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ダイエットエッセンス~なぜ脂肪を減らす事に失敗するのか~

作者: おるー

 実に多くの人がダイエットに挑戦し、そして失敗します。

ある人は激やせしたと思ったら激太り。ある人は一瞬の成功体験をその後のリバウンドで叩きつぶされ、自己否定感を持つ。ある人はいつでも痩せられるという妄信を持ったまま体を病み、病院の主治医に痩せないことを責められる。

 このような事は世の中に溢れています。体重を減らす事に成功した人はかなり多いと思われる一方で、継続的に痩せた状態でいられる人はかなり少ないようです。少なくとも、私の身の回りでは。


 最初に断っておきますと、これは小説では無く実用書です。

多くの人が失敗するダイエット(脂肪減量)の失敗理由を明確にし、それを元に理論的に(しかも楽に)体脂肪を減らしていくためのステップを構築し、記載しました。

 体を壊すような内容では無いので、悩んでいる方は是非最後の方に記載している”具体的脂肪減量方法のステップ”を実践してみて下さい。ちなみにですが、私自身この方法を(1被験者として)7年前から実行し、最初の1年で体重を74kgから67kgの適正体重まで落としたうえで、6年以上適正体重を維持できています。というより、普通に生活していても体重が増えないようになっています。同じ悩みを持つ人に届けば良いなぁと思いつつ、文章にしてみました。


 それでは多くの実用書の例にもれず、もったいぶった段落構成で話を進めていきたいと思います。お時間の無い方は最後の章”具体的脂肪減量方法のステップ”からどうぞ。


 お時間のある方は、まずは多くのダイエッターが経験しがちな失敗事例を紹介しながら、何があなたのダイエット、より限定的に言えば脂肪減量を邪魔しているのかについて、話をしていきたいと思います。


失敗事例1.水を飲んでも太る:Aさん、42歳女性、主婦。

 Aさんは内心では痩せて健康になりたいという気持ちを持っていましたが、口をついて出るのは全く逆の言葉でした。「私ねぇ、ダイエットはあきらめてるの。だって水を飲むだけでも太っちゃうから、きっとそういう体質なのよ。」

 彼女は痩せたい気持ちを抱えながら、運動をしても痩せられないことにうんざりしており、こうでも言わないと自分を納得させることができなかったのです。


 彼女は20代のころからややぽっちゃり体型でした。30歳の時に運命の人と出会い、1年間の交際の後結婚し、2人の子供にも恵まれ、幸せな家庭を築きました。交際当初から夫は「人は見た目じゃない。Aの性格が好きだ。」と言ってくれており、その言葉に甘えていたところはありました。しかし、結婚してからもじわじわと体重は増えており、現在はぽっちゃりというよりも正直、肥満体です。最近夫の会社が実施している家族向け健康診断を受けたところ、このまま太ったままでいると心臓病になる可能性があると言われました。血圧が高いので医療機関を受診するように言われ、受診した先の診療所では血圧を下げるお薬をもらいました。しかし、主治医の先生からは「あまり若い時から薬に頼ってはいけない。ダイエットしなさい。このままの体重だといずれお薬だけでは十分健康になれないし、心臓病で倒れる可能性もあるよ。」と言われました。

 まだ子供も幼稚園に入ったばかり。自分が倒れると夫だけでは家庭が回らない。どうにか痩せなければ!と一念発起し、とにかく運動する事にしました。毎日朝の家事を終えたら買い物には片道30分歩くようにしました。しかし、買い物から帰って体重計に乗ると1kgくらい体重が減っているのに、夜寝る前にはその体重が元に戻っているのです。

 間食で食べていたお菓子もやめました。しかし、なぜか体重は減りません。

 そんなことを毎日繰り返すうち、自分は痩せられない体質なんだ。水を飲んでも太る体質なんだと考えるようになりました。その後も相変わらず体重は徐々に増え、情けなさと共にダイエットは失敗してしまいました。


失敗事例1の解説:Aさんは運動量を増やし、お菓子もやめていました。普通に考えるとカロリー消費が増え、カロリー摂取も減っているはずなので痩せるはずでした。

 しかし実は、Aさんは歩いて買い物に行くようになってから、帰宅後に喉が渇くので飲み物を飲む回数が増えていました。しかも、元々冷蔵庫にはお茶のほかにジュース類も入っているのですが、Aさんは自分でも気付かないうちに、ジュースを飲む頻度が少しだけ増えていました。

