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美形3人組

え〜、まだ異世界に飛んでません。^^;

主人公の日常の部分です。

え〜、次話で飛ぶ予定なんでどうかお許しを。^^;



第1話『美形3人組』




チュンチュン、チュンチュン


ある世界のある星のある場所での光景。

そこには、朝の日差しを浴び、ベッドの上で丸くなりながら寝ている少年の姿があった。

少年の容姿はひどく整っていた。

否、整いすぎている、というべきかも知れない。

個々のパーツは小振りでありながら、それぞれが完璧な形で少年の小さな顔に収まっていた。

その中で、眼だけは強く大きく、まるで意思を持つように爛々と光を帯びるのだった。

少年の髪は見る者を惹きつけるような漆黒。

少年の纏う雰囲気はどこか神々しさすら感じさせる。


「うぅ〜ん・・・」


少年はそう、気持ち良さそうに唸る。

そして徐に眼を開けるのだった。

その瞳は、彼の髪と同じ漆黒である。


「んー、よく寝たー!」


今日は月曜日。

休み明けと言う、とても気の滅入る日なのだった。

尤も、本来学生というものは勉学に励むべきであるのだが。

現代の学生にそれを求めるのは流石に可哀想である。


「今日から学校かー。だるいなー。」


そう愚痴りながら着替えだす『少年』、こと 駆流 神耶であった。




神耶は階段を降り、1階のリビングへと歩を進める。

1歩1歩ゆっくりと、しかし確実に。

そうして5分ほど歩いただろうか、目の前にリビングへと続く扉が見え始める。

なぜ部屋からリビングまで5分もかかるのか、と皆不思議に思うことだろう。

答えは簡単、神耶の両親はいわゆるお金持ちであった。

世界有数のデザイナーである。

その2人は、自身の家も大豪邸と呼べるものを自ら設計し、作ったのだった。

この5分というのは、豪邸に住む為の必要経費、もとい必要時間なのである。

そう、あくまで『だった』である。

両親2人は、去年の暮れに交通事故ですでに他界している。


「Good morning!」


そうリビングに神耶の声が響き渡る。

当然、返事はない。

なぜ英語だったのかというと、ただ神耶が英語が好きなだけである。

それは、以前留学していたということも大きな理由となっているのかもしれない。


「ふぅ、父さん、母さん、おはよう。」


そして神耶はリビングのすぐ隣にある仏間の仏壇に手を合わせる。

両親が死んでからの神耶の日課であった。


「さて、メシ作るかー。

I prepare meals! だね。」


そう、わざわざ英語でも言い台所へ駆けていくのだった。

ぇ?

なぜ駆けて行くのかって?

そりゃー、登校時間が迫っているからである。

実は神耶、睡眠時間を確保する為、いつも限界ギリギリまで布団の中にいるのである。

その為、起床から登校までの猶予が15分しかないのである。


「うわ〜、今日はちょっと遅刻気味だ・・・。

I seem to be late!」


そう呟きながらそそくさと食事を済ませにかかるのだった。





ピーンポーンー


玄関の呼び鈴が、来賓を告げる。


「ああ、もうきたのか、いつもより早いな。」


そう言うと、神耶はインターホンをとることはせず、そのまま玄関へと歩きだすのだった。

手にはカバンを持ち、その身には学生服を纏っている。

これぞ、日本の学生、といった井出達である。





一方、駆流邸玄関前では、なぞの少女達が立っていた。


片方は髪を金色に染め、スカートも膝程度まで短くしている。

しかし、不良であるとかそういうことは一切なく、ただのファッションである。


もう一方の少女は、髪が赤く、眼の色は青く澄みきっている。

こちらは染めているのではなく、ただ単に遺伝である。


そして2人に共通する特徴があった。

それは『特S級の美少女』であるということ、そして極度の『神耶信者』なのであった。

神耶の言葉は何であろうと信じ、神耶の一挙一動に眼を輝かせる、そんな少女たちなのである。


「ねーねー、鈴ちゃん、今日はちょっと早く着いたね〜。

怒られないかな!?私、神耶くんに嫌われたら生きていけない!」


赤髪の少女が半泣きになりながら言う。


「ん、確かに早く着きすぎたか。

だが神耶のことだ、何だかんだといってもすぐに出てきてくれるさ。」


そう言うのは、赤髪の少女に鈴と呼ばれた少女である。

見た目より少し低めの声に、男っぽい口調である。


「葉、そんなことを考える暇があるのなら、今日一日どのようにすれば神耶が気持ちよく、快適にすごせるか考えておけ。

そのほうが数倍有意義だ。」


そう、鈴と呼ばれた少女は赤髪の少女に言うのだった。


「そうだね!私達のいる理由は神耶くんに楽しく学校生活を送ってもらうためだもんね!」


そうして、葉と呼ばれた少女は気を取り直したのだろうか。

嬉しさを顔全体で表現するかのごとく極上の笑みを浮かべるのだった。


「2人ともお待たせ!」


そうこうしている間に、2人の待ち人が颯爽と姿を現す。

駆流 神耶 その人である。


「神耶くん!おはよう!昨日はよく眠れましたか!?」


「神耶、おはよう、今日もいい天気だな。」


2人の少女は同じ朝の挨拶だが後半の内容はそれぞれまったく違うことを言うのだった。


「ああ、2人ともおはよう。

昨夜はこないだ手に入れた『ヴァルハラ』ってゲームをやってたからちょっと遅かったかなぁ・・・。

でも、それなりに疲れは取れたよ、葉?

そして鈴、こんな寒空のしたそんなことを言っても説得力に欠けるね。」


そんな2人の言葉にも、神耶は律儀に答えるのだった。


・・・言い忘れていたが今の季節は冬である。


「そうですか?

本当に体壊してません?

調子悪かったら私がずっと看病しますから!」


そう、少し壊れたように葉が宣言する。

それをみた鈴は少し苦笑をもらしながら、


「ふふっ、人目もはばからず大胆だね。

でも私も同意見だからね、神耶?

というか私達的には風引いてくれたほうが役得かも・・・。」


後半、不穏な言動を見せる鈴に、今度は神耶が苦笑する番だった。


「ははっ、看病してくれるのは嬉しいけど、風は引きたくないからね。

体調管理には気をつけるよ。」


そういう話をしながら3人は学校へと登校していくのだった。

周囲の人たちに、2人の美少女が1人の美少年に寄り添いながら楽しそうに登校する3人の姿が目撃されたとかされなかったとか。





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