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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
45/45

第45話 最終決戦 マスター対女神

 ダンジョン最下層、俺の部屋で侵入者を見ていたのだが予想通りの相手だった。額に青筋を立てて物凄い速さでダンジョンを下って来ていた。


「スゲ~速度だな」


「あれは凄すぎですよ、マスター」

「何だあれ、何で怒ってるんだ?」

「女神ですよね、アレ? 何したんですかマスター」


 女神が怒ってる理由はハッキリ言って分からない、なにせ俺はエスパーでは無いからね。でも魔王が死んだから来たのだろうって事は分かる。つまり自称女神は勇者と魔王を殺されたから俺に仕返しに来ているのだと思う、勿論俺が平和に貢献したから褒めに来ている可能性だって有るかも知れない。本物の女神ならむしろ俺を表彰して褒美を取らせるだろうが、あいつは邪神なので多分俺を殺すつもりだと思うのだ。


「お~、迷路も全然迷わずに進んでるな~、流石は自称女神」


「あれはマッピング機能を持ってますね。ダンジョン内部の状況を完全に分かってる動きです」

「それで罠も全部躱しているのか、厄介なヤツだな」

「あんなのと戦うんですか邪王様、流石に神と戦うのは吾輩でも躊躇しますぞ」


「まああれだ、お前ら逃げて良いぞ。あれは普通の奴が戦えるレベルじゃね~わ」


 邪神の狙いは俺だ、コア子は俺が死んだら終わりなので最後まで付き合ってもらうが、バル子やキング達は邪神が来る前に逃がそうと思う。どうせ居ても邪神には通用しないしな。


「最後までお供します、マスター」

「私も付き合おう、護衛だしな」

「吾輩も付き合いましょう、どうせ何処にいても一緒ですからな」


 邪神は音速を超える速度で侵攻してきているので、直ぐにここまでやって来るだろう。でもまあ転移をするわけでも無く、ちゃんと順番にダンジョンを降りて来ているので邪神と言えどもダンジョンを壊すことは出来ない様だ。いきなり入口からここに転移する程の能力を持っていたら、不意をうたれて秒殺される所だったんだが。


「どうやるんですか?」


「どうって、魔王と同じ方法しか無いだろう? 普通に戦って勝てる相手じゃないだろ?」


「それって、チート能力無効ですか?」


「神の力ってチートなのか?」


「?」

「何だろうな?」

「そんな事考えた事も無いですな、そもそも神に会ったことも見た事も無いですし」


 どうも何とかなる気がしないが、神話の中では神は良く倒されているので死なない訳でも無い様だ。だからと言って俺が勝てるって保証は全然無いのだが。


「まあ駄目だったら全員で攻撃しような、バルムンクやゲイボルクは元々神の武器みたいだから通じるかも知れないしな、キングの魔法は多分通じないから死神の武器で戦ってくれ。神級の武器なら通じる可能性が有るからな」


 そして魔王を倒した部屋で俺達4人はそれぞれが武器を携えお茶をしていた。俺が持っているのはイチイバル、弓型の武器で2億ポイント、自動追尾・必殺・必中・分裂機能付きでこれ一つで国を滅ぼせそうな武器、そしてコア子が持つ神槍ゲイボルク、これまた必中・必殺・分裂・爆破・猛毒付きの凶悪な武器、そしてバル子の持つ神剣バルムンク、これは対人に特科した武器で何でも切れるって話だ、そして最後にキングの武器、死神の鎌と呼ばれる大型の鎌で必殺機能付き、当たると相手が死ぬらしい。

 こうしてやれる事は全てやった俺達は、最後の晩餐としてそれぞれが好きな物を飲んでいた訳だ、戦いの前なので流石に食べ物を食べる者は居なかった、腹を切られた時に食べ物を食べていると悲惨な事になるのを皆知っているのだ。


「コーヒーはやっぱり香りだな」


「紅茶の香りも良いと思います」

「私はコーラの刺激が大好きだな」

「吾輩はお茶の甘味が好きですな」


 気に入った仲間と一緒に居るのは気持ち良かった、他の連中も争いばかりじゃなくてノンビリすれば良いと思うのだが、世の中には無能な働き者が多すぎるのだな、邪魔にしか成らないから何もしないで居てくれると周りの人達がたすかるのだがな。


 さて自称女神が来た様だ、戦うとしますか。


「お前! 人間の分際で~!」


 真っ赤な顔をして怒り狂っている女神の後ろで大きな音を立てて扉が締まる。女神はもうどこにも逃げられなくなった。そして大きな音の方を振り向いた瞬間に全員で攻撃を開始する。


「コア! 神力無効を発動しろ! そのまま全員攻撃開始!」


「「「了解!!!」」」


 ボス部屋に閉じ込めたので神力無効を発動させる、事前に知られると部屋に入らなくなるかも知れないと思ってギリギリまで発動させなかったのだ。後は神力やチート能力が無くなった自称女神をボコるだけの簡単なお仕事なのだ。

