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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
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第41話 決戦 魔族4天王 その1

 今回ダンジョンに攻めて来た魔物や魔族はカンカンに怒っていた。前回までと数も迫力も全然違うのだ。


「スゲ~怒ってんな」


「そりゃあそうでしょうね」

「だな」


「毒殺位当たり前です! 私の両親も兄も住民達も虐殺されたんですから。私が毒を撒きに行きたかったです」


 魔族の連中と魔物は朝早くからダンジョンに襲いかかって来ていた。俺は防衛要塞からグロリアと共にダンジョンに侵入してきた魔族と防衛軍の戦いをノンビリ見ているのだった。


 彼等はこの冬を越す食料も薪も俺に滅茶苦茶にされて怒り狂ってる様だった。俺の予想ではこのままでは餓死するので食料を奪いに来たのだろうと思っていた。


「違うと思います、食料難も嫌でしょうが、また同じことを延々とやられたら魔族が全滅すると思っているのでは無いでしょうか?」


「それもそうだな、収穫時期毎に蝗が出てきたら嫌だろうな。俺だったら発狂する」


「飲み水に毒を入れられるのも大概嫌だと思うぞ」

「疫病を撒かれるのも嫌だと思います」


 俺の話を聞いたグロリアはその日の内にダンジョンの穀倉地帯と水源に警備隊を置いたらしい。許可なく侵入したものはその場で処刑されるらしい。まあ軍隊の給水塔等は進入禁止だし武器庫等も実弾装備の警備隊が守ってる位だから当然ではある。


 そして次の日も魔族は途切れることなく攻めてきた。しかし幾ら攻めてきても無駄なのだ、こちらの防衛軍はレベルアップして敵より遥かに強くなって上にダンジョン特有の防御力があるのだ。

 まずこのダンジョン1階部分は狭い、だから大部隊は入れない。そして入口が幅3m高さ3mしかないので大型の魔物が入れないのだ。そして入口を広げたくてもダンジョンの壁って奴は不壊なのだ、つまり絶対に壊れないから入口を広げられない。まあ当然だ、壊れたらダンジョン最深部まで穴を掘れば攻略出来てしまう事になるからな。だから彼等は少人数で少しづづダンジョンに進入してくるしか無いのだった。


「マスター、凄く儲かってますよ。マスターのレベルも凄く上がってます」


 コア子が満面の笑で俺にコソコソ話してくる、魔族や魔物が死ぬ度にポイントが入ってダンジョンが儲かっているのだ。まあ防衛軍の人間や獣人が死んでも儲かるのだが、大きな声では言えない事だった。


「敵も味方もマスターのポイントなんだな・・・・・・」


 バルキリーのバル子がため息をつきながら小声で言っていた。まあ俺も何となく罪悪感が有るのだが、そのポイントで飯を食っている此奴には言われたくなかった。


 そして相手の様子が変わってきたのが3日目だった。今までは魔物が主体で攻めてきていたのだが、今度は魔族ばかりが攻めてきたのだ。


「もう魔物が居なくなったのかな? 魔族主体に変わって来た様だ」


「流石にあれだけやられたら魔物も居なくなっただろうな」


「もしかして魔族は魔物をわざとすり潰す為に送り込んで来たのでしょうか?」


「そうだな、食料が不足しているから口減らしの意味も有って強引に攻めて来たんだろうな。ひどい奴らだな、許せん!」


 何の工夫も無く攻めて来ていたのだが、今にして思えば食料を消費する魔物を排除する為にここに送り込んで来ていた様だ。戦国時代には口減らしと邪魔な兵士を排除する為によく使われていた方法なのだが、俺の様な善人からすると許せない悪行だった。


「成程、魔族も馬鹿ではなかったって事だな。しかし此れは美味いな、なんて言う食べ物だ」


「これはコロッケと言う食べ物だ、グロリア将軍が無慈悲な攻撃をしているからコロッケを食べながら観戦しなくては成らないのだ」


「へ~、そんな作法が有ったのですか。ホクホクして美味しいですね」


「うむ、貴様らもよく覚えておくのだ。将軍様が無慈悲な攻撃をする時にはコロッケを食べながら観戦するというネラーの決まりが有るのだ」


 魔族軍も必死に向かって来ているのだが、グロリア将軍の無慈悲な攻撃で悲惨な事になっていた。これは最初に魔物を送り込んで来た事で防衛軍がレベルアップした為に起こった現象なのだ。魔物を使い潰す作戦は良かったのだが、彼等は状況をちゃんと把握していない為の大ポカだった。