 また、スナック菓子の小袋1個くらい食べていた間食をやめたのですが、それを始めてから無意識の内に、食事のほうでは米やパンを食べる量が増えたり、それまでよりもカロリーが比較的高めのパンを購入する事が増えていたのです。

 どの変化も自分で気がつかない程度の変化だったのですが、結果的に減らしたはずのカロリーは相殺されており、体重は減らなかったというわけです。


失敗事例2.太り始めたら止まらない:Bさん、21歳男性、製造業

 「B君、ちょっと全体的に大きくなってない!?」3年ぶりに街で出会った同級生のCは3年前のBさんを思い浮かべながら驚嘆の声をあげました。Bさんは決まり悪そうに応えます。「そうなんだよね。今の会社に入社して、現場作業してるとついつい食欲にまかせて食べ過ぎちゃって。」


 実はBさんは学生時代サッカーをしていて、身長170cm、体重62kgという体型でした。それが現在の会社に入社後、体重は3年間で年30kg増加して現在約90kgになっていたのです。工場でそれなりに体を動かすとはいえ、学生時代ほどの運動量はありません。一方で工場勤務の人たちは皆よく食べるので、勧められるままに食事をしていたところ、どんどん体重が増えました。入社半年後、体が重たくなり、服がきつくなってきたと思った時にはすでに10kgほど増えており、しかも食欲は入社時よりも旺盛になっていました。その後も食欲に勝てず、結果的には3年間で30kgもの体重増加に繋がりました。


失敗事例2の解説:人間は食事を摂ると満腹中枢が刺激され、ある程度満たされると食事を終了します。しかし、食べ過ぎが高じて脂肪が一定以上増えると、この満腹中枢が鈍くなり、つまり食欲が止まらなくなっていきます。そうするとさらに食べ過ぎが加速され、結果的に太り続けるという悪循環に入ってしまうのです。

 Bさんは就職するまでサッカーをしていたこともあり、元々摂取カロリーは多かったようです。しかし入社を機に運動量が減少してしまい、溢れたカロリーが脂肪として一気についてしまった結果、食欲が増強されて歯止めが利かなくなってしまったというわけです。

 この状態を解消するにはまず脂肪を減らして食欲を正常化する必要があるのですが、すでに食欲が強化されてしまっているため、ダイエット成功までの道のりは長く険しいものとなることが予想されます。


失敗事例3.極度のリバウンド:Dさん、33歳男性、独身、営業職

 Dさんはつやつやとした笑顔で言いました。「いやぁ、一時期はダイエットして20kgも減らしたんですけどねぇ。その後一気にリバウンドしちゃって・・今はコレですよ。」と自分の腹を摘みあげて上下させています。「学生時代も同じようなことがあって、痩せる事はできるんですけどリバウンドしちゃうんですよねぇ。しかもダイエット前より増えちゃうんで、もうダイエットはやめちゃってます。」


 Dさんは元々中肉中背でしたが、2年前に営業職に配属されてからは接待が増え、営業ストレスで食事量が増えたことにより、最初の1年で体重が65kgから80kgまで増えてしまいました。その時好意を寄せていた女性(Eさん)からも体重を心配されたこともあり、ちょっとカッコよくなりたいという思いから運動とカロリー制限をして半年で60kgまで体重減量に成功しました。

 Eさんともちょっと良い関係になり、有頂天になっていましたが、その後まもなく食欲が止まらなくなりました。

 いつでも減量できるという思いから暴飲暴食してしまった結果一気にリバウンドし、あれよあれよと言う間に90kgになってしまいました。最近ではEさんも呆れ気味です。


失敗事例3の解説:人間は肝臓や脂肪の機能により飢餓への対抗手段をしっかりと持っていますが、一方で急激な脂肪減少に対しては強く反発します。特に食欲亢進や空腹感の増強等の反応は一般的によく見られ、経験がある方も少なくないでしょう。

 このような場合の脳の要求は非常に強いために抗いにくく、しかも事例2で紹介したように太り始めると食欲を抑える機能も弱くなるため、多くの場合ダイエット前よりも脂肪がついてしまうのです。


 さて、如何でしたでしょうか?

