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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
44/45

第44話 決戦!魔族4天王 その4

「あれを使いますわ、マスター」


「ええ、よろしくってよ」


「なんだそれは?」


「お約束ってヤツだ! 良く覚えてをおけい!」


 魔族2人の推定ポイントが分かった。魔王が50億ポイント、もう一人が3億ポイントだった、つまり魔王はチート級の強さなのだ、だから俺達はもう一人の奴を狙う事にした。今度は森林地帯の階層、木陰に隠れた俺達は太陽の方角ばかり気にしている2人に下からの攻撃を開始する。


「スーパー稲妻ゲイボルク発射!」


「うわ~!!!」


 ステータスアップ用のアイテムを両手の指全部とネックレス、腕輪にイアリングと5億ポイント分装着したコア子が1億ポイントで購入した神槍ゲイボルクを魔王の隣に居る最後の4天王に投げつけた。同時にフルチューンしたバル子とキングも魔王に牽制攻撃を仕掛けて仲間の援護に行けないようにする。神槍ゲイボルグは神話の通りに凄まじい速度で相手に襲いかかり相手を爆散させた。流石は必中・必殺能力を持つ槍であった。


「逃げるぞ!」

「「「了解!」」」


 魔王の部下の4天王を残らず撃破した俺達は直ぐに転移して又もやダンジョン最下層に帰ってきた、もう何度も同じことを繰り返しているので皆慣れたものだった。


「4天王全部撃破! ウエ~イ!」


「「「ウエ~イ!!!」」」


「皆お疲れ様、後は魔王を始末するだけだ。気楽に行こうぜ」


「マジですか、マスター?」

「あれはチョット異常だぞ」

「ありえない強さですぞ、吾輩の全力でも効いていない様でした」


 最下層に戻って来たのだが3人の表情は冴えなかった、今のフルチューンした2人の攻撃が魔王には通じなかったせいだ。予想はしていたが有り得ない程の強さを持っていた、多分魔王のチート能力は世界最強とかいう無茶苦茶な能力なんだろうと思う。こちらが強い魔物を出しても相手がそれに合わせて強くなるか、こちらを弱体化するチート能力かも知れない。


「コア、一番高い魔物って何だ?」


「一番高いのは暗黒竜ですね、1000億ポイント」


「う~ん、何だかな~」


 暗黒竜を出して勝てるなら頑張って貯金して出すのだが、龍と聞いて嫌な予感がする。物語では竜って何時も殺られ役なのだ、物凄く強いのに必ず負けるのだな。それにチート能力の内容が分からないと対策が取れない、物凄く嫌なチート能力だったら負ける可能性だって有るのだ。


「マスター、ポイントが足りません」


「ポイントが貯まるまで逃げ回るのも有りだな、面倒だけどな」


「でも暗黒竜なら魔王より強いぞ、確実に勝てるはずだ」

「吾輩でも暗黒竜には絶対に勝てませんな」


「それがそうでも無いんだよな、チート能力によっては負けるんだよな」


「「「そんな馬鹿な!」」」


「馬鹿げた能力だからチート能力って言うんだよ」


 例えば俺が嫌なチート能力だと思うのは(敵の2倍の能力に成る)チート能力みたいに、相手に合わせて変化する能力だったりするのだ。固定の装備だったり能力だったら弱点を探して攻撃するのだが、能力が毎回変化したり、相手の出来る事が変化すると事前に対策が取れなくて負けるかも知れないのだな。


「相手より強くなる能力とか、狡いです!」

「自分より強くなるなら、幾ら鍛えても無駄じゃないか! 狡いぞ!」

「厄介な能力ですな、対策しても無駄な能力ですか」


「まあそう言う可能性も有るって事だ、相手より強くなる能力って昔からよく使われてる能力だからな」


 で、どうするかと言えば、今回は俺が魔王を倒す事にする。どうやら異世界人みたいだし決着は異世界人の俺がつけた方が良いだろう、万が一負けた時は運が悪かったと諦める事にでもしようか。


「まあ心配するな、俺が何とかするから」


「無理ですよマスター、弱いですから」

「そうだぞ、ますたーは4人の中で最弱だものな」

「お辞めください邪王様」


「う~ん、まさか自分が4人の中で最弱って言葉を使われるとはな・・・・・・感慨深いぜ」


「ハ!・・・・・・もしかして」


「どうしたのだコア?」


「マスターも異世界人、凄いチート能力とか有るのかも?」

「おお! それだ!」

「素晴らしいです! 流石は邪王様!」


「・・・・・・無い! 俺はチート能力貰えなかった・・・・・・」


「「「・・・・・・」」」


 異世界人はこっちの世界に来るときに女神にチート能力を貰うみたいなんだが、俺は女神に逆らったから貰えなかったのだ。そして女神に逆らった罰として辺境の穴の中に捨てられた、そして何とかここまでやって来たのだった。