 どのダンジョン機能が上手く働いたのかは俺には分からないが、女神は俺達4人の攻撃を受けてボロボロになりながら逃げ回っていた。特別な力が無くなっても俺達4人の攻撃を受けて瞬殺されない所が凄い、元から相当な強さを持っているのだろうな、増長する気持ちも少しわかる気がした。

 そして俺のイチイバルが逃げ回る女神を撃ち落とし、コア子のゲイボルクが女神の腹に大穴を開け、バル子のバルムンクが女神の腕を切り飛ばした、キングは女神の首に大鎌を当ててこちらを見ていた。俺に止めを譲ってくれる気らしい。でもな~、気が進まないんだよね。勇者殺しに魔王殺しの称号がついちゃってるのに、その上神殺しの名称までついちゃうと世間体が益々大変な事に成りそうだからね。でもまあ仕方無いよね、俺が決着を付けないとね、異世界人やこの世界の人たちの敵を取ってやらないとね。


「さて、自称女神とやら。今はどんな気分かな? ねえ、どんな気分?」


「クソが! 人間の分際で神に逆らうとは」


「唯の人間を異世界から攫ってきて、ダンジョンマスターにしたのはお前だろうが! 負けそうになったら泣き言か! お前のせいで大勢が死んだぞ、責任を取って死ね!」


 女神の顔面にイチイバルの照準を定めて弓を引こうとした瞬間、俺の前に男が現れた。外から俺のダンジョンに転移してきた様だ。


「誰だ! 貴様」


「おお怖い、武器を下げてくれないか。私は君達の敵じゃ無いから」


 ダンジョン外から一気に俺の前に現れた男は何の特徴も無い男だ、だがダンジョンの法則を全て無視して現れたって事は俺より上位の存在って事だ、ダンジョンの能力を無効化されると俺に勝ち目は全く無い。


「私の部下が失礼したようだね、済まなかった。彼女には後で僕がお仕置きしておくから殺さないでくれないかな」


「・・・・・・創造神様・・・・・」


「「「「創造神?」」」」


「ああ、済まなかった。自己紹介がまだだったね、僕は創造神。全ての神の最上位に位置するものだよ、よろしくね」


「じゃあ、あんたがその邪神の主なのか? 人を攫ってきて異世界で戦わせて、殺す趣味でも有るのか?」


「まさか! 異世界からの干渉は厳禁だよ、その世界の住民達だけで争うなら不干渉だけどね、そこに外部の力が入るのは好ましくないからね。元の住民が絶滅してしまう可能性が高くなるんだよね」


「外来種が来て環境を荒らす様なものか、異物だものな」


「そういう事、変化が欲しくてやったのだろうが、この子のした事は許されない。よって神罰を与える」


「殺さないのか?」


「ふふ、死ぬより辛いことが色々有るのだよ、色々とね」


 俺の前に立った創造神は、物凄く悪い顔で微笑んでいた。邪神も創造神の前では随分大人しかった、多分逆らっても無駄、と言うか逆らうともっと酷い目に会わされるのが分かっているのだろう。俺もこの男には逆らいたく無かった、何かの拍子にプチっと殺られて、その3秒後には忘れている様なヤツだったから。


「じゃあこの子は貰って行くね、神罰を与えなくちゃならないからね。同じような事を考えてる連中の見せしめに使うんだ、絶対に僕の言いつけに逆らわないようにね」


「まあ良いけど」


「じゃあ僕は行くよ、忙しいんだよね。色んな世界で呼ばれているから、君には迷惑を掛けたからお詫びに、元の世界に送り返してあげる。このままだと君はこの世界を変えちゃいそうで怖いからね!」


「え! チョット、待ってくれ!」


 そして俺は気を失った。目覚めて見れば元の世界へと戻っていた、見慣れた部屋、見慣れたパソコン、1年前に邪神によって攫われた場所と同じ時間と場所に戻されたのだ。


「あ~あ、異世界で頑張った分、全部チャラかよ。せめて金とか宝石とか有れば良いのに」


 こうして俺の異世界での頑張りはタダ働きに終わった、創造神からすれば生きているだけ儲けものって感じなのかも知れない。神の考える事なんて俺にはサッパリ分からないけど。


 斜め上のダンジョンマスター・異世界編 完


 続きは 斜め上のダンジョンマスター・現代編 今度はローファンタジーに行きます


沢山の応援有難うございました、お陰さまで異世界編を終わらせる事が出来ました。このまま続きを書こうかとも思ったのですが、現代に戻るとハイファンタジーじゃなくなるので、ここで一旦話を完結にして次回からはローファンタジーに移動します。

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― 新着の感想 ―
一気読みしました。今まで読んだDMもの?で一番面白かったです。ありがとうございました。
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