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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
42/45

第42話 決戦魔族4天王 その2

 魔族のエース達は強かった、腕のひと振りで防衛軍をなぎ払う。防衛軍の攻撃が全く通らない位に強いのだ、このままでは大事な戦力が減ってしまうので何とかしなくては今度はこちらが魔族と同じ目に会ってしまう。


「グロリア、防衛軍を下げろ! 俺達が出る」


「はい! 聖者様」


 防衛軍が殺られていると気分が悪い、ポイントはジャンジャン入って来て儲かっているのだが、毎日一緒に飲んだり食ったりした人間が殺されると言うのは嫌だった。ここら辺が自分自身の甘さだとは思うが、後悔してまで生きる気が無いので割り切る事にした。それに何だか魔族の5人を見るとムカつくのだ。こいつらは殺しを楽しんでいる様だった。


 防衛軍を全員砦に下げたので、砦の前の広場に立っているのは魔族のエース5人と俺達4人だけだった。何故だか奇妙な静寂に包まれていた。西部劇の映画で主人公と敵役が向かい合って居る、そんな感じの瞬間だった。そして俺は凄く焦っていたのだ、なにせ相手が物凄く強そうなのだ、オマケに相手の方が数が一人多い。そこで俺はグロリアをチラチラ見ながらこっちに来る様に手招きしたのだが、グロリアは俺の方を見てニコニコしながら手を振って居るだけでこちらには来てくれなかった。彼女は肝心な時に駄目な姫騎士だったのだ。


「聖者様頑張って~!!!」


 グロリアは手を振るだけでは無く、大声で俺を応援しだした。本当に空気を読まない女だった、そして防衛軍の連中まで俺を全力で応援しだしたのだ。


 聖者!聖者!聖者!聖者!聖者!


「貴様が聖者なのか、いい度胸だ! 俺達の前にノコノコ現れて来るとはな・・・・・・馬鹿なのか?」


 魔族の5人の中で一番大きくて強そうな奴が前に出てきて俺たちに大声で言った。身長3m近くある大男で角が4本も生えていた、そして豪華な鎧にマント、コイツがエース達の親玉に違いない。


「何を抜かすか無礼者が! 邪王様に失礼である!」


 こっちのキングが言い返すがいかんせん声が高い。元の恐ろしい姿で地の底から湧いて出る様な声だったら良かったのだが、今は子供の姿なので声変わりをしていないキンキン声なのだ。どう見ても子供が去勢を張っている様にしか見えないので魔族は大爆笑していた。


「ハッハッハ、威勢の良い小僧だ。お前から殺してやろう!」


「お待ちください魔王様、ここは4天王の一人、地のモノグラムにお任せを!」

「まてまて、此処は4天王の風のジ・エンドがやろう」

「抜けがけは許さん、ここは4天王水のトリスタンに任せろ」

「ふふふ、何を言う、4天王筆頭テトラスが相手をしようではないか」


 何だか自己紹介を始めたので大人しく聞いておいた、俺は空気を読む男なのだ、そして順番を決めようとしている4天王と魔王を見てキングに合図をする。


「貰った~!!!」


 キングから無数の中級魔法が5人に放たれる、魔族の周りは爆炎で当たりが見えない状況だ。


「皆集まれ!」


 そして相手が煙に包まれている隙に皆を集める、何をするかと言うと逃げるのだ。数が一人足りない上に俺より強そうな奴が居るので戦力が足りないと思ったのだ。


「貴様! 卑怯だぞ!」


「フハハハハ~! 我を倒したくば迷宮最下層23階層まで来るがよい! フハハハハハ~!!!」


 俺は3人を連れてダンジョン最下層の自分の部屋に転移する事にしたのだ。でもチョットだけ防衛軍にも見栄を貼りたかったので余裕たっぷりで笑いながら転移する。


「ふへ~! 危なかったぜ」


「いきなり逃げるとか卑怯ですマスター! 私だったら勝てるのに買って貰ったゲイボルクの出番だったのに!」

「そうだ、私だってバルムンクを使えば勝てる」

「邪王様、極大魔法で消し飛ばせましたぞ! 何故中級魔法の指示だったのですか?」


「あのさ~、勝てるって言っても1対1の場合だよね、相手が5人だから3人余って俺が殺されちゃうだろ。キングの極大魔法もさ、俺や防衛軍もまとめて消し飛ばしちゃうよね。キングだけ生き残っても意味ないじゃん」


「それもそうですわね」

「言われて見れば・・・・・・」

「成程、流石は邪王様!」


「流石は邪王じゃね~! お前ら俺を護衛するってのを忘れてただろ、あのまま戦ってたら俺が秒殺されてたぞ。俺は極めて弱いからな、良く覚えておけ」


「そんな事自慢げに言われても・・・・・・」


 俺はレベルアップしても全然強く成らないダンジョンマスターなのだ、だから基本的には敵を見つけたら逃げる。今回はダンジョンの中での戦いなので何処からでも転移して最下層に逃げられるから敵の前まで行っただけなのだ、ゴブリンやオークに噛み付かれて痛い目に会ったことは今でも忘れていない。勿論ダンジョンの能力で上級ポーション等もドッサリ用意しているが、人間って奴は腕がちぎれたりするとショック死する事も有るからなるたけ戦いたくないのだ。


「それじゃどうするんですか?マスター」


「ここから観察する、何時も通りだな」


「消極的」

「ビビリ」

「・・・・・・きっと邪王様には深いお考えが・・・・・・」



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