「おお~今度は盾を装備した部隊で攻めてくるぞ、中々考え出した様だな!」


「無駄なことを」


「盾装備は良い考えだと思いますけど? 駄目なんですか、マスター」


「最初にこれをやれば効果が有ったんだがな、今更やっても遅すぎるんだ。彼我の戦力差が開き過ぎたんだよな」


 防衛軍の弓とバリスタに対抗して盾を装備した魔族の部隊が前面に出てくる、普通は直ぐにこの行動を取って被害を減らしながら攻めるのが常道なのだ。しかし、常道というものは皆が知っているって事なのだ、つまり対策は既に取られて居るって事だ。


「魔法部隊! 攻撃開始~!!」


 大型の盾を装備した魔族軍、弓やバリスタに対抗する為なのだが。金属製の盾は大きく重かった、そして重い装備は動きを遅くする。そして遅い行動は大規模魔法の餌食になりやすい、かわいそうな魔族の連中は人間達の弓やバリスタの攻撃は防げたが大規模な魔法攻撃は防げなかった。折角の工夫も何の役にも立たずに消滅していったのだ。


「あ~あ、無駄に攻めるから」


「もう無理じゃないか、魔族達」

「ポイントが一杯入りました」


 魔族達は頑張ってはいたが、攻め方の順番を間違えた為に無駄に死ぬだけだった。こういう時に出来る指揮官が居れば直ぐに撤退して力を貯めるなり、戦争を終わらせる講話をしたりして被害を抑えるのだが、彼等はただ闇雲に攻めるだけなので被害が増えるだけなのだ。


「そろそろかな?」


「何が?」

「敵の大将でも出てきますか?」


「部下が居なくなるからな、そろそろ痺れを切らして出てくると思うぞ。貯金がドンドン減ってるのと同じだからな」


「そんなものか?」


「そんなもんだ、被害を減らしたかったら最初に強い奴を送るべきだったんだがな」


 彼等は戦を読み違えたのだ、地上で行われた人間対魔族の戦いは総力戦なので数を揃えて戦えば良かった。大部隊同士の戦いなので、数が多くて強い方が勝つシンプルな戦いだった。そして彼等はその大規模戦に勝った為にこのダンジョンでも同じ方法で戦ってしまった、それが彼等の劣勢の原因なのだな。ここはダンジョン、大部隊でも少人数しか入って来れない、つまり戦力の逐次投入を強制させる構造を持っているのだ。


「なんだ! あれ」

「お~! バリスタも魔法も跳ね返してますよ!」


「来たか! キング出てこい!」


 入口から豪華な装備を身につけた魔族の将みたいな奴が入って来た。防衛部隊のバリスタも魔法部隊の魔法攻撃も全く効いていない、明らかに魔族のエース達だ。なので此方もダンジョンのエースのキングを呼び出す、今の状況を例えると歩兵の中に戦車が入って来た様な状況なのだ。


「お呼びですかマスター」


「ああ、敵のエースが出て来た。俺を守れ」


「お任せ下され」


 ダンジョンに入って来た敵のエース級の奴は5人、全く防衛軍の攻撃が効いていない事からバルキリーと同じ位の能力を持っているハズだ、防衛軍が幾ら育ってもバルキリーに勝つのは無理な話なので自分が死なない様にキングに守って貰う。


「でもさ、キングのその格好はどうなんだろう?」


「似合いませんか?」


「いやまあ、良いけどさ・・・・・・」


 護衛のキングは変装していた、いや、変身なのかな? どこからどう見ても子供なのだ、それも10歳位の男の子にしか見えなかった。150センチ位で村人の子供にしか見えないのだ、俺達3人の中でも一番小さかった、元は巨大で怖い見た目だったが・・・・・・もしかして見た目を気にしていたのだろうか?


「フフフフ、この見た目ならば弱そうに見えるハズです。相手が油断した隙にバッサリ行きますぞ、吾輩は学んだのです」


 元の姿で言うならば似合っていたのだが、愛くるしい子供が邪悪な事を言うとかなり違和感が有った。





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