漫才:ノーベル賞
ボケ①「いやあ、ついに取りましたね」
ボケ②「取りましたね」
ツッコミ「はいはいはい、あー、あれね。今テレビでいろんな所でやってるよな」
ボケ①「そう、俺もいつか取るとは思ってたよ」
ボケ②「まあむしろ少し遅かった気はするけどね」
ツッコミ「いろいろあるんでしょ、選考とか。でもまあ取れて良かったよ。お前らがそこまで期待してたのは意外だったけど」
ボケ①「おいおい、日本人の誇りじゃないか、当たり前だろ」
ボケ②「そうそう」
――軽くせーので声を合わせ3人一斉に
ボケ①②『モンドセレクション金賞』
ツッコミ「ノーベル賞」
――3人黙り込み、各々がしばらくうろうろ歩く
ツッコミ「……おい、なんでそこでモンドセレクションなんだよ!?」
――ツッコミ切れ気味に2人に突っ込む
ボケ①「いやだって……」
ボケ②「ほら、お前だって良くテレビでやってるって――」
ツッコミ「CMでね! 俺が言ってるのはニュース! ていうかモンドセレクション金賞取るまでのエピソードとか普通の人は知らんし!」
ボケ①「え……」
ボケ②「マジで……」
――ボケ2人が信じられないような目でツッコミを見る
ツッコミ「お前らの方が信じられんわ! お前達はノーベル賞の話知らないのかよ!?」
ボケ①「そ、そりゃもちろん知ってるよ。な、な、な、な、なあ?」
ボケ②「お、おう!」
――震えながらボケ2人は、それぞれが見当違いの方向を見ながら答える
ツッコミ「いや、全然知らないだろお前ら」
ボケ①「いや知ってるって。ほらあれだろノーベルかがくしょう」
ボケ②「うんうん、まあ俺はどちらかといえばノーベルかな」
ボケ①「そう? 俺はがくしょうかな」
ツッコミ「? お前ら何言ってるの?」
ボケ①②「"ノーベル"か、"がくしょう"」
ツッコミ「"がくしょう"ってなんだよ!? ノーベル化・学・賞! この分じゃ誰が受賞したかも、当然知らないんだろうな……」
ボケ①「いやいやいや、知ってるし。ノーベルジョーク軽くかましただけだから。なあ?」
ボケ②「ああ、ノーベルジョーク。当然知ってるだろ?」
ツッコミ「知るかそんなもん!」
ボケ①「あれ、よしのあきら教授から絶対ウケルって聞いたんだけどな……」
ボケ②「こいつにはちょっと高尚すぎたかな?」
ツッコミ「なんで吉野教授がそんなこと言うんだよ! ていうかその吉野教授がノーベル賞受賞したんだよ!」
ボケ①②「え、あの人が!?」
――ボケ2人大げさに驚き、その後少し考える素振りを見せる
ボケ①「でもあのよしのあきら教授がだぜ?」
ボケ②「ああ、あの還暦過ぎでバイト歴50年の芸人、得意なネタは九九の暗記の良し・ノア吉良教授が……」
ツッコミ「すみません、その人とは完全に違いますし、そんな芸人が地球上に存在していたことすら知りませんでした。あと九九の暗記って普通小学生でするものだよね、ネタにすらならないよね」
――ボケ①②何故かしたり顔でツッコミの肩を両方からそれぞれぽんぽんと叩く
ボケ①「ところでその吉野教授ってなんでノーベル賞取ったの?」
ツッコミ「いやその前に今の行動の意味はなんだよ!? ……はあ、まあいいよ、どうせどうでもいいことだろうし」
――ボケ①②何故かしたり顔で、ツッコミを馬鹿にしたような態度を取る
ツッコミ「いちいちムカつくなお前ら……。リチウムイオン電池の開発で受賞したんだよ」
ボケ①「ああ、アレね、はいはい」
――ボケ①そう言いながら野球のバッターのポーズを取る
ボケ②「へーそうだったんだ。リチウムイオン電池はよく知ってるけど、その人が開発したことまでは知らなかった」
――ボケ②そう言いながら良手を横に大きく広げて片足立ちになる、なお指はスタン・ハンセンのポーズ
ツッコミ「いや、お前らのそのポーズ全然しらんでしょ?」
ボケ①「はあ? リチウムイオン電池ってスマホとかに使われてる充電池のことだろ?」
ボケ②「マンガンやアルカリとかと違って繰り返し充電が出来る画期的な発明だよな」
ツッコミ「そこまで分かっていてなんでそのポーズを取るんだよ!? ていうかボケ②のポーズは何の意味があるかすら不明だよ!?」
ボケ①「いやだって……」
――ボケ①②お互いの顔を見合わせてから、少し間をおいて言う。
ボケ①「良し・ノア吉良教授知らないって言うから」
ボケ②「持ちネタを実際にやりながら話そうかと……」
ツッコミ「未だその芸人の話終わってなかったのかい! もういい、君達とはやってられんわ」
――そう言ってツッコミは締めの挨拶、ボケ2人はそれぞれのポーズを維持したまま微動だにしない
――了――