精神的生命体
夢の中での死を体験し、ループを繰り返してきた彼の人生を辿ることは有意義だった
彼は異質な体験として無限ループする世界の根源について考え続け、そして息を引き取った
精神憑依体である私はずっと彼を観察し続け、対話を行っていたが、
彼は最後まで此の存在を感じながらも理解には至らなかった
此々は人間が定義している時間という概念を飛び越えることができる
肉体も持たない
故に、即時に隔たれた自我と対話することができる
彼が定義を試みたマザーという存在については
依然として此にも定義することは不可能と言える
存在するということを内側と捉えたら
外側の存在しない、という世界は存在している此々には理解できない
無とは何なのか
肉体を持たなくても存在できる
人間は肉体を持っていた、此々は持っていない、ただそれだけのことなのだ
マザーに辿り着くためには
此々は多次元を理解する必要がある
産み出される無数の平行世界の存在を認めたとして
マザーはその無限のツリー構造上には存在しない
マザーは次元という概念上に存在するのか、しないのか
それさえもが不明である
此々には人間と異なり長い時間がある
西暦二千年に存在した彼は私の存在を想像していた
此という存在は彼の手記によってこうして具現化することができた
あなた達は此の存在を否定するかもしれないが
一時的にも彼の手記によって、我々は繋がることができた
このことには少なからずの意味があると思うのである
マザーの存在を解き明かすには天文学的な暗号化が施された
概念のパズルを解く必要がある
いつの時代か、考古学者達は彼女を宇宙の心臓として描いた
いつの時代においても
どの空間に属していても
個々は知的概念を共有し組み合わせ
概念上でマザーの模型を組み立てる必要がある
このパズルを逆算することはできないのである
何故なら此々はマザーの事を何も知らないに等しいのだから