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斜め上のダンジョンマスター  作者: ぴっぴ
第3章 戦うダンジョン編
35/45

第35話 備え過ぎた様だ

「賢者様! 魔王軍を撃退いたしました!」


「う・・・・・・うん。偉いぞグロリア」


 防御用の壁を造ったり武器や食料をドッサリ防衛軍に渡した訳だが。どうもバリスタや防衛用の陣地が強力過ぎた様で、毎日魔王軍が来ても姫が蹴散らしていた。それはそれは見ていて魔王軍が可哀想になるぐらい一方的な戦いだった。


「賢者様、バリスタの毒付は素晴らしい威力ですわ。ファランクス部隊や突撃部隊の兵士の武器も全て毒付きに変えたほうが良いのでしょうか?」


「それは止めた方が良いかな、同士討ちの危険が有るからね」


「そうですか・・・・・・残念です、でも賢者様がそうおっしゃるなら仕方ありませんわね」


 ニコニコした顔で毒を使いまくる姫将軍、かすっただけで相手を殺せるのでとても気に入ってるらしい。でも何だか怖いのだ、最初は魔王軍と戦うのを怖がっていたのに最近は嬉々として陣頭指揮をとっているのだ。そして段々戦い方が上手くなってる様な気がする。


 なんだか姫の相手も疲れるので最下層で身内だけの作戦会議だ、コア子、バル子、キングの4人で紅茶を飲みながら戦況を分析するのが、最近の日課に成っているのだ。因みにキングは食べなくても平気なのだが、飲んだり食べたりも普通に出来るのだ、スケルトンなのに食べたものが口からこぼれないのが見ていて不思議でしょうがないのだが、言えば失礼な気がして言ってない。


「マスター、今日もガッポリ儲かりましたね。マスターのレベルも早くも20を突破して21ですわよ!」


「何だかな~」


 ダンジョン内の戦闘なので魔族が死のうが人間が死のうが全て俺のポイントと経験値になるのだが、見てるだけで何もしないのは精神的に疲れるのだった。普通なら寄生のレベル上げって言われるかもしれないが、俺はダンマスでここはダンジョンなのだからシステム的には人間と魔族の戦争はPK戦と言えるのだ、つまり俺は悪くない。

 だいたい魔族軍は何の工夫も無く力押ししかしないので、ダンジョンの防衛軍に勝てるわけは無いのだ、ここはダンジョンであって普通の野戦とは違うことを全く理解していない様な戦い方をするのだ、そして貴重な兵力を少しづつ減らしてこちらにポイントと経験値をくれるのだった。戦力の逐次投入という戦争では絶対にしてはいけない戦い方をするのだ。


 簡単に説明すると


 魔王軍が攻めてくる

    ↓

 バリスタと弓でハリネズミにされて殲滅される

    ↓

 防衛軍レベルアップして強くなる

    ↓

 魔王軍がまた来る

    ↓

 パワーアップした防衛軍のバリスタと弓兵にボコボコにされる

    ↓

 防衛軍が更にレベルアップして強くなる  ←いまここ


 という感じなのだ。地下で防衛軍の戦い方を見ていると可愛そうで魔王軍を応援したくなる位に一方的な戦いなのだ。


「魔王って馬鹿じゃね~の、戦力の逐次投入とか今時誰もやらないぞ」


「マスターが魔王を応援してどうするんですか!」

「そうだぞ、マスターこそ馬鹿なんじゃないか!」

「マスターから見れば魔王等ゴミ同然です、マスターの邪悪さは私がよく知っておりますぞ!」


「ぐぬ~・・・・・・」


「因みにマスターが魔王だったらどうしますか?」


「グフフフ、俺だったらな・・・・・・」


 もし俺が魔王だったら、攻める前に情報収集だな。具体的には人間の街の中にスパイを大量に放って色々探らせる。次に貯水池や重要施設の破壊、そして内部の民衆を扇動して反乱を起こしてから攻める。

