわ。ダンジョンであまり活躍できなかったのが悔しかったみたい」

「ああ……なるほど……」


 悔しがるナインさんの姿がありありと想像できる。

 俺は思わず苦笑した。


「ああ、そうだ。シルヴィア、あれからもう一度ギルドに寄った? 役所で直談判したら意外とたくさん報奨金がもらえてさ……」

「ええ。寄ったわ。わたしの分の報奨金ももらえた。ありがとう、アレックス」

「いや……みんなの力があったから、俺もあのラミアを倒せたんだし。なんにせよみんな無事で、討伐できて良かったよ」


 シルヴィアがまた寂しげに笑っている。

 やはり、ダンジョンマスターを自分が倒したかったんだろうか。ダンジョンコアも、自分が壊したかったんじゃないだろうか。

 そうじゃなきゃ、冒険者じゃ……ないもんな……。


「シルヴィア!」


 俺はもう一度、シルヴィアを強く呼び止めた。


「なに?」


 すでに歩き出していたシルヴィアは、長い金髪を風になびかせて振り返る。

 俺は……今の彼女に、こういうことしか言えなかった。


「シルヴィア。俺と……」

「え?」

「俺と……」

「……?」

「けっ、けっ……」


 ダメだ。言うのが怖い。でも、言わなきゃ。


「けっ……決闘してくれッッ‼」

「決闘!?」


 そう。決闘だ。

 一対一で戦ってほしい。そうして、今の俺たちの差を比べたい。

 誰かの助けなしに。

 純粋に、自分たちだけの力を――。


 シルヴィアは呆気にとられたような表情で俺を見ていた。

 しばらくそうしていたが、ようやく我に返る。


「わかった……わ。わたしも、前からそうしてみたいと思ってたの」


 シルヴィアは場所を移しましょう、と言って、俺とともに村はずれの丘へと移動した。


 見渡す限り一面の草原。

 村の畑や家々は、かなり遠くに存在している。


「ここならいいわ。結界の外だから……。モンスターが途中で邪魔してくるかもしれないけどね」

「ああ。でも……それも織り込み済みで、戦おう」

「ええ。やりましょう」


 シルヴィアはそう言うと腰の剣を抜いて、俺に向かって構えてきた。

 そして「ステータス・オープン!」と叫ぶ。


「まずは、今のわたしのステータスを見てもらいたいわ。そして、これが無謀な戦いではないことを理解して!」


 半透明の窓が目の前に浮かびあがる。

 その中に書かれていた数値を見て、俺は……決闘を申し込んだのは間違いじゃなかったと思った。

物語はあと数話で最終回となります。

面白かった、と少しでも思っていただけましたら、どうか感想・評価などにてフィードバックしてくださいませ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