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3、俺のステータス

「ステータスオープン!」


 魔法が使える護衛の人が、俺に向かって呪文を唱える。

 すると、目の前に四角い半透明の窓が出現し、俺の各数値が表示された。


【名 前】 アレックス・ジットガマン

【性 別】 男

【年 齢】 17

【職 業】 農民 剣士

【体 力】 950

【魔 力】 945

【物 攻】 510

【魔 攻】 500

【物 防】 500

【魔 防】 510

【スキル】 物理攻撃耐性LV99 炎・水・雷・風・土・光・闇、各魔法耐性LV99 毒耐性LV99 精神汚染耐性LV99 時間魔法耐性LV99


「なんだこれは……!」

「すげえ……」


 護衛の人たちが、口々に驚きの声を上げている。

 俺はそれぞれの数値の意味がわからず、村の人たちとともに尋ねた。


「あのう、これ、何がすごいんですか?」

「は? 自分のなのに見てわからねえのか?」

「はい……」

「いいか、冒険者でもない普通の人間はな、基本それぞれの数値が子供だと100、大人は200、ちょっと腕っぷしのあるやつは300ぐらいになるんだよ。でもお前は、体力・魔力共に900を超えてて、しかも攻撃・防御どっちの威力もSランク冒険者並みなんだ。あと、特に異常なのがこのスキルレベルだな。耐性のオンパレードに加え、全部上限値に達してるって……いったいどうなってんだよ?」


 勢いよくまくしたてられて、俺は思わず半歩下がってしまった。


「そ、そんなのこっちが聞きたいですよ。あと、このスキルレベルってのは99までしかないもんなんですか?」

「当たり前だ。上限を突破できるのは、達人レベルの奴だけだよ。そういうやつが賢者とか剣聖になれるんだ。お前は冒険者どころか、ただの一般人だろ? ホント、誰に教わったらこうなるんだ」

「いやまあ、それは……」


 本当のことを言うべきか迷ったけど、村の人たちが勝手にシルヴィアのことを話しはじめてしまったので、結局バレてしまった。


「いやあ、さっすがシルヴィアちゃんだ!」

「だな。最近はかなり強くなって、冒険者稼業の方も忙しくなったって聞いてたけど、まさかアレックスのこともこんなに鍛えてくれてたなんてなあ」

「まったくだ。これでウチの村も安泰だな。いつ強い魔物がやってきても返り討ちにしてもらえる!」


 わいわいと盛り上がっているのを、護衛のリーダーさんは神妙な面持ちで聞いている。


「シルヴィア……? まさか、お前の幼馴染っていうのは……」

「えっと……はい、そうです。シルヴィア・ゴーン、が僕の幼馴染です。その子から特訓を受けてました」

「なるほど。あいつか。最近Sランクになったって噂の……。納得した。それならお前のステータスがああなってるのも、うなずける」

「そうですか」

「ただ……」

「?」


 リーダーさんがなぜか言いよどんだので、僕は首をかしげた。


「ただ? なんですか?」

「ただ、やつに指導してもらったにしては、少々成長しすぎてる気もするな。お前は彼女と同レベル、いや、もしかするとそれ以上の力に……。それが不思議といえば不思議だ」

「ええっ!」


 俺が? シルヴィアと同レベル……? それか彼女以上に強くなってる、だって?

 にわかには信じられなかった。でも、リーダーさんが嘘を言っているようには見えない。


「まあいい。とにかく今は先を急ごう。お前たちは、王都でその野菜を売らなきゃいけないんだろ?」

「は、はい」

「それが終わったら、ちょっと俺に付き合ってくれねえか」

「えっ?」

「今回の襲撃のことをギルド長に報告すんだ。そこで、ついでにお前のことも紹介したい」

「え、俺をギルド長にですか? なんで……」

「ああ。嫌なら断ってくれて構わない。だが、近々凶悪なモンスターの討伐任務(クエスト)があってな。それに対応できるレベルの冒険者が今、少ないんだ。できたらお前に手伝ってもらいたい、と思ってるんだが……」

「俺、ですか」


 なんという申し出だろう。

 しかし、もしシルヴィアがこのことを知ったらどうなるか……。「わたしが知らないところで何勝手に話を進めているのよ!」なんて怒り狂うのが目に見えている。俺は首をふった。


「あの、せっかくですが俺は……」

「あー、まあそうだよな。お前、さっきの戦闘が初めてだったんだもんな。だったらホント、無理しないでいいから。でも、報酬はたんまりもらえるんだぜ?」

「ほ、報酬?」


 穏便に断ろうと思ったけれど、お金の話が出て、つい耳を傾けてしまった。

 うちはとても貧乏だったのだ。


「た、たんまりって……どのくらいですか」

「そうだなあ、たしか前金が五十万エーン。後金が八十万エーンだったかな」

「えっ! 両方合わせると、百三十万エーン!」

「馬鹿っ、声が大きい!」

「す、すいません……」

「とにかく。気になるんなら、野菜を売った後で王都の冒険者ギルドへ来い。わかったな?」

「はい……」


 こうして、俺たちは一路王都へと向かったのだった。

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