 フフフフ、そして攻める時でも折角の洞窟なのだから外から毒や細菌等を撒いて兵力を損なわずに相手だけを一方的に消耗させて・・・・・・


「なんでそんなに楽しそうなんですか! マスター!」

「凶悪過ぎるだろ! そんな魔王がいたら負けてしまうわ!」

「グフフフ流石は我がマスター、素晴らしいお考えです」


「いや、俺はただ一般的な方法を言ってるだけで、そこまで非情な作戦では無いと思うのだが・・・・・・」


 情報収集、インフラ破壊、通商破壊、内乱等は普通の戦時の行動なのだが、どうも理解してもらえない様だ、戦術や兵器なんてものは唯のオマケでもっと有効に相手をぶっ叩く方法が幾らでもあるのだ。ふう、全く子供の喧嘩じゃあるまいし正面の敵だけ叩くなんて阿呆らしいと思うのだが、俺の事を理解してくれるのはどうやらキングだけのようだ。やはり男同士ってのは良いものだな!


「誰も俺の事を理解してくれない・・・・・・」


「当たり前です!」

「もっと正々堂々とだな・・・・・・」

「マスターの悪辣さに追いつけるように努力いたします」


 そして次の日も魔王軍はやって来た、それも何時もと同じ時間午前8時15分に。そして彼等は午後5時になったら帰って行くのだった。勿論昼の12時~13時の間は昼休みの様で休憩を挟んでいた。俺は2回目の侵攻の時にこれに気がついて、魔王か攻撃部隊のお偉いさんは絶対に異世界人だろうと思ったのだ、それも物凄い無能な社畜の奴だ。


「あ~あ、アイツ等また並んでダンジョンに入ってくるから、順番にバリスタに撃たれて終わりだな」


「ダンジョンの中に砦が有るのはズルいと思うのですよ」

「それも3段構造、V字型で一度に千人以上の人間から攻撃を受けながら入って行かなくてはならないのだから、魔王軍には無理ゲーだと思うぞ」

「グフフフ、これこそキリングフィールド。マスターの餌場、毎日魔族の生贄が捧げられる場所ですな」


 そして本日も3千人ほどの魔族を殲滅した姫が俺に嬉しそうに報告するのだ。


「賢者様、本日も魔族を殲滅いたしました」


「うむ、今日は凄いことをやってた様だな」


「私なにやらレベルアップした様で、神剣から魔法が撃てるようになりました。これもヒトエに賢者様のお陰でございます」


「いやいや、姫の努力の賜物であろう」


 先頭に立って戦ってるせいなのか、姫様は戦う度にレベルアップして今では凄いことになっている様だ。今日の戦闘ではおもむろに立ち上がって神剣エクスカリバーから光のビームの様な物を乱射して魔族を虐殺して高笑いしていたのだ。姫様の周りにいる護衛や砦の上に居る兵士よりも明らかにレベルが上がる速度が速いのだ、彼女は高貴な身分なので成長補正とか経験値半減とかいうチート能力を生まれつき持っているのかも知れない、なにせ生まれた時から王女とか言うチート身分持ちなのだから。


「ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!」


「どうされました? マスター」

「どうしたのだ?」

「確かにまずいですな」


「お前ら気がつかないのか? 姫が物凄く強くなってるぞ。今ではバルキリークラスの強さだ」


「それが何か?」


「僅か3回の戦いでそれだぞ、このまま成長したらどこまで強くなるか分からない。そして姫がダンジョン攻略にやって来たら止められない。しかも、精鋭10万人付きだぞ!」


「でも姫は味方ですよね、心配無いんじゃないですか?」

「そうだ、彼女は明らかに賢者を好いているぞ」

「誰も信用しない乾いた心、素晴らしいですマスター。良くぞそこまでヒネクレましたな!」


 毎日大量の金と経験値が入って来るのは良いが、俺が強く成らないのが問題なのだ。レベルアップして手がつけられない位強くなるなら住民の反乱を気にしなくて良いのだが、俺は強く成らないから困っているのだ、つまり悩みの元凶を叩かなくては成らない。


「キング、付いてこい。悩みの原因を除去する」


「フフフ、お任せを。私があの小娘を・・・・・・」


「何言ってんだ、姫は殺さないぞ。魔族を殺す、アイツ等が毎日来るから悪いんだ」


「はあ・・・・・・そんなものですかな? 吾輩勘違いしていた様です、失礼しました」


 そして俺はキングを連れてダンジョンの外に出た、内部は姫が守って居るので今やダンジョンは難攻不落、安心して外出出来るのだ。




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