これらの失敗事例は、これまでダイエットに挑戦されたことのある方々には心当たりがあるのではないかと思います。

 これらの失敗事例を踏まえ、成功するためのエッセンスを盛り込んだ脂肪減量方法を下に記載しています。

 併せて解説文として失敗事例を踏まえた取り組みのポイントを書いていますので、これらのポイントをしっかりと押さえた取り組みをやってみましょう。1カ月後、きっとあなたは自分自身であなたの脂肪量を管理できているという実感と共に、脂肪減量の成功の兆しを実感できることでしょう。


☆具体的脂肪減量方法

すてっぷ1.カロリー制限(及びカロリー消費)をする。

すてっぷ2.自分自身の行動変化に気づく。

すてっぷ3.行動変化に対して対応を検討する。

すてっぷ4.1ヵ月以上実施して経過を評価する。

すてっぷ5.評価結果に従い継続して習慣化する、もしくはステップ1から繰り返す。


◆すてっぷ1.カロリー制限(及びカロリー消費)をする

・すてっぷ1-1.カロリー制限のポイント

 まず、減量開始のタイミングでの生活パターンを自分のベースパターンとして考えます。ベースパターンを基準として①、②を実施します。

①カロリー含有量の多い食品を減らす(減らす量は無理なく継続できる程度。ただし毎食必ず実施する。可能な限り、日記や手帳に実施した内容をメモする)。失敗事例3を思いだして下さい。調子に乗って摂取カロリーを減らし過ぎると確実にリバウンドしますので、お米1口分、パンに塗るバターを減らす、ジャムを塗るのをやめる等のちょっとしたカロリー制限を心がけましょう。

②同時に、ビタミンB1不足とならないよう、アルコールを避けるもしくはレバーや豚肉、ぬか漬けなどビタミンB1含有量の多い食品をしっかり摂りましょう。

 高カロリー食品である穀類は、ビタミンB1というカロリー代謝に重要なビタミンを多く含んでいます。またこのビタミンB1は現代人に不足しがちな栄養素でもあります。そのため、米や小麦といった穀類を制限することでビタミンB1が不足し、カロリー代謝がうまくいかなくなる危険性があります。アルコールも体内のビタミンB1を減らしてしまいます。

 そこで、ビタミンB1不足を防止するため、アルコールを控えることやビタミンB1を多く含む豚肉やぬか漬け、レバー等を多めに食べるようにする必要があるのです。


・すてっぷ1-2.カロリー消費のポイント

①運動量に対して消費できるカロリーは意外と少ないため、運動により消費を試みる場合は例えばウォーキングなら、1日平均運動量が概ね1時間以上となるよう調整しましょう。

②継続が難しい場合や体重が重く膝への負担が大きい場合は食事によるカロリー制限を優先し、骨への負担が少ない筋肉トレーニングなどを1日平均約10分実施しましょう。


◆すてっぷ2.自分自身の行動変化に気づく【非常に重要】

・すてっぷ2-1. 無意識の行動変化への気づき

 カロリー制限や消費を進めると、間もなく(数日の内に)無意識のカロリー摂取行動とカロリー消費抑制行動パターンが出現することがあります。具体的には以下のような行動変化です。


①カロリー摂取パターンの例:冷蔵庫を開ける回数が増える、買い物に行って食品を買いすぎる(特に米や小麦、砂糖を使用した商品)、いつもお茶やブラックコーヒーを飲んでいる場面でジュースや微糖を選択する事が増える、1回に食べる主食の量が微妙に増える、いつもしないおかわりをする、外食でデザートを追加する、外食でいつもより高カロリーの物を選択する、ちょっとしたお菓子に手が伸びる頻度が増える・・・など

②カロリー消費抑制パターンの例:立っている時間が若干減る(無意識)、運動頻度の減少など


 失敗事例の1を思い出してみましょう。この気づきこそが、体重減量の失敗を避けるために最も重要なエッセンスになります。これらの行動パターンは無意識に現れるため、意識的に自分の行動をモニタリングしておく必要があります。この行動パターンの変化に気がつけるようになることが、体重減量成功の第一歩です。


