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27、襲撃された村②

 グレッグ神父はつけていた白手袋を外すと、スケルトンたちがいる村の広場へと向かった。

 俺はその背にあわてて声をかける。


「あ、あの! やっぱり俺も行きます。どうして俺じゃ倒せなかったのか、知りたいんです!」


 神父は振り返ると、冷静かつ穏やかな口調で言った。


「他の場所にもモンスターが出現しているかもしれません。あなたには、この教会を守っていてほしいんです」

「でも!」

「……仕方がないですね。わかりました。少し待っていてください」


 グレッグ神父は引き返すと、教会の中にいる村人たちに一時間ほど外に出ないよう言い含め、閉じた扉に向かって祈りを捧げはじめた。


「神よ、この者らの家を悪しき者どもから守り給え……プロテクト」


 手をかざすと、扉がわずかに発光する。

 なにかしらの結界が施されたようだ。


「行きましょう」

「はい!」


 俺はグレッグ神父に付き従って、村の広場へと向かった。

 そこには、ようやく元の姿に戻りつつあるスケルトンたちがいた。グレッグ神父はまた祈りはじめる。


「神よ、この悪しき者たちに癒しを。そして永遠の眠りを与え給え……ホーリーブレス」


 神父の手がかざされると、スケルトンたちは順番に光に包まれ、そして塵になっていった。


「す、すごい……!」

「これは神聖魔法です。神聖魔法というのは、一時的に神の御力を代行する魔法のことです。スケルトンなどのアンデッドモンスターは、この神聖魔法を使える我々か、光魔法を使える一部の冒険者でしか倒せないんです」

「そうだったんですか。知らなかったです。光魔法……。俺はまだ回復魔法のヒールぐらいしか使えませんね」

「ふむ……それだと一人で倒すのは難しかったですね。やはり僕に知らせてもらえて良かった」


 とりあえず、辺りにはその五体しかいなかったので、グレッグ神父は広場にいる負傷者たちを順番に癒していった。幸い、亡くなった人はいなかったようだ。


「しかし、どうして突然モンスターが現れたんでしょうね。結界がほころんだんでしょうか。だとしたら早急に国に直してもらわないと……」


 人々をようやく治し終わった神父は、そう言って首をかしげていた。

 俺は疑問に思っていたことを話す。


「あの……神父様。俺はまだ他の魔法も一部しか使えないんですけど……神聖魔法と光魔法ってどう違うんですか? さっきみんなを治した魔法も、光魔法のなかの回復魔法だったんじゃないんですか?」

「ああ、僕の神聖魔法というのはですね、あくまでも神の御力を代行できてるだけのものなんですよ。なので、自身の魔力は微々たる量しか使っていません。一方、回復魔法や補助魔法といった光魔法は、主に使用者の魔力を変換して行われるものです。その力学作用が少し違うんですね」

「む、難しい、です……」

「ははは。まあ、ぼちぼち覚えていけばいいですよ。それより……早くモンスターが現れた原因を探らないといけません。手伝っていただけますか、アレックスさん」

「はい!」


 俺はグレッグ神父とともに、村のあちこちを見て回った。

 他にモンスターはいなかったが、村はずれにある森に異変があった。


「ここですね……」

「え?」

「アレックスさんにはまだわからないかもしれませんが、ここの結界だけ緩んでいます。どうにかしてそれを王都に知らせに行かないと……。でも僕はここにいないといけませんね。またスケルトンたちが現れるかもしれませんから」

「そんな! 神父様は結界が張れるんじゃないんですか? だってさっきも教会に……」

「ああ、僕はモノや人、建物ぐらいの大きさまでは結界を張れるんですが、こう村規模ですともっと複雑な魔法が必要になってくるんです。なので、すみません。そういうことなので、アレックスさんが王都に連絡に行ってもらえますか」

「……はい。わかりました。じゃあなるべく早く戻ってきます」

「頼みましたよ」


 グレッグ神父に任されて、俺は王都へと向かうことにした。

 教会にいた人たちに事情を話し、すべての村人にこのことを知らせておいてくれと頼む。


「補助魔法、ヘイスト!」


 そして、俺は自らに覚えたての魔法をかけ、走り出したのだった。

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