「ぐぬぬ~、女神のやつ。俺だけチート無しにしやがって~」


 一人だけハブられた俺は又もや怒りが湧いてきた、絶対にチート野郎を倒すのだ。やると言ったら必ずやるのだ、執念深くて絶対諦めない、誰に何と言われようとどんな手段を使おうと勝てば良い。俺はそう言う主義だから勇者にはならなかったのだ。


「でも普通に戦ったら負けますよね、やはり私達全員で戦った方が良いのでは有りませんか?マスター」

「そうだぞ、そもそもオークと互角のマスターが勝てるわけ無い!」

「吾輩も全員で戦う事に賛成です」


「お前らの気持ちは有り難いが、全員の強さを合計して相手に上乗せされる可能性が有る。その場合はこちらが弱い方が勝機が有るのだ。だから今回は俺一人でやる」


 そして魔王との最終決戦へと俺は向かった。まあ、最後位は自分で方をつけないとな、無駄飯喰らいのダンジョンマスター等と後から言われたら死んでも死にきれないからな。


「「「お気をつけてマスター!」」」


「うむ、俺は勝つ! お前らはそこで俺の勇姿を見てるが良い!」


 そしてカッコの良いダンジョンマスターの俺は魔王との最終決戦用の階層へと向かった。


「よく来たな魔王」


「貴様~!!」


 予想通り魔王は怒っていた、仲間があっけなく殺られたり宝箱でオチョクッタリしたから当然なのだが、ここに来てまで冷静に成れないとは魔王の未熟さをハッキリ表していた。それに反して俺はすこぶる冷静だ、命の危険が有るので久しぶりに本気になったからな。


「このまま大人しく帰って人間や亜人達に迷惑をかけないのなら、見逃してやる」


「ふざけるな! 俺がお前なんかに負ける訳無い! 俺は誰よりも強いんだ!」


「お前、異世界人だろ? 俺もそうだが、俺と殺し合いたいのか?」


「それがどうしたんだ?俺が異世界人とか関係ね~! 俺の邪魔する奴は殺してやる。俺はこの世界の王になってやるんだ!」


 予想通り魔王は、以前攻撃を仕掛けた時よりも迫力が無かった。今回弱い俺しか居ないので、以前より弱体化している様だ、やはりコイツのチート能力は敵の能力を自分に上乗せする能力だったようだ。まあ、そんなの今となっては全く関係無いのだが。


「それじゃあ仕方無いな、やろうか」


「お前なんかが俺に勝てる気なのか? 馬鹿なのかお前」


「俺は馬鹿じゃないな、唯のダンジョンマスターさ」


「コア!やれ」


「了解、ダンジョンポイント10億を使って、チート能力無効を発動します」


「え! 何それ! チート無効とかズルいぞ! やめろ~!」


 俺はダンジョンマスター、このダンジョンの中では俺の能力は神に等しいのだ。当然だがこのダンジョンではポイントさえ有れば俺は何でも出来るのだ。

 チート能力でドーピングされていた魔王は体がドンドン縮んでゆき本来の姿に戻っていった。本来の姿は俺と変わりない極普通の日本人だった。


「さて、やるか」


「まっ、待ってくれ! 喧嘩は良くない! 話せば分かるから」


「聞こえんな」


 散々この世界の人間や亜人達を殺しておいて、魔王から元の姿に戻ったら泣き言しか言わないクソ野郎に俺は心底嫌気がさしていた。せめて悪党なら悪党らしく潔く死ねば良いのだ、自分が不利になったら被害者のフリをする連中は大嫌いだ。


「マスター、私がやろうか? 同族を殺すのは嫌だろう」


「卑怯だぞ! 俺は一人なのに狡いぞ!」


 いつの間にか俺の隣にバル子とコア子が立って居た、心配して来てくれた様だ。元魔王は自分が部下をドッサリ連れて来たことは忘れたらしい、都合の良い頭をしている様だ。


「そうだ! 武器だ、俺にも武器をくれ! でないと卑怯だぞ、お前!」


「武器が欲しいのか、それじゃこれを使え。神剣バルムンク、何でも切れるぞ」


「な、なにするマスター、この剣はヤバイって!」


 武器を欲しがったので、バル子の持っていた神剣バルムンクを元魔王の足元に投げてやった。そして慌てて武器を取りにいった元魔王の顔が下がったので俺は鉄板入りのブーツで思い切り顔面を蹴った。ブーツの先は顔面にのめり込み脳にまで衝撃が入った様で元魔王は血反吐を吐いてピクピクしていた。多分これは死後の痙攣だな、俺は冷静にそう思った。


「魔王の殲滅確認、ダンジョンポイント3000入りました」


「ふ~ん、あいつの元の強さはゴブリン並だったのか。あっけないな」


「最後までえげつない攻撃だったな、マスター」


「まあな。スポーツしてる訳じゃ無いからな」


「「「!!!!!!」」」


「超高エネルギー反応、ダンジョンに侵入者有り! デフコン5を宣言します!」


「来たか!」


 魔王と勇者を全員倒した俺に最後の敵が現れた様だ、勿論相手は本物の邪神、自称女神に違いない。さて最終決戦と行こうか、な~に、負けても死ぬだけだ、どうと言う事は無い。

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