◆すてっぷ2-2.無意識の行動変化の理由

 失敗事例1で見られた現象ですが、人間の脳は常に体内の脂肪量をモニタリングしていて、脂肪が減少してくると(肥満状態であっても)減った分の脂肪を補うように働きます。カロリー制限等で体内の脂肪が減り始めると、脳がカロリー摂取を増やすよう指令を出し、結果として(無意識の)カロリー摂取行動やカロリー消費を抑える行動等の行動変化が起こります。これらは無意識に起こる変化であるため、自分でこの小さな変化に気が付けないと、失敗事例1のように「ダイエットしているのに痩せない」「水を飲むだけで太る」という結果に繋がります。


◆すてっぷ3.行動変化に対して対応を検討する

 繰り返しますが、カロリー制限ではなく、その後に起こる行動パターンの無意識的な変化に気がつくことが成功への第一歩であり、脂肪減量のエッセンスです。脂肪減量がうまくいかないケースの多くが、この行動変化に気がつかないことに起因していると考えられます。中には行動変化が特に無いまま体重が減っていくケースもあり、そのような場合は特に苦も無く脂肪減量に成功されています。

 行動の変化に気づいたら、その変化にどう対応するかを検討していきます。検討する際のポイントは以下の通りです。

①我慢しすぎないこと:人間含め、動物は基本的に我慢は苦手です。しかし、実際にカロリー摂取の増加につながる行動パターンの変化は起こります。そのため確かに最初は我慢が必要になりますが、成功のポイントは、すぐに気が紛れる程度の我慢で済むように、カロリー制限やカロリー消費を調整することです。

 どういうことかというと、制限・消費したカロリーが多ければ多い程、カロリー摂取を求める脳の指令は強くなりますから、指令が強くなるとしなければならない我慢も強くなり、結果的に失敗に繋がるわけです。そのため、最初は制限・消費するカロリーは1日100kcal以内くらいから始めて、我慢するのに苦労が無い程度の行動変化となるようにすることが、非常に重要なポイントになります。

②飲食以外で数分時間をつぶせる手段が有効:苦もなく気を紛らわせることができる程度の行動変化であれば、数分間別の事に集中することでやり過ごすことができます。

 例えばスマホゲームでも、その時取り組んでいる仕事内容の検討でも、仲の良い友人との会話でも、ちょっとした知能ゲーム、語学勉強、読書などなんでも良いので、手軽に数分の時間をつぶす手段を検討しましょう。

③行動パターンの変化や空腹感に対する認識を変える:行動パターンの変化や取組前よりも少し強めの空腹感などは、脂肪減少のサインでもあります。

 そう考えると、ついお菓子に手が伸びることや、冷蔵庫を開ける頻度が増えることや、空腹感を感じる頻度が増えたということは即ち、体重を減らしたいという願望がまさに叶っている最中とも言えます。

 しかも、これらの変化は1~3カ月程度体重が減った状態で安定すると自然となくなってきます。つまり多少の行動変化や空腹感は未来永劫続くような我慢では無いということです。

 とにかく1日1日、上記のような事に対して意識的に過ごす事が重要です。


◆すてっぷ4.1ヵ月以上実施して経過を評価する

 取り組みの成果は取り組み開始から約1カ月後あたりから徐々に現れますので、結果を焦らないことが重要です。評価ポイントは以下の通り。


①お腹周りの変化があるか(体重1kgあたりで概ね腹囲が1cmくらい減少します)どうか確認しましょう。

②すてっぷ3で検討した対処方法で苦痛なく継続できるか→継続困難と感じる場合はより楽な方法を再検討しましょう。

③評価は1カ月後の評価の後は2週間毎に実施して、体重が下がりどまっていないかどうかを確認します。停滞する時期が概ね3カ月を超える場合は、今回取り組みの内容による改善効果の限界を迎えたと判断します。さらに脂肪減量を継続したい場合は、評価時点の生活パターンを新たなベースとしてステップ1から改めてスタートします。


◆ステップ5.評価結果に従い継続して習慣化する、もしくはステップ1から繰り返す

 すてっぷ1~4のステップで目標に到達した場合は、目標到達時点での生活パターン(今回新たに手に入れたパターン)を習慣化して継続します。減量開始タイミングでのベースパターンに戻ると、体重・体脂肪も以前の状態に後戻りするので注意が必要です。

もし、3カ月以上体重減少が停滞し、さらに減量したい場合は1からのステップを繰り返します。


 それでは、お試し的な初版ということで短文ではありますが、これを読んで下さった方が脂肪の減量に成功し、長期的に維持できることを願っています。

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