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迷い込みのきっかけ

えと、異世界へ飛ぶ、と散々言った割にごめんなさい、飛びそうにありません。

ぜんぜん話が進まない。^^;

明日から学校なんで次回更新は次の土曜日かな?



第2話『迷い込み』




キーン〜、コーン〜、カーン〜、コーン〜


鐘の音が学校内に鳴り響く。

尤もこのご時世、未だ本物の鐘を使っているはずもなく、鐘の音を模倣した電子音が、であるが。


「もう、こんな時間か。

では今日はここまで。

日直、礼を。」


教壇に立ち、授業を進めていた教師がそう生徒達に告げる。


「起立、礼!」


教師に言われ、号令をかける日直。


「ありがとうございました。」


「「「ありがとうございましたー!」」」


教師の礼に答える生徒達。

この瞬間、本日最後の授業が終わりを告げる。


それは、ドコにでもある普通の光景である。

もちろん、学校という限られた空間でのことではあるが。

そして、足早に去っていく教師と慌しくなる教室内。


友人と話し出す者。

片づけを始める者。

板書の残りをする者。

黒板を消し、板書中の生徒に文句を言われる者。


今日も教室内は喧騒の空気に包まれていた。

これも、ドコにでもある光景である。


そしてその場に、朝の3人組はいた。

周囲の視線を受けながら、本人達はあまりそれに気づいていない。

幼い頃からその視線を受けてきた3人にとって、『それは当然のこと』と認識しているのかもしれない。


「つかれたー、英語以外は。」


「ほんと、休み明けはキツイねー、特に英語は。」


「そうですねー、ちょっと寝てしまいそうになっちゃいました・・・、英語は特に。」


そう、3人は溜息を漏らす。

今の3人の言葉でも分かるように、神耶以外の2人は英語が得意ではない。


否、正確には葉は英語もそれなりに出来るが、彼女自身理系の科目のほうが得意なので、英語はあまり好きな科目ではない。

とはいっても、神耶の好きな科目である為、平均よりは良い点数を取るように努力しているのだが。


そして、鈴は専ら運動専門である。

勉学に3以上の成績がついたことはなかったりするのである。

体育はいつも5であるが。


そうして愚痴を言い合う3人だったが、やはりダルそうに体を捻っている。

3人の顔には、少量の疲労の色が見て取れた。

流石に休み明けの7時間の勉学は、彼らに疲労を与えるのに十分だったようである。

かといって、この3人に限ったことではなく、皆多かれ少なかれ疲労を覚えているようであるが。


「さて、2人は放課後なにか用事ある?」


と、問いかける神耶。


「いえ、特にないですねー。

強いて言えば神耶くんの家にお邪魔する予定を入れたいです〜。」


と、少々のボケをいれながら答える葉。


「私は少し道場のほうを観ようかと思っている。」


と、答える鈴。

言い忘れていたが、彼女の家は道場を開いている。

彼女は、割と親思いなのだった。

葉も親思いなのだが、以前手伝いをしていると、天然なのでミスを連発。

以後手伝い禁止令が出されたのだった。


「鈴は道場か。

じゃー葉、俺の家に招待するよ。

鈴も招待したかったが、仕方ないね。」


と、ごく普通に言う神耶。

周囲の視線は、『天然!?』『もしかして、こんなところで修羅場がおきる!?』などといった声が漏れ始めている。

どうもこの神耶という少年、家に招待されることがこの少女2人にとってどれほど大きなものなのか、理解していないようである。

本人は『久しぶりに呼ぶかー』程度にしか考えていない。


「いいの!?

やったー、じゃーすぐに行こう!」


と、はしゃぐ葉。


「なにっ!?

それは一大事!

指導などやっている場合ではないな。

私も、是非招待してくれ、神耶。」


そう言って、神耶に言い出す鈴。

『おいおい、家の手伝いはどうなった・・・。』という周囲の視線も物ともしない。


「道場のほうは大丈夫なのか?」


至極尤もな意見を述べる神耶。


「ああ、そこまで急ぐ用事ではないからな。

帰ってからでも問題はない。」


と、これまた新事実を述べる鈴。


『嘘くせー!?』とは周囲の心の声である。


一方、周囲の視線が呆れの要素を含むことを、葉は横で傍観しながらも感じ取っていた。

尤も、それを2人に言うつもりなど毛頭なかったが。

それどころか、どこか微笑ましいものを観るかのような視線で、2人を見つめる。

結局のところ、葉という少女は鈴という少女のことも大好きなのであった。


「んー、ならいいかな。

じゃー、Let's go!」


「「ya-!」」


と、かみ合っていない返事をする2人に苦笑しながら、神耶は教室の扉を開くのだった。





「にしても、よく考えたら2人を家に招くのって久しぶりだねー。」


校門を出て、少し歩いたところで神耶は言った。

確かに、依然招いたのは記憶が正しければ両親が亡くなり、葬式が終わった次の日だったはずである。

もちろん、2人も葬式に参加していたが、親戚ではない以上、あまりかかわることは出来なかったのである。


「うん・・・、かれこれ1年になるね。」


「ああ、そうか・・・、前に家にいったのは・・・。」


神耶は、2人の言外に『ご両親が亡くなられた直後だったから・・・。』というものがあるように感じた。


「そんな暗い顔するなって。

俺は2人に感謝してるんだからさ。

親父達が死んだ時、いつも傍にいて助けてくれた2人にはさ。」


そう言って2人の頭を撫でる神耶。

以前、あまりにも綺麗だったので撫でさせてもらったとき、気持ち良さそうにしていたのを思い出したのである。


「あっ・・・。」


「ふふっ・・・。」


予想通り、2人は至福のときを楽しむかのように満面の笑みを神耶に向けるのだった。



そう、そういうことをしていたから、前から来るトラックに誰一人気づかなかった。

信号無視をし、すごい速度で突っ込んでくる鉄の塊の姿に・・・。


「あ、危ない、君達!!!!!」


はじめにそれに気づいたのは近所のおじさんだった。

その声に3人は顔を上げる。

3人の中で、はじめにその事実を認識したのは神耶だった。


「!?!?!?」


明らかに今から回避行動をとっても助からない。

助かったとしても、自分だけだろう。

ほかの2人はまだ何が起こっているかしっかりと理解できていない。

そう、瞬時に頭の中で考える。


「くっ!」


その後の神耶の行動は早かった。

恐怖に固まる体を奮い立たせ、自分のとるべき行動を瞬時に把握、行動に移す。


ドスッ!


「キャッ!」


「ッ!」


咄嗟の判断で、神耶は2人を横に突き飛ばす。

それが意味することはただの一つしかない。

目前にはトラックが迫る。

そう、自身の身を犠牲にする覚悟が無ければ出来ないことだった。

それが出来たのは、ひとえに2人に助けられた日々を覚えていたからに他ならない。

『自分が今度は恩返しをする番だ』それだけが神耶を動かす原動力となっていた。


『ああ、俺は死ぬのか・・・。

父さん、母さん、そっちに行く事になりそうだよ・・・。』


神耶は自らの死を認識し、それを受け入れる。


キキーッ!


今頃神耶に気づいたのか、トラックが遅すぎるブレーキを踏む。

だが、すべてが遅すぎた。

今までの速度が急に0になるはずも無く、慣性をもった鉄の塊は容赦なく神耶の体を打ちつけるのだった・・・。





え〜、前話で次回異世界へ飛びます、って書いた割にほんと関係ない話で終わってしまいました・・・。

まぁ、本当に次話で飛びますのでどうか一つご勘弁を。^^;

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