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28、ダンジョンの出現

 俺はヘイストを使用したおかげで、過去最速で王都へと到着した。

 さっそく王宮へ出向き、各種の申請ができる建物に入る。


 役人にうちの村の現状を伝えると、すぐに城の魔術師たちに来てもらえることになった。

 けれど、不穏な話を聞く。


「これで七件目だな……。いったい全体どうなってるんだ?」

「えっ、七件目って、うちの村以外でもこういうことがあったんですか?」


 俺は驚いて尋ねた。


「ああ。しかも、すべて現れたのはスケルトンなんだ。主に王都から北西の方角の村々が襲われてる」

「そんな……どうして」

「今、王立騎士団が調査に向かっている」


 やはり、なにかただならぬことが起こってるらしい。

 しばらくするとガチャガチャと鎧を身に着けた男たちがやってきた。


「大変だ。すぐに増援を!」

「どうした」

「北の森のはずれにダンジョンが出現していた。しかもスタンピードが起こってる」

「何っ?」


 スタンピード。それはモンスターが一時的に大量に湧く現象だ。

 原因は「魔王が人間界にモンスターたちを送り込んでいるから」らしいが、今回はダンジョンを作り出してそこからモンスターたちをあふれさせているようだ。


 北の森――。

 そこには賢者のナインさんから修行をつけてもらっているシルヴィアがいる。


「……」


 大変だ。

 このままでは、うちの村もまたモンスターに襲われてしまうかもしれない。


 俺は急いで村に戻ろうとした。

 しかし、大通りを走っていると、ちょうどギルド前で声をかけられる。


「あっ、アレックス! アレックスじゃないか!?」

「アレックス君!」

「リーダーさん! ギルド長!?」


 彼らだけではなく、他にも多くの冒険者たちがギルド前に集まっていた。


「どうしたんですか? こんなにたくさん……大規模なクエストでもあるんですか?」

「知らないのか? 今、北や西の村々がモンスターたちに襲われてるんだよ。俺たちは王都から依頼されて、これからそこの警護に行くんだ」

「それは……知ってます。実はうちの村も今日襲われたんですよ」

「なんだと?」

「村の結界が壊れてしまって……今王宮に修理の申請に行ってたところだったんです」

「そうだったのか。そりゃあ大変だったな……」


 リーダーさんはひどく心配そうに言ってくれた。

 俺は王宮で耳にしたことを話す。


「実は……(中略)……ということがあったらしくて。すでに騎士団の増援が要請されてました」

「なんということだ。これこそ、私たちの出番じゃあないか!」


 ギルド長のアシュリーさんは赤い髪を振り乱し、こぶしを高くつき上げる。

 そして、俺の話した情報から、冒険者たちを瞬時に振り分けはじめた。

 スケルトンに対抗するため、村には光魔法を得意とする冒険者たちが派遣されることとなった。


 アシュリーさんたちベテラン勢は、そろってダンジョンへ向かう。騎士団の加勢をするのだ。


「いずれはこの王都へもモンスターたちが押し寄せてくるだろう。その前に、大元のダンジョンを破壊するっ!」


 ダンジョンを破壊?

 そんなことができるのかと思ったが、アシュリーさん自慢の黒い大剣が掲げられると、オオーッと鬨の声があがった。

 そして、ぞろぞろと大移動がはじまる。


「アレックス君、君も一緒に来ないか?」

「え、俺も、ですか?」


 アシュリーさんが近寄ってきて、何気なくささやいてくる。


「ああ。君もぜひ参加するといい。いい勉強になるぞ!」


 アシュリーさんの誘いに、俺は一瞬躊躇する。

 できれば村に戻って、村の方を守りたいという気持ちがあった。でも、シルヴィアのことも気になる。北の森は……今どうなっているのだろう。


 俺の村にはギルドの冒険者たちが派遣されるようだし、案外大丈夫かもしれない。

 よし。


「わかりました。俺も行きます!」


 うまく立ち回れるか自信はなかったが、現地の様子を見ておきたいと思